中山七里さんの『絡新婦の糸―警視庁サイバー犯罪対策課―』を読みました。
中山さんの小説は『鬼の哭く里』以来です。
今回は、犯行現場の正確な場所という、ある意味での『秘密の暴露』があったので、犯人が『どういう立場の人』なのかの想像がついてしまったというのはありました。
途中で以前の部下に会いに行くというシーンがありましたが、そこで一瞬惑わせるような書き方がされていて、「それはそれで嫌だな」と思いながら読んでいたんですが、結局は…という感じでしたね。
途中で葛城刑事が出てきました。
『静おばあちゃんにおまかせ』の円ちゃんの彼氏の葛城刑事、ですよね?
円ちゃんの話もちょっと出てきて、なんだか嬉しかったです。
相変わらず仲が良さそうで何よりですね。
しかし今回の内容、不特定多数からの悪意が自分に集中するなんて、考えただけでもおぞましくて怖いですし、とても嫌な状況です。
会ったこともないインフルエンサーにヒートアップする人たち、新聞販売店の友人がそのように描かれていました。
やっぱり、普段の自分の生活に対する不満や鬱屈をそちらで晴らそうとする感じなんでしょうか。
うなづける気もします。
精神科医の益田先生がよく『パラソーシャル』という言葉をおっしゃっています。
確かに私も益田先生にお会いしたことはないのに、いつも YouTube を見てるので『自分の主治医』みたいな気持ちになる時はありますね。
それは、今のところ何の実害もないので別にいいかなと思いますけど…ひょっとしたら、気をつけなければいけない類の感情に発展しないとも限りませんよね…。
以前、テレビなどしかメディアがなかった時代には、その『パラソーシャル』は芸能人などが担ってくれていたんでしょうけど、こういう誰でも情報を発信できる世の中になってしまったので、いろんな人に『分散』されてしまったんですね。
依存先が複数あるというのはある意味ではいいのかもしれないですけど、依存される側に耐性とかノウハウがなければ、ものすごくストレスになりそうです。
また、依存する側も過度に依存しすぎて大変なことになりそうですね。
小説として結構きつめに描写されているというのはあるかもしれないですが、日常的に起こり得ることだなと思って読んでいました。
怖いですね。
一方で、今回の事件において、『例の写真』さえ作らなければ、ひょっとしてバレずに『完全犯罪』で終わっていた可能性って…あったりしますか?
突き止めるのに結構な労力を使っていましたし、なかなか突き止められていなかったですよね。
しかも、ひょっとしたら内部から混乱させるような力が働いていたかもしれないですし。
このまま解決せずに終わった可能性もあるのかなと思うと、なかなか巧みだなと思ってしまいました。
「余計なことしなければ逮捕されなかったかもしれないのに」という思いは拭えないです。
もったいなかったですね…。
Kindle Unlimited で読みました。
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