有栖川有栖さんの『ダリの繭』を読みました。
有栖川さんの小説は『狩人の悪夢』以来です。
今回読んだのは『角川ビーンズ文庫』という少女向けの小説・ラノベのレーベルから出ていたものです。なので、表紙にはシュッとした男性がいます。ラノベのレーベルと言っても、内容が少年少女向けになったわけではなく、ただ挿絵が入ったりふりがなが振られてるだけで、中身は変わってない…と思います。『本好きの下剋上』とかのジュニア文庫版とかも確かそうなはず。
というか、表紙は火村先生とアリスさんですか!? え、こんなにシュッとしててかっこよかったのか…。金田一少年の事件簿の『秘宝島殺人事件』の火村先生のイメージからようやく脱却できました。こんなにイケメンだったのね…。
表紙の絵は元ネタ何かあるんでしょうか? はじめ、去年宮城県美術館に行ったときに見た(ような気がする)『二つの営力・死と生と』が浮かんだんですが、これじゃないですよね?
せっかくダリの話なんだから、ダリの作品のなにかなのかな…と思いましたが、よくわかりませんでした。こういうときにもうちょっと詳しかったら…と思ってしまいますねー。
今回のタイトル『ダリの繭』のダリは、今回の被害者である宝石店社長の堂条秀一氏ですね。『ヒゲの形を真似ている』と書かれていて、リアルでそんな人と邂逅したら二度見三度見は必至ですね…。しかも、そのヒゲが1つの『キーアイテム』になっていました。
そして『繭』の部分。これが堂条秀一氏が別荘に置いているフロートカプセルです。…実際にやったこと・見たことはないんですが、そういう物があるということは何かで読んで知っていました。…が、今回の小説を読んで、『カプセルの溶液の交換が1年に1回』という文章にぞっとしたというか…。溶液を浄化する仕組みがあるのかもしれませんが、そんな交換頻度のものに入りたくないよー。私は鼻があまり良くないので匂いとかは感じないかもしれませんが、それでも嫌だなぁ…。
途中で大阪球場のことが話に出てきました。私は関西に住んだことがないので詳しくは知らないんですが、これって宮部みゆきさんの小説『火車』にも出てきた不思議な球場のことですよね? 昔読みながら「へー、こんな不思議な場所あるんだ」と思っていましたが、こちらにも出てきたのでなんだかおもしろかったです。地元の方には有名な場所だったのですね。球場だもんな、そりゃそうか。
あと、ラストの飛行場近くのシーン、この場所もなにかの小説で読んだことがあるような気がします。やっぱり有名なスポットなんですかね。飛行機に触れそう…というのは、うちの息子が大喜びしそうなスポットですね。行ってみたいなぁ。
内容としては、犯人が少し、というかかなりかわいそうだなと思ってしまいました。結局社長が悪かったんですからね。若い子にちょっかい出そうとして結局やられちゃったという、なんというか情けないというか…。結末だけ見ればそんな感じです。
でも、人を殺そうと思って準備万端に整えて、いざ犯行に及ぼうとしたら返り討ちにあってしまった。なので、その状況を存分に使ってアリバイにした…という話なので、この絡み合ったヒモをよくほどいたな…と思ってしまいます。一見些細と思えるような、なぜヒゲが剃られていたか、なぜ服が脱がされていたか、などがすべて1本につながる。火村先生、さすがですね。
Amazon のレビューを読むと、多分ですが、普通の文庫とこの角川ビーンズ文庫版では『客層』が違うんだな、と思いました(笑)。なんというか、BL っぽさが求められているっぽい? 挿絵もかなりのイケメンですしね…。ただ、挿絵には賛否両論あるようで。確かにキャプ翼っぽい頭身というか大谷サンっぽい頭身というか、やたら顔が小さいですもんね。まー、少女漫画あるあるかもしれませんが。
最後にあった『シュルレアリスムの午後』で、アリスさんと隣人の真野さんの美術鑑賞が出てきましたが、この二人はこの先どうにかなったりする感じですか? 検索しても出てこないので、どうにもなっていないってことなんでしょうか…。
火村英生シリーズもそこそこ読めてきたので、また他のものも読みたいですねー。
Kindle Unlimited で読みました。
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