米澤穂信さんの『ボトルネック』を読みました。
米澤さんの小説は『インシテミル』以来です。
いやー…、重い、重い話でした…。
『ボトルネック』という、なんというかシステマチックな感じのタイトルだったんですけど、中身はそういう『システムっぽい感じ』ではありませんでした。
とにかく重い。
自分が存在しなかったパラレルワールドに迷い込んでしまった、という内容だったんですけど、とにかく最後の最後で全部、全部否定されて、とどめも刺されてしまいました。
この状況だったら、最後は『そっち側』に行っちゃうだろうな、というところで終わってしまいました…。
『読者に委ねる』という感じなんだと思うんですが…嫌な想像しかできないです…。
自分が存在していた世界よりも、何もかもが『いい』世界でした。
『上位互換』という感じ。
「『お前の世界』が下位互換なのはお前のせいだ」と、とことん打ちのめされます。
「自分なんか必要ないんじゃないか」と薄々感じていつつも、もちろん自分では肯定したくないんですよね。
そんな中で、自分がよりどころにしていてすごく大切に思っていた少女がいました。
彼女は、自分の世界では不慮の事故で死んでしまったんですが、彼女に抱いていた恋心すらも偽物だったんじゃないか、みたいな展開になってしまいます。
それを眼前に突きつけられて、もう自分の存在意義が根底から揺らいでしまいます。
そもそも、そんなに生命に満ち溢れてる感じの主人公じゃなかったですし、起こったことを『正』として淡々と受け入れるタイプの子だったので、それも淡々と受け入れてしまう…んですかね…。
本当に重い話でした。
私は東北出身なんですが、東北も日本海側はどちらかというと晴れ間が少ないというイメージはあると思います。
ですが、両親の実家が秋田だったのでよく行っていたんですけど、夏はとてもすっきりと晴れていますし、冬も雪が降っていなければそれなりに晴れ間もあるんですよね。
私自身は金沢に行ったことがないので、天気の様子がどんなものなのかがあまりわからないんですが、作中ではずっとずっと曇っている感じでしたね。
それが、主人公の心の中にも反映されているようでした。
それから、自分が存在しえなかったもう1つのパラレルワールドには、自分の『姉』が代わりに存在していました。
彼女の頭の良さ、機転の効き具合、行動力の凄さみたいなのが際立って見えて、いつのまにか甘える『弟ポジション』になってしまっていました。
しかも、それも案外苦痛じゃなくて。
そのことも相まって、自尊心がみるみるうちにそぎ取られてしまったということでしょうか。
主人公の男の子の家庭環境は…気の毒としか言いようがないですね。
両親が揃って別々に不倫してる、それだけでもひどいのに、クソみたいな兄貴が自損事故で長い間入院していました。
まぁ、つい先日亡くなったみたいですが。
そんな家庭環境では、ずっとずっと曇りの中、太陽が照らない中を歩いている、という感じでしょうね。
そんな状態では、明るくいられるはずもないです。
やっぱり、家庭は楽しく、心理的安全性も確保されていて、安らげる場所じゃないとダメだということですね。
自分の姉に出会ってすぐのころ、「間違い探しをしよう」と言われるんですが、またその『間違い探し』という言葉自体も、「自分の方が合っていてそっちが間違ってる」的なことを突きつけられたような気がします。
自分のほうが来訪者なので仕方がないとは思うんですが、なんか悔しいというか、非常に不愉快ですね。
しかも、この『姉』がすごくいいやつで。
何度も助けてもらっていますし、彼女を憎みきれないところも、またプライドが傷つけられてしまうというか…。
すべてがまとまって降り掛かってくるようで、本当に気の毒でした。
少なくとも、私は自分の子供たちにこういう気持ちを味わわせないように、家庭を運営していかなきゃな…と思いました。
なんか、ため息しか出ないです。
もちろん、おもしろかったんですけどね。
自分自身がこの世界のボトルネックだった、ということに気づいてしまった時の衝撃が強烈でした。
そして一番最後のお母さんのメール、あれが本当に最後のトリガーになってしまいました。
でも、ああいう感じの言動って、私もついつい気分に任せて言ってしまったりすることがあるので…本当に気をつけないといけないですね…。
今回は対面じゃなくてメールだったというのも良くなかったですし、自分の感情をそのままにぶつけてしまったのも良くなかった。
相手が今どんな状況なのかもわからないのに、きつい言葉をぶつけてしまったのもよくなかったです。
本当に、『最後の一押し』になってしまったんだとしたら、それに気づいたこのお母さんは本当に心底後悔するだろうな、と思いました。
気をつけよう…。



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