吸血蛾

読んだ本

横溝正史さんの『吸血蛾』を読みました。
先日の『不死蝶』の続刊です。

先日の『幽霊座』から読み進めている『「金田一耕助」シリーズ』ですが、今まで読んだ分はすべて短編集だったんですよね。

でも、今回は長編一つだけが入っていました。
内容的にも、結構複雑な物語でおもしろかったです。
ストーリーは以前読んだ『幽霊男』にちょっと似ているかもしれないな、と思いました。

ある新進気鋭のファッションデザイナーの女性がいて、その周りにいるファッションモデルたちが次々と殺されていく、というような内容でした。
『幽霊男』のときも、同じ事務所のヌードモデルたちが次々と殺されていきました。
しかも、殺された彼女たちには何の落ち度もなかった、という内容でした。
今回もちょっとそれに近い感じでしたねー…。
ただ、物語のかなり早い段階で、真犯人と思われている人物がすでに殺されていた、というのは、なかなか思いつかなかったので意表を突かれました。
しかも、その真犯人と思われていた男には双子の兄がいて、その人と入れ替わったりしているというトリックもあって。
なかなか複雑なストーリーだったんですよね。

しかし…。
モデルの女性は、殺害されたあと足を切断されて、しかも一本ずつ別の人物に持ち去られたんです。
そして、「どっちが世間をあっと言わせることができるか」を競うようなすごい方法でその『足』が披露(?)されてしまって。
かなりセンセーショナル、『劇場型犯罪』っぽい感じではありました。
そういうところも『幽霊男』に似ていると言えば似ていると思いました。

そしてラストの犠牲者、3人いっぺんで…しかも何週間も監禁されたあとだった、というのが、かなり残酷でしたね…。
まぁ、実は『監禁した人』と『殺害した人』が別々で、『監禁した人』は殺害するつもりがなくむしろ匿っていた、というのは少し救いにはなりましたが…。
なんといっても、非常にひどい匿い方だったんですよね…。
結局殺害されてしまいましたし。
しかも、殺害される直前に同じモデル仲間に電話をして「これから殺されるの」的な話をしちゃったわけで、そういう意味ではかなり残酷な感じがしました。

結局、今回の中心人物だったファッションデザイナーの文代という女性が、なんというか残念だというか。
そのせいでたくさんの人が殺されてしまったわけでした。
なんだかなぁ…と。
周りの人もはっきり言ってあげればいいものを、彼女に遠慮し過ぎていたわけで。
だから、余計にこんな複雑になってしまった感じでした。

最後、金田一さんがこの文代ことを「哀れな虚栄心のとりこになっている女」と言っていました。
…なんか、この令和の現代に通じるものがあるな、と思ってしまいましたね…。
すごいもんですね、1955年、昭和30年の小説なんですけどね…。

Kindle Unlimited で読みました。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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