綾辻行人さんの『Another 2001 下』を読みました。
先日の『Another 2001 上』の続刊です。
読み終えました、読み終えました。
実に濃厚な物語でした…!
双子ちゃん一家が全滅して、これからどうするのかと思ったら。
案外あっさりと『赤沢泉美』に焦点が移ってしまいました。
今までずっと仲良く暮らしてきて、姉同然の存在だった泉美に『引導』を渡すことができるのかとても心配でしたけど…。
最後のアレは、泉美の優しさだったのかな。
前々作『Another』では、正直大っ嫌いなタイプだと思っていたので、「こんな子だったのか…」と反省しました。
やっぱり、一面・一瞬で判断するのは良くないですね。
しかも、泉美がいなくなったにも関わらず、災厄は終わらない。
すぐに「ひょっとしてもうひとりいるんじゃ…」と思いつきましたが、それが誰かはわからない。
そのうち、だんだんと話が混乱してきたんですけど、「次はどうなるの!?」と先を急ぐあまり、丁寧に深く考えられなかったのがもったいないなーと、読了後に思いました。
もうちょっとちゃんと考えていれば、「この矛盾からどういう結果が…」と思えたはずなのになー。
そして、『もう一人』は、まさか・まさかの人物でした。
その『名前』自体は前々作『Another』から知っていたんですね…。
まさかここで出てきていたとは…と。
いやーすごい、こんな隠し玉気付けないよー。
話の流れとは別に、前作の『エピソード S』でも気持ち悪かった、蝿とかカラスの混乱なんかは「うわっ」と思ってしまいましたし、最後のヘリの衝突はもう大惨事でしたねー…。
『殺戮のディープブルー』的な、手に汗握る感じでした。
そして、そんな『動』のシーンが外で繰り広げられている中で、一瞬『静』になった病室。
すごい対比でしたね…。
葉住ちゃんは、一瞬「こいつが…?」と思わされましたが、これもまた濡れ衣でしたねー。
とことんかわいそうな役回りだったように思います。
『言い出しっぺ』の江藤さんも最後亡くなってしまったのは、なんだか「2人にしよう」と言った責任を取らされたみたいで、これもかわいそうでした。
ただ、結局この『災厄』に対する抜本的な対策はいまだになくて、結局対処療法を繰り返すだけというのが歯がゆい感じです。
なんとかして、『災厄』を起こさないようにはできないものですかねー。
読んでいるあいだ中、ずっと疑問に思っていたことがありました。
それは「義眼ってそんなに簡単に付け外しできるの!?」ということ。
自分の知り合いには義眼の方っていらっしゃなくて、というか正直見たことがないので、全然想像がつきませんでした。
で、ここのサイトに詳しい付け外し方がついていました。
へー、衛生に気をつけるのは当然でしょうけど、こんなふうに付け外しするんですね…。
今更ですが、インターネットっていろんなことが載っていますね。
解説は辻村深月さんでした。
「あぁ、この人綾辻行人さんの作品が大好きなんだな」とわかるような熱量で、なんだか読んでいるこっちもホロっときてしまいました。
素敵な関係ですねー。
あとがきには『Another 2009』という作品名が書いてありました。
解説の「きっと、あの人物が成長した先に」という文章。
次の主人公は…碓氷先生の娘の希羽ちゃん…かな?
まだ最初すらも発表されていない段階みたいですけど、気長に待つしかないですねー。
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