人はどう老いるのか

読んだ本

久坂部羊さんの『人はどう老いるのか』を読みました。
久坂部先生の本は『人はどう死ぬのか』以来です。

久坂部先生の著書2冊目です。
今回も、なんだかいろいろ考えさせられました。

まず、久坂部先生が以前勤めていた、神戸にある老人デイケアサービスを併設したクリニックの話からでした。
そこにはお年寄りが毎日デイケアで通ってくるそうなんですが、アイドルのようにみんなから歓迎される人もいる一方で、癇癪を起こしやすくてみんなから嫌われてしまう人もいるそうです。
人間誰しも、老いると体の自由が効かなくなったり、頭もはっきりしなくなったりしていくのは当然なのに、このようにニコニコしながら老いていける人と、イライラしながら老いてしまう人、どうして2つに分かれるのか。
そう考えたとき、この「それぞれの人が『覚悟』を持っていたかどうか、ということなのではないか」という意見は、なかなかおもしろいなと思いました。
「歳を取ったら体が言うことをきかなくなるのは当然」として受け入れていた人は、「歳を取ったんだから仕方ない」とある意味の諦観でそれを受け入れられますが、そうではなくて「いつまでも若くいよう」とがんばりすぎている人は、それ受け入れられずにイライラしてしまって、結果『かわいくない老人』になってしまうのではないか、と書かれていました。
なるほどなーと。
巷では『アンチエイジング』、加齢に対して抗う術がたくさん紹介されていますが、久坂部先生に言わせればほとんどが『まやかし』みたいなものなんだそうです(笑…悲)。
そんなモノに大金を投じたり、その方向の努力ばっかりして抗いまくるではなく、ある程度「仕方がない」と諦めて受け入れなければいけない、と。
精神科医の樺沢先生がいつもおっしゃっている『諦める』という言葉の語源、『明らかにする』ということを久坂部先生もおっしゃっていて、「あぁ、やっぱりそうなんだな」と思いました。
精神科医の益田先生も、『諦観』についていつもおっしゃっていますね。
あとは、先日読んだ『教場 X 刑事指導官・風間公親』の中の『仏罰の報い』という話を思い出しました。

登場する大学教授は「自分も将来そうなるのだから」と必要のないときから杖を常用している人でした。
まー、その話の場合、それがある意味トリックになっていたんですけど…。

次に認知症について。
「絶対になりたくない」と、病気ランキングでは常に上位に位置している『認知症』。
ですが、認知症になった人は果たして不幸なのか。
そうとは一概には言えないのではないか、というのが久坂部先生の見解でした。
久坂部先生の『人はどう死ぬのか』を読んで、「癌は必ずしも不幸ではない」というのを知ることができたのはすごくありがたい発見だったんですが、今回の認知症についても同じように別の視点を教えてくださいました。
認知症に必死で抗って、毎日毎日「認知症にならないように」とがんばっていたとしても、結果としてなってしまうのは仕方ないことだ、と。
ある程度はできる範囲でがんばるけど、あとはもう受け入れるしかないと。
認知症になってしまえば、意外と穏やかに過ごせたりして、その本人たちはそんなに苦しそうではない、と。
なるほど、ひょっとしたらそうかもしれないですね。
ただまー、やっぱりなりたくないですね、できれば。
何なんでしょうね、この感覚は。
自分の自我がなくなるから怖い、ということなんでしょうか。

そして、前回は「『死』は練習ができない」と書いてありましたが、今回も「『老い』も練習できない」ものだから、いろんなパターンを想定しておきましょう、とのことでした。
最悪のパターンを考えておけば、自分の『道』がそこまで最悪なものでないのがわかり、受け入れやすいのではないか、とも書かれていました。
難しいですけどねー…。
誰しも老いたくないのは当然だと思いますし、本当に難しい問題だと思いました。
『安楽死』の問題とか、前巻でもあった「死の直前まで呼吸器や管をいっぱいつけられている状態」問題とか。
果たしてその延命が本人にとって本当に幸せなのか。
本書の中でも、亡くなった坂本龍一さんについて何度か書かれていました。
最後は「もう死なせてほしい」とおっしゃっていたそうです…。
本当に考えさせられてしまいますね。

『死』というのは、当然今生きている人たちの誰も経験したことがないですし、どういう準備をすればいいのかもわからないですし、きっとどんな準備をしても結局「ああしておけばよかった」と思ってしまうでしょうね。
それでも、心穏やかに過ごせるような準備はしておきたいな、と改めて思いました。
幸いまだ40代半ばなので、多分まだ時間があると思うから(多分…?)、いろいろ考えてみたいと思います。
自分のできる範囲、無理のない範囲での抗いもしたいなと思います。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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