法廷遊戯

読んだ本

五十嵐律人さんの『法廷遊戯』を読みました。
五十嵐さんの小説は初めてです。

確か映画化された作品だよな…と思いつつ読みました。
『遊戯』なんて楽しそうなタイトルなのに、読み終えたあとはズンと腹におもりを入れられたかのような感覚に。
重い…重かったです…。
もちろん、やったことは悪いです。
まったく関係ない人の人生をぶち壊したのも事実です。
でも、『そこ』に手を出さざるを得なかった子どもたちが、本当に不憫でなりません。
『そこ』に至るまで、なんとかならなかったのか、誰かが気づいてなんとかできなかったのか。
ここでもやっぱり『大人が悪い』になっちゃうな…と思いました。

養護施設で育った男女2人がメインの話です。
同じ法科大学院に通っていますが、なぜかそこではとっても他人行儀。
書くのも嫌な感じなんですが、例のごとく女の子は、その養護施設の園長から性的にいたずらされた経験があります。
その件を男の子の方が止めようと関わったために傷害事件になってしまった、という過去がありました。
法科大学院在学中に同級生の中で『無辜ゲーム』という模擬法廷のようなものが流行しました。
その時に裁判官のような役を務めていた馨という男の子がいました。
彼はなぜか、すでに司法試験に合格しているにも関わらず、同じ法科大学院に在籍し続けています。
「変わり者か」と思って読んでいたんですが、彼がこうやってこの法科大学院に所属しているのも、ちゃんと理由がありました(当たり前ですが)。
「なるほどなー…」と。
私は法律はまったく詳しくないんですが(刑事モノが好き、というレベルです)、『再審請求が認められる場合』にはいろいろある、ということを初めて知りました。
そういう細かいことは、法律を専門で学んだことのある人には常識的な内容なのかもしれませんが、私のような一般人からしてみればびっくりするようなことだったので、すごくおもしろかったです。
馨くんは、もうありとあらゆることを考えて、いろいろ研究し尽くした結果、こういう結末を望んで実現させたんでしょうね。
まぁ、難しいですね。

人一人の人生がかかっているので、生半可な覚悟ではだめだとは思います。
でも、『償い』と言われてもどうにもできることではない…。
というか、彼ら『だけ』に罪を被せるのは、なんだか本当に納得いかないなと思ってしまいます。
結果的に『法曹界』に対しての恨み事みたいなのもあったといえばあったんでしょうけど。
生まれた境遇とか、財政状況とか、そういうものが満たされていなかったから犯罪に走ってしまう、というケースが多いのも、今までいろんな本を読んで知りました。
もちろん、同じような境遇だったとしても真っ当に生きている人もいるんですけどね。
そんな問題があるとしても、私が何とかできる問題でもないしな…と、でもやっぱり辛いな…と思ってしまいます。

巻末の解説は QuizKnock の河村さんでした。
そこにも、「そのたまたま運が良くて、大人になるまで刑事事件というものに関わらずに生きてこられたから、法律をあまり知らない」と書かれていました。
そうですね、私もそうです。
それはとても『幸運』なことなんですよね。
こうやって無事に(か、わからないけど)大人にならせてもらったという幸運に、本当はとても感謝しなければいけないんだろうなと思いました。
同じ日本に住んでいるなら、そういう『幸運』を誰もが享受できるといいな、と思うんですけどね。
もちろん、日本だけじゃなくて、世界中どこでもそうなんですけど。

今回のことは、本当に『負の連鎖』というか、最初のどのきっかけがなかったら『これ』が起きなかったかな、と考え始めてしまうと、どんどんな泥沼に入ってしまうな、という感じです。
少なくとも、自分の息子・娘を同じような境遇にさせないように、とりあえず私は健康でがんばって働いていきたいと思いました。
でも、いろんな境遇の人もいるんだということは、忘れないようにしようとも思いました。
なんだか読んでいて結構苦しかったです。
でも、読んで良かったなと思いました。

Kindle Unlimited で読みました。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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