嗤う淑女

読んだ本

中山七里さんの『嗤う淑女』を読みました。
中山さんの小説は先日の『毒島刑事最後の事件』以来です。

毒島刑事最後の事件
中山七里さんの『毒島刑事最後の事件』を読みました。中山さんの小説は『特殊清掃人』以来です。 2ページくらい読んで、「あ、これ読んだことあったわ」と。なので犯人もぼんやりと思い出した状態で再度読みました。それでもやっぱりおもしろかったです。 ...

一人の女性が次々と周りの人を巻き込んで不幸にしていくという話ですが、
なんとなく東野圭吾さんの『白夜行』を思い浮かべながら読んでいました。
白夜行は小説もドラマも大好きだったので。

主人公は蒲生美智留という女の子。
実の母親は男と逃げ、実の父親からは性的虐待を受けていた彼女は
従兄弟の恭子と同じ中学校に転校してきます。
恭子はクラスでいじめにあっていましたが、
美智留が転校してきたことでターゲットが美智留に移りました。
しかし、美智留はそのいじめを自分で解決してしまいます。
恭子は再生不良性貧血で倒れ、美智留の骨髄が移植されます。
そんなこともあって、次第に恭子は妄信的に美智留に従うようになり、
美智留と恭子は2人で美智留の父親を自殺に見せかけて殺害します。
その後美智留は美しく成長し、FP の資格を取って
『生活プランナー』として独立します。
そこから様々な事件を起こしていきます…。

とにかく、美智留の人を懐柔する能力がすごい。
その人のちょっとしたスキマにするっと入ってきて、
持ち前の美貌と美しい声と傾聴の技術で虜にしてしまいます。
犯罪の方向ではなくいい方向に使っていれば
一廉の人物として時代の寵児になれたと思うんですが、もったいないですね…。

本書は章立てになっていて、各章のタイトルには人名がつけられています。
そのタイトルの人がその章の主人公となり
いかにして美智留に翻弄されていくかが描かれます。
そして彼らは一様に美智留に対して好意を持っているんですよね…。
操られていることにも気づかずに犯罪を犯していく。
先日読んだ『毒島刑事最後の事件』での『教授』のような感じですかね。
本当にすごい。

物語の冒頭で美智留にすっかり心酔してしまった恭子も
3章目で彼女の弟に殺されてしまいます。
…これはびっくりしましたねー!
そして、これこそがこの物語のキーになっていることが最後にわかり、
本当に本当に驚きました。

最後に出てくる弁護士さんが『宝来兼人』なんですが、
彼は中山さんの小説である『御子柴礼司シリーズ』にも出てくる
ユニークと言うか一癖ある人です。
まさかここで出してくるとは~! と唸ってしまいました。
なるほど、御しやすいかも? なんて。

この『嗤う淑女』シリーズはあと2冊あるようなので、
もうしばらく楽しめそうで嬉しいです。

Kindle Unlimited で読みました。

さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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