どこかでベートーヴェン

読んだ本

中山七里さんの『どこかでベートーヴェン』を読みました。
先日の『いつまでもショパン』の続刊です。

読み終えて「そうなのか、鷹村くんが中山さんだったのか」と、納得してしまう話でした。
前回の『いつまでもショパン』の本編の最後、大統領が『ミサキ』に対してメッセージを送っているシーンを、別の人の視点から見た感じで始まりました。

岬先生の『エピソード0』ともいえるこの作品。
登場する岬先生は、高校生です。
ただ、高校生の姿であっても、すでに岬先生の下地は出来上がっていて、今の彼とほとんど変わらない感じでした。
相変わらず、自分に対する好意には無頓着で、でも周りを観察する力はものすごい。
そして、今回名付けられた『破壊神』という称号は、残念ながら本当に彼にぴったりだと思ってしまいました…。
初見は「シドーかよ」と思いましたけどねー…。
音楽に携わって生きていきたいと思っている人すべての夢を砕くような破壊力を持つ演奏。
絶望と希望を同時に味わわせるような音色。
…聞いてみたいな…、どんな感じなんでしょうね…。
私自身は音楽で生計を立てたいと思ったことが一度もないので、それだったら岬先生のピアノを無邪気に聞いていられるんでしょうか?

今回は、いろいろ不運なことが積み重なってしまった、という印象です。
たった半年間の岐阜生活でしたけど、彼にとってはとても苦いものになってしまったかもしれないですね。
でも、鷹村くんを始めとして、岬先生と同じ学び舎で過ごした人たちは、彼のことは一生忘れないだろうなー。
それほどインパクトのある人物だったでしょうし、事件だったと思います。

正直、犯人についてはなんとなく想像がつきました。
鷹村くんの説明には明らかに取りこぼしがありましたし、私もそれに気づけたので。
まー、動機についても多分「アレ」だろうな、と。
…かわいそうではありますけど。

にしても、高校生のいじめってこんなにあからさまな感じなんですね…。
私の高校時代は、みんながみんな「他人に興味がない、自分の成績を上げるだけ」という感じだったので、「そんなことしている暇があったら勉強しろ」的な空気の中、(多分ですが)いじめとかなかったと思います。
でも、これだけ才能を見せつけられてしまうとそんな風に歪んでしまうんでしょうかね。
急で大きな力が加わると予期しない方向に曲がっちゃう、という感じなんでしょうか。

今回の物語で初めて、岬先生の『爆弾』である難聴が発症してしまいました。
精神科医の樺沢先生も「難聴は発症してからすぐに治療をしないと治らなくなってしまう」とおっしゃっていましたが、「まさにそれ!」という感じでした…。
本当に、本当にもったいない…。

にしても、岬検事の息子に対する態度、すごいですね…。
それを受け流すというか、やり過ごしている岬先生もすごいです。
いやー、ギスギスしてますねぇ…せっかくの自宅なのに、2人とも心休まるときなんてあるんでしょうかね…。
それを思うと、今回の書き下ろし短編である『協奏曲』は、なんだかとてもいいネーミングだと思ってしまいましたね。
めちゃくちゃ頭が良くても、自分の知らない知識については知らないまま、ということなんでしょうね。
以前読んだ『刑務所しか居場所がない人たち』に書いてあった、「(知的障害は)どうしたら治るのか?」という質問も、あながち誇張じゃないんだろうな…と思えてしまいます。

どうやら次回作も『ベートーヴェン』。
今回と何か関連のある話なんでしょうかね?
楽しみです。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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