病院坂の首縊りの家 下

読んだ本

横溝正史さんの『病院坂の首縊りの家 下』を読みました。
先日の『病院坂の首縊りの家 上』の続刊です。

ついに終わってしまいました…。
今、私には『金田一耕助ロス』がきています…。
長い『金田一耕助シリーズ』のファイナルとしても、金田一さん自身の『最後の事件』としても、本当におもしろかったです。

上巻では「ビンちゃん」が生首の状態で天井から吊るされてるのが発見された、というところで終わっていました。
結局妹の小雪も見つからず、小雪と瓜二つの由香利は外国に行って結婚し、生首事件もそのまま解決せず…です。
そこから何年も経って、再びこの『アングリーパイレーツ』の周りでキナ臭い動きが出てきたところでした。
今回は、本当に事件が解決されて、一応すべてクリアになってスッキリ。
…したような、しないような…。

双子でないけど瓜二つの人物、というのは、中山七里さんの『さよならドビュッシー』の遥とルシアがそうでした。

そして、あそこも『入れ替わり』でしたね…。
今回も『入れ替わり』でした。
しかも、『祖母からの提案』でそうなった、というのが、またすごいことだなと思ってしまいます。
死体を発見した時、とっさにとったその行動というのが、まぁある意味良かったんでしょうね。
そこで私だったらやっぱり警察に行ってしまうと思うんですけどね。
そうではなく、このおばあさんのところに話を持っていった、というのがよかったんでしょうね。
…いや、冷静に考えたら良くなかったのかもしれないですけど…。
どうなんでしょうね、わからないですね。
まぁ、『しばらくの平穏と最後の破滅』への、そこが分岐点だったのかもしれないですけど、もう1つの道だったらすぐに破滅していたかもしれませんしね…。

いろんな人が「びんちゃんはいい人だった」って言いますけど、何というか『女性関係』にルーズなところとか、そういうのを総合すると、「本当にいい人だったのかな…」とは思ってしまいますけど…。
本物の由香利も、相当『おきゃん』(死語)な感じだったのかな、なんて思ってしまいます。
そんな中で小雪が由香利となって滋と結婚して、そして徐々に滋のことを本当に愛するようになっていたというのが、滋には伝わっていなかった、というのが残念だったなと思いました。
結局、息子は滋の子供ではなかったわけなんですけど、それを滋が知ったときに、『妻』ではなく息子の方に憎悪を向けてしまった、というのは、『男性あるある』なんでしょうか?
よく、女性が『浮気をしたダンナ』を責めるのではなく、その『愛人』の方を責める、みたいな感じで、直接相手には憎悪は向かないんでしょうかね…。

今回、『等々力警部』が『警部』じゃなくなっていて、というところで、やっぱり時間の経過を感じました。
『剣持警部』が『警部』じゃなくなった、みたいな。
等々力さんの息子がもう奉職してるって言いましたしね…。

20年にも渡る長い長い因縁が解決されたんですけど、その中でたくさんの人が死んでしまって、最後には昔を知る人はほとんどいなくなってしまいました。
まぁ、こんだけいろんなところに爪痕残した事件に関わった、どころかそれを解決したのであれば、確かに金田一さんが極度のメランコリーになって日本からいなくなってしまうというのも…まぁ頷けなくはないですね。
でも、今回のこの書き手、(いつもの Y 先生ですかね?)、その人のところにもその後の連絡は入っていないみたいですし、「金田一耕助からの遺言だと思って」なんて言っていて…。
本当にこれ以降会うことができないのかなと思うと、ちょっと、いやかなり悲しいです。

私の大好きな『金田一少年の事件簿』がこの『金田一耕助シリーズ』をリスペクトして生まれたのであれば、これだけたくさんの『犯人』が事件解決時に死んでしまうというのも、当然頷けるなと(笑)。
だって、やっぱり金田一さんの事件でも犯人死んじゃうもんねぇ。
(金田一くんの方は、最近はあんまり死ななくなりましたが)
そして、イメージ的にかもしれませんが、女性の犯人が多かったですね。
長編しかほとんど読んでいませんし、ちゃんと数字で確認したわけではないですが、やっぱり女性が多かった印象です。

22冊合本版はとっても長かったですが、本当に読んで良かったなと思いました。
どれもすごくおもしろかったです。
いわゆる『パズルぽいトリック』みたいなものはそんなになかったんですけど、それぞれの登場人物の気持ちの変化とか、誰が誰を恨んでたりとか、一瞬の隙をついたりとか、そういうそれぞれの人の動きが複雑で、すごくおもしろかったですね。

さて、何が一番面白かったかなー。
長編としては、一番最初に思いつくのは『悪魔が来りて笛を吹く』でしょうか。

それから、油断しすぎて見事に張り手を食らったような印象の『夜歩く』。

この2つは、多分それなりにメジャーどころだと思うんですが、私自身は全然知らなかったので、ものすごく食いつくようにして読みました。
もちろん、『金田一耕助』といえば、の『犬神家の一族』『八つ墓村』『獄門島』なんかも、当然おもしろかったです。

短編として好きだったのは『七つの仮面』でした。

以前も書きましたが、アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』を彷彿とさせる最後がとても絶妙でした。

今年に入って丸々1ヶ月間、本当に楽しませてもらったなと思います。
本当に買ってよかったなと思いました。
いつかまた読み返したい…けど、ボリューム的になかなか勇気がいりそうですね(笑)。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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