中山七里さんの『TAS 特別師弟捜査員』を読みました。
中山さんの小説は『絡新婦の糸―警視庁サイバー犯罪対策課―』以来です。
まず、『TAS』とはなんぞや、と。
前情報無しに読み始めたんですが、いわゆる『ツール・アシステッド・スピードラン』についての話ではありませんでした。
まぁ…中山さんがゲームの早解き(だけじゃないけど)の話を書くワケないか…いや、いつかは書いてくださるかもしれない…。
で、表紙をよく見れば『Teacher And Student』とのこと。
そういう名前のクラブでも立ち上げるのかな、と思いきや、むしろ潜入捜査でした。
というか、今回の発起人、なんと葛城刑事でした!
前回の『絡新婦の糸―警視庁サイバー犯罪対策課―』にも出ていた、『静おばあちゃんにおまかせ』でおなじみの、円ちゃんの彼氏でもある葛城刑事です。
というか、表紙の後ろ姿の方がきっと葛城刑事ですよね。
結構イケメンだな…と思ってしまいました。
が、騙されてはいけないです。
主人公の男の子・慎也くんが葛城刑事の『いとこ』とのことで、随分仲良くしていました。
が…。
今回に限っては、葛城刑事、良くないなと思ってしまいました。
いくら弟のようにかわいがっていた慎也くんの高校で事件が起きたからと言って、本人を潜入捜査に使ったり、聞き込みを強制したりとかは…いくら何でもやりすぎじゃないかな…。
同僚の刑事も「S」なんて言っていましたね。
「S」というのはスパイの隠語ですよね…。
うーーーん、それはちょっとよろしくのでは、と。
高校生って、自分でも言っていましたけど、体は大人でもまだまだ心は柔らかいところがたくさんあるまま、というか。
高校の中の1年1年でも、随分大人に見えたり、ときには子供に見えたりするわけですし。
仲間が2人も死んでしまっている中で『捜査』をさせるなんて、かなりひどいな…と思ってしまいました。
仮に本人がそれなりにやる気になっていたとしても、ですね。
しかも、部活の楽しさに目覚めて青春を謳歌しているのに、何度も水を刺すようなことをするし。
というか、そもそも自分が結局潜入捜査するんだったら、それでいいじゃん、っていう感じですね。
正直、私の中の葛城刑事の株はちょっと下がってしまいました。
今回は、慎也くんの『演劇部の脚本を書く』という意外な才能が開花して、とっても良かったんじゃないかなと思いました。
反面、最後まで読むと…何と言うか、いろんなものを失ってしまったんだな、と。
今、とても無力感に苛まれているだろうなと思いました。
なんだかとてもかわいそうです。
確かに彼自身は全く悪くないし、それぞれ犯人が一番悪いわけなんですけど、それでもそれを指摘してしまった、指摘させられてしまった。
そんな葛藤や心情、高校生に味わわせるにはちょっと残酷すぎるかなと思いました。
途中で葛城刑事の同僚刑事として宮藤刑事が出てきたんですが…。
いつも通り Kindle の読み上げで聞いていたので最初は気づかなかったんですが、『工藤』じゃなくて『宮藤』なんですよね。
ということは、『スタート!』の宮藤映一さんの弟の宮藤刑事ですよね!
学校舞台にしていて、ちょっと青春小説っぽい感じのないようでした。
なんならいつも思ってる『翼文庫』とかでも出せそうかな…と思いきや、ちょっと…という内容でしたね。
やっぱり2人亡くなっているわけですし、『ラブホテル』の話なんかも出てくるので、ちょっと子供に勧められる話ではないかな、という感じでしょうか。
話としてはおもしろかったんですけど、なんかその『スパイ』的な感じを『強要』されるところや、最後に全部失ってしまうところなんかが、『青春小説』としてはおすすめできないかな、と思ってしまったポイントでした。
Kindle Unlimited で読みました。
[AD]TAS 特別師弟捜査員





コメント