罪の声

読んだ本

塩田武士さんの『罪の声』を読みました。

この小説、2年ほど前に映画が公開になったときに買って読んだんですね。
その時もめちゃくちゃ泣いたのを覚えています。
で、先日『リボルバー』を読んだときにこの『罪の声』のことを思い出したので、もう1回読んでみました。

リボルバー
原田マハさんの『リボルバー』を読みました。原田さんの小説は『<あの絵>のまえで』以来です。 『リボルバー』はずっと読みたいと思っていたので、今回読むことができて本当に良かったです。前情報はほとんど持っていませんでした。表紙の『ひまわり』とタ...

…そして、まためちゃくちゃ泣きました。

京都でテーラーを営んでいる曽根俊也は、入院した母に頼まれて母の部屋で探しものをしたときに1本のカセットテープを見つけます。
聞いてみると、懐かしい自分の幼いときの歌声などの後に、不可思議な音声が録音されていました。
この音声は、昔日本を震撼させた『ギン萬事件』で被害者を脅迫したときの音声、その声の主は自分…。
自分が『ギン萬事件』に関わっていたということは、自分の家族の誰かが犯人なのか?
恐ろしくなった俊也は、亡くなった父の友人だった堀田にこのことを相談します。
一方、新聞記者の阿久津英士は、急に割り振られた仕事、日本の未解決事件である『ギン萬事件』の記事のためにイギリスに出張し、当時の関係者と思しき人物の恋人である女性に接触しますが、どうやら空振りに終わってしまった様子。
それでも少しずつネタを集めていき、どんどん確信に迫っていきます。
『ギン萬事件』に自分が関わっているかもしれないと知り、自分の家族の安寧がなくなるかもしれないと戦々恐々とする俊也。
『ギン萬事件』を詳しく知っていくにつれ、「この事件は風化させてはいけない、犯人を見つけ出さなければいけない」と使命感を覚えていく阿久津。
そして取材の末、阿久津は俊也の店を訪れます…。

新聞記者さんの取材力ってすごいんですね…。
30年以上前の、今からすると未熟な技術しかない時代とはいえ、警察のみなさんが靴底をすり減らしても捕まえられなかった真相にたどり着いてしまうなんて…(もちろん、フィクションだってわかってます)。
時が空いたからこそ語れる真実も、あるってことですね…。
アプローチが違えばたどる道も違うし、それでも2人を結びつける人や事実があるんですね。
全然別方向にいる2人がそれぞれ行動し、ついに邂逅したとき。
俊也側に立つと「ついに来てしまった」、阿久津側に立つと「ようやくたどり着いた」です。
俊也にとって本当に良かったのは、阿久津がとても誠実な人だった、ということですよね。
よく、殺人事件とかで殺されてしまうようなブン屋さんだったら、このような結末にはならなかったかもしれないですからね。
そして、まさかあの人までもが関わっていたとは…というところもおもしろかったです。
しかし、犯罪は本当に禍根を残すんだな…とつくづく思います。
特に、今回のように幼い子どもたちの人生が壊されるような事件は、もう怒らないでほしいと思いました。

とにかくおもしろかったです。
また数年後とかに読みたくなりそう。
そういえば、コロナ禍だったので映画も見られなかったんですよね…。
今度見てみようかな。

さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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