帝都地下迷宮

読んだ本

中山七里さんの『帝都地下迷宮』を読みました。
中山さんの小説は『逃亡刑事』以来です。

逃亡刑事
中山七里さんの『逃亡刑事』を読みました。中山さんの小説は『月光のスティグマ』以来です。 この本、いつもはある表紙の画像がありませんでした…。そんなこともあるんですねー。なので、Kindle の1ページ目でパシャリ。 表紙は整備されていない河...

『帝都地下迷宮』と聞いて、なにやら借金しすぎた人が地下都市みたいなところで強制労働させられて、『ペリカ』もらって生活する話…を想像したんですが、まったく違いました。そりゃそうだ。
表紙には『Metropolitan Dungeon』と書かれていて、何かをくすぐられます。えぇ。

主人公の小日向は鉄道オタク・廃駅マニアの公務員。昼は役所で生活保護の申請の窓口をしていますが、夜は自分の趣味の鉄道のイベントなどに参加したりしています。昼の業務がつらいとき、夜の趣味の時間を充実させることで乗り切っているようです。
ある夜、小日向は入念な下準備をしたあとに秋葉原のとある通風口から地下へ潜入し、廃駅となった銀座線萬世橋駅へ向かいます。しかし、誰もいるはずのないこの地下の空間で女子高生ほどの年齢の女の子と出会います。彼女に半ば強制連行のような形でついていくと、地下空間で生活する『エクスプローラー』と自称する集団の住処に着きました。地上から隔離されて生活をする100人ほどの老若男女。その中でリーダーのようなことをしている人物になんとか認められ、小日向は『特別市民』として彼らと関わっていくことになります。
『エクスプローラー』たちの悲しい身の上を知り、少しずつ仲間意識も芽生えていったのですが、ある日住人だった女性が殺されてしまいます。状況から考えて、『エクスプローラー』の誰かの犯行であることに間違いはありません。小日向はその女性の遺体を移動させるのを手伝うことになってしまいました。なんとかやり遂げて自宅に帰って休み、次の日の通勤途中現場に行くと、現場で捜査していた警察から怪しい人物として目をつけられてしまいました。殺害された女性はどうやら警察の公安の人間だったらしく、『エクスプローラー』の実態を探っていたようです。警察は仲間殺しのために執拗に追いかけてきます。『エクスプローラー』たちは萬世橋駅を去らざるを得なくなってしまいました。どこに行けばいいのか、小日向は頭をフル回転させて考えます。

前半は小日向が少しずつですが仲間として認められていく過程が、後半は『エクスプローラー』たちを連れて逃げ回る様子が描かれています。後半はスピード感があるというか、いつ捕まっちゃうのかヒヤヒヤしながら読みました。少しずつ脱落していってしまうんですが、悲しかったですねー。
中山さんの代名詞といえば『大どんでん返し』ですが、今回はそんなに『大』って感じではなかったです。ただ、途中に長めの逃走劇を挟むので、「あ、そういえばそうだったな」っていう感じになってしまいました。最後、この人物はどうするのかな…小日向の言う通り、もう逃げ回らずにちゃんと罪を告白するのか。捕まってしまえば刑務所に入れられてしまうかもしれませんが、地下迷宮にいるよりはマシ、と思うのかな…。

主人公の小日向さんは自分に自信がないタイプで、一緒に働いている同僚や趣味の仲間がいるのに完全には打ち解けられていないと感じていたと思います。でも、後半の逃亡劇でみんながそれぞれのやり方で助けてくれて、それが今後の自信につながるんだろうな…と。
ただ、彼は公務員なので、この物語のあとどうなるのかはわかりませんね…。まぁ、始めの不法侵入の時点でアウトですけどねー。

この本は前回の『逃亡刑事』と同じ PHP 出版の本でした。『逃亡刑事』は「文字を画像化した箇所が多くて、読み上げで歯抜けっぽい感じになっちゃってた」と書いたんですが、こっちはそれを感じませんでした。前回は『嘘』という漢字が『噓』と印刷標準字体になっていて、さらに画像化していたので読み上げされなかったんですが、今回は普通に「嘘だと思ったら部屋を見てください」と『嘘』の文字で書かれていました。なんでだろう? 『逃亡刑事』が2020年、『帝都地下迷宮』が2022年に出版されているんですが、その間に方針が変わったのかな?

あと、この本も Kindle Unlimited で1月はじめに借りたんですが、同じ1月中なのにもう Kindle Unlimited でなくなっているんですよねー。これも前回の『逃亡刑事』と同じです。一瞬だったのかな?

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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