黒柳徹子さんの『続 窓ぎわのトットちゃん』を読みました。
黒柳さんの本は『窓ぎわのトットちゃん』以来です。
ずっと読みたかったので、ようやく読めた…という感じでした。
以前『ちひろ美術館・東京』に行ったときにも、館内にいっぱい飾ってありました。
この続編も、前回同様いわさきちひろさんの絵が表紙になっています。
やっぱり、「これこそ『窓ぎわのトットちゃん』!」という感じがします。
本当に、とても、とてもおもしろかったです。
ただ、「おもしろかった」という言葉だけで済ませてはいけない『何か』がありますね…。
前回の『窓ぎわのトットちゃん』では、トットちゃんが青森に疎開する直前で終わったようでした。
(ちょっとうろ覚えです)
今回は、その疎開をするところから始まっていました。
なんというか、『40年以上ぶりの続編』ということで、前回とはちょっとテイストが違うな、と感じました。
まず、一人称が「トットちゃん」じゃなくて「トット」に変わっていました。
まぁ、前回は小学生だったから「ちゃん」をつけていたんだとは思います。
この先は大人になっていく訳ですから、「ちゃん」を外した、というだけなんだと思います。
話を読んでいて一番最初に思ったのは、「トットちゃんは、やっぱりかなり裕福なところのお嬢さんだったんだな」というですねー。
前回も多分そう思ったと思うんですが、改めて書かれている日常の生活を見ると、ものすごい『ブルジョア』だな、と思ってしまいます。
お父様が N 響の前身であるオーケストラのコンマス、とのこと。
すごいですねー。
お母様も声楽を習っていて、お父様と結婚を機に専業主婦になったという女性。
…NHK 朝ドラの主人公のモデルでもあった、と。
いやはや。
トットちゃんの他に、お子さんは全部で4人いたようですが、一人は亡くなってしまったようです。
戦争が始まっても、しばらくはそれなりに暮らせていけたようでした。
でも、やはりお父様に『赤紙』が来たあたりから事態が急変していきます。
トットちゃん、お父さまはずいぶん背が高かったようで、だからこそ兵役を免れていた、というちょっとめずらしい(多分)理由でした。
背が高すぎると軍服が合わないから、とのことです。
まぁ、昔だからなんでしょうねー。
そこからは、トットちゃんのお母様が本当に大変でした。
北海道に住んでいた祖母も合流し、みんなで青森に疎開。
りんご小屋のようなところを借りて、みんなで暮らしていたようです。
お母様は、お父様と結婚してからずっと専業主婦だったようなんですが、ここでお母様がすごい才能を見せたことが、本当にすばらしかったんですね…。
軽食屋さんみたいなものを始めたり、青森の人たちから注文を取って東京で買い付けたものを売る商売とか、すごく商才があったんだな、とびっくりします。
当時のお金の感覚がまったく分からないですが、「お金が貯まったら家を建て直したい」と言っていたそのお金を、お母様が貯めたということなんですよね?
本当にすごいなと思いました。
このお母様のがんばりが、トットちゃんにも良く影響して、トットちゃんも一生懸命がんばって生きていったんだろうな、と思いました。
…今でこそ「がんばる」という言葉が「いい」とか「悪い」とか言われますが、この暮らしは本当に「がんばった」としか言いようがないな…と思います。
戦争が終わって、みんなが帰って来て、お父様はしばらく帰って来られなかったけど、それでも帰ってきて、みんなで暮らせました。
それはものすごく幸せだったでしょうね。
いろんな別れがあり、出会いがあったりしました。
やっぱり一人の人の人生っていうのは、本当に深くて大きいなと思いました。
トットちゃんが NHK の専属になれたのは、本書の記述の中から考えると、多分ですがお父様のコネというか影響もかなりあったんだろうなとは思いました。
でも、今の今まで(そしてこれからも)ずっと芸能界で活躍できているということは、トットちゃんが『コネ』だけの人ではなかった、ということですね。
トットちゃん自身に、何かすごく『光る』ところがあったんだろうな、そしてみんながそれを認めていたんだろうな、と思います。
トットちゃんは、何事にも全力投球している感じがありますし、誰に対しても優しくて、すごく素敵な女性だなと思いました。
NHK に応募したきっかけが「子供に絵本などの読み聞かせをうまくできるようなお母さんになりたいから」と。
すごい理由ですよね…。
そしてそれで採用されるというのもすごくおもしろい。
トットちゃん自身はお子さんには恵まれなかったようですが、ユニセフの親善大使として世界中の子どもにその優しさを分けていたわけですから、黒柳さんの『子供』って本当にたくさんいるんでしょうね。
『徹子の部屋』という、一つの番組をずっと続けているというのも、本当にすごいことです。
トットちゃんが、こうやって今も愛されているのは、いろんな人の支えがあって、それにちゃんと感謝をして暮らしてきたからなんでしょうね。
人の縁ってすごいなと思います。
改めて、本当に素晴らしい話でした。
黒柳さんの長い長い人生を、たった二冊に収めるのは…まぁ到底無理だと思います(笑)。
それでも、その一端を見せてもらえたのはすごく良かったです。
これはやっぱり語り継がれるべき話ですね。
もう『戦争』のことを語れる人がほとんどいなくなってしまいます。
だからこそ、「読んでよかった」と思いました。
前回に引き続きいわさきちひろさんの表紙・挿絵。
やっぱり、いわさきちひろさん、いいですね。
好きな絵でトットちゃんの柔らかい雰囲気を完成させているな、と思いました。
一気に読んでしまいましたが、また数年後にもう1回、1巻目から読み直したいなと思える本です。
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