麻野涼さんの『県警出動』を読みました。
麻野さんの小説は『死の臓器2 闇移植』以来です。

この『県警出動』は、現時点で4冊出ているシリーズモノのようです。これはまた楽しみ。
群馬県の道平川ダムで男性の遺体が発見されました。遺体は群馬県で県議をしている鈴木泰蔵で、元は県立高校で教師をしていました。釘にはロープが巻かれた状態でしたが、現場は雨で状況が悪かったため、他殺か自殺かはわかりません。群馬県警のベテラン刑事である財津は、新人刑事の塩野とともに捜査を開始します。
鈴木県議は教え子たちの応援やボランティアなどで選挙活動を賄っており、資金のやりくりは常に苦しいものだったようですが、「多額の献金をしてくれる教え子が見つかった」と周囲に言っていたそうです。また、彼はある高級クラブのママに入れ込んでいて、ママからはストーカーと認識されるレベル出会った様子。しかもそのママである百合子はかつての教え子でした。百合子と高校時代からつるんでいた片岡学、そして学の妻である愛美も捜査線上に上がってきます。県議をしていた鈴木の知られざる一面と、過去の悲しい出来事が次々と明らかになっていきます。
財津刑事はなかなかおもしろい人物ですね。過去自分が解決できなかった事件を忘れないために『着たきり刑事』となったいきさつがあります。このことはまたいつか深掘りされるんですかね。そして、その『着たきり』のレベルがどの程度なのかちょっと気になります…。
途中で出てくる『命の授業』は、先日読んだ麻野さんの『悪い女』に繫がるところがありますね。

子どもは自分で生まれてくる環境を選べないですからね、その環境がつらいものだったら不幸な幼少期を送ることになってしまいます。悲しいですが、どうもできないのがつらいですね。犯人にとって、『その1点』以外は比較的恵まれている子供時代だったのに、『その1点』があまりにも大きくて。不可抗力だったのに、そこから全て台無しにされてしまいました。しかも、恵まれているはずだった環境が、そこから逃げるときには逆に足かせになってしまった。どうすればよかったんですかね…。悲しいです。
Kindle Unlimited で読みました。
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