シンシアリーさんの『韓国人として生まれ、日本人として生きる。~新日本人による日韓比較論~』を読みました。
シンシアリーさんの本は初めて読みました。
お恥ずかしながら、シンシアリーさんのことも存じ上げていませんでした。
名前が『シンシア』さんで名字が『リー』さんだと思ったので、勝手ながら女性だと思っていて…。
本書の『はじめに』のところに『(シンシアリーは)そういえば女性だという話もありましたが、最近は聞きません』とあったのを読んで、初めて「あ、男性なんだ…」と思った次第です。
だって『シンシア』といえば、モシャスを唱えて勇者の身代わりになる『はねぼうし』のあの子が第一想起じゃないですか…。
そもそもペンネームのようですね。
元々韓国で生まれて韓国で育った方なんだそうです。
1970年代生まれ、シンシアリーさんのお母様が40代のときの子供なので、お母様は現在80歳以上。
なぜそんなことに言及するのかというと、現在80歳以上の方はいわゆる『併合時代』の経験者なので、現在韓国内で『常識』とされている『邪悪な日本人の支配』や『慰安婦』などが間違っていることを聞いて知っているとのこと。
私自身、その辺の知識は全くないですし、周りにその時代を知っている人もいないので(父方母方ともに祖父母は亡くなりました)、知るすべがありません。
なので、ニュースで慰安婦問題をやっていたとしても、実際はどうだったのかがわからないので、なんとも反応のしようがないというのが正直なところで…。まぁ、「何度も何度も蒸し返してきてイラッとするわ」とは思いますが。
今回シンシアリーさんのお母様が若かった時代のエピソードを読むことができて、なんだかちょっとホッとしました。もちろんひどい目にあった韓国の方もいたと思うんですが、それが全てではなかったんだと知れたことが嬉しかったです。将来子供に聞かれたとき、少しは考えを言えると思うので。
今回この本のタイトルが『韓国人として生まれ、日本人として生きる。』となったのは、シンシアリーさんが日本に帰化したからだそうです。
すごいですねー! 本書の段落のタイトルにもなっているんですが、『「韓国が嫌い」だからではなく「日本が好き」で帰化』だそうで。なんだかそんなに好きになってもらえて嬉しいです。自分には帰化したいと思うくらい好きな国って特にないので、なおさらすごいなと。
本書は7章の構成になっているんですが、特に『第2章 新日本人による韓国旅行記』がおもしろかったです。
今回帰化したことを韓国の親族の方々にお知らせするため(と、諸々の手続きのため)に韓国に『行ってきた』とのことです。
『帰ってきた』としないところが本当におもしろい。やっぱりもう日本人なんですね。
中でも『学校に皆勤する子は貧乏人とみなされる』的なエピソードには、まさにカルチャーショックを受けました。
…私、小学校は各学年で3日以内程度、中学と高校2年までは皆勤だったので…。高3だって、盲腸やったから入院しただけで、他は皆勤だったもん! 大学受験の後はダウンしましたが。健康バンザイ。
そんな、皆勤に誇りを持っているような私の感覚だと、韓国では子供はいじめられてしまうのか…。「んなもん、人は人だから気にすんな」とか言って子供を傷つけてしまいそう…。
カルチャーショックといえば、『なぜ、韓国人は「塩味」という言葉を嫌うのか』とか、『事物尊称』とか、それもカルチャーショックでした。
私はラーメンは塩味大好きですし、敬語については日本でも『バイト敬語』なんて言われてニュースになったこともありますがそれよりも酷いな、と…。
思えば、東京に住んでいたときの小学校では一人、仙台の小中学校では二人、転職して勤めていた会社で一人、それぞれ韓国人の方と一緒に過ごしていましたが、彼ら彼女らの国について突っ込んで聞いたことはなかったなーと。
あと、20年以上前に『GO』という映画を見に行きました。窪塚洋介さん主演、柴咲コウさんがヒロイン役で出ていたのも覚えています。
前知識何もなしで見に行ったので、在日韓国人の話だったこともあまり良くわかっておらず、後半でヒロインが急に態度を変えるシーンも意味が分からず(主人公が在日韓国人と分かったから態度が急に変わった)、かなり戸惑ったのを覚えています。
就職して同和問題とかの研修を受けて、ようやく意味がわかりました。無知ですね…。Wikipedia の『部落問題(同和問題)』のページにも『現在の東北出身者のほとんどは住む地域や職業による差別が存在すること自体知らず、理解に苦しむ者がほとんどである』とあって、まさにこれだなと思いました。
話がかなりズレましたが、お隣の国なのにあまり知る機会がないまま大人になってしまったので、今回のこの本は本当に勉強になったなと思っています。読んでよかったです。
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