やがみさんの『僕の殺人計画』を読みました。
やがみさんの小説は初めてです。
やがみさんは有名な YouTuber さんのようですね。
『ホラークリエイター』とのことで…YouTube でホラーは見ないジャンルなので…ホラー小説はたまに読みますが、映像が伴うと無理なので…。
読み終えて、一瞬ぼーっとしてしまいました。
まだ『わかっていなかった』ので、「サイコパスって遺伝するんだなー、子供もちょっと猟奇的な子に育っちゃうんだろうなー」って感想だったんです。
で、もう1回はじめのページを開いて…そこでようやく理解。
そっちかー! と。
物語のはじめは、ある男性『立花涼介』が『包丁』で殺人事件を起こしたことを警察官が宣告するシーンから始まります。
宣告を受けたのは女性。家族のようです。
その後、男性の半生が綴られます。
…なんかおかしいんですよ。
立花氏は編集の仕事をしていて、 スキャンダルの責任を取らされる感じで部署を移動させられたんですが、それでも妻子のある幸せそうな男性です。
でも、その裏では鬱積した思いが心の中にあって、歪んだ欲望に支配されてしまいます。
そして、それを実行。
しかし犯行が露見してしまい、逮捕されるに至ります。
「で、最初の場面かー」と思ったんですが…それだと話が合わない。
この『女性』はこんなに取り乱している。
おかしいんです。
だって立花氏の犯行を暴いたのはこの女性であるはず…。
それに、殺害方法が…?
この少しの違和感を無視しつつ読み進め、立花氏の幼かった息子さんが大きくなり、父と行った思い出の公園でちょっと猟奇的な振る舞いをします。
そして、書きかけの父への手紙に目を落とす。
『立花涼様…』
そしてダメ押し、最後に母に名を呼ばれながら家を出るシーン。
なるほどそっちかーーー!!!
となったわけです。
なるほど、『ホラー小説』だわ。
こわいこわい。
遺伝? 英才教育?
気付けてよかったような、気付かないほうが良かったような…。
お母さんは悲しみしかないですね…。
最近読んだところだと、葉真中顕さんの『絶叫』のような、殊能将之さんの『ハサミ男』のような『アハ体験』でした。
以前読んだ我孫子武丸さんの『殺戮に至る病』も思い起こされますね…。
しかし、ミスリードのためだと思うんですが、現実的に子供にこんな名前をつけるんでしょうか?
外国だとたまに『◯◯ Jr.』みたいな名前を見ますが、それの亜種…?
家庭内で呼称で混乱しちゃいますね。
話の内容としては。
人の頭の中でどんな想像をしていたとしても、それは誰にも迷惑かかってないからいいんじゃないかと思うんですが。
ひとたびその想像が外に出てしまった瞬間、目も当てられなくなる事態になってしまいますね。
こわい。
せっかくの『天職』だったのに、それを不当に奪われてしまったことが今回の犯罪の加速要因になってしまったのだとしたら、誰が悪いんだろうと思ってしまいます。
モノローグ的な書き方だったので、誰がそれを語っているのかがわからなくなることがちょっと多かったです。
結局誰の話なの? って。
で、読み終えてもう1回確かめようと思って最初に戻ったら…というわけだったので、計算されたわかりにくさだったのかもしれません。すごいな。
部下の小野寺さんについても、なんか急に豹変するんじゃないかと思ってビクビクしながら読んでいましたが…。
むしろ彼女のお母さんの方がびっくりしました。
かわいそうな被害者ですね…。
そういうことってよくあるんでしょうか?
中山七里さんの『作家刑事毒島』や、百田尚樹さんの『夢を売る男』なんかを思い出しました。
まぁ、『夢を売る男』はちょっと違うか。
インフルエンサーのミサの挙動はもう「あー、それ死亡フラグだからー」と思いながら読んでいました。
そして、案の定。
まぁ、皆さんそう思ったと思いますが。
なので、誰が一番怪しいのか、と思って読み進め、「そっちからきたか」と唸ってしまいましたねー。
さすが新進気鋭の作家・YouTuber ですね。
とてもおもしろかったです。
今はこの1冊しか出されていないようですが、これからも書いていただきたいですねー。
… YouTube の方は怖くて見られそうにないので…。
Kindle Unlimited で読みました。
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