麻野涼さんの『県警出動 時効未遂』を読みました。
先日の『県警出動』の続刊です。
今回は、財津刑事が『着たきり刑事』になったきっかけの事件が根底にありました。
こういう主人公の『過去』みたいな事件が解明されるのは熱い展開ですよね! ただ、もうちょっと後の巻になるのかな? と思っていたので、『県警出動』の2巻目で来たとわかり、ちょっと驚きました。
群馬県警の財津刑事には『着たきり刑事』という二つ名があります。財津刑事が昔解決することができなかった事件に『スーパーフジトミ事件』というのがあります。閉店後のスーパーで従業員3名が射殺されてしまった事件です。財津の娘の友人だった柿沼紗和の母親の恵里が被害者の一人でした。事件を解決するまでは着ている服を着倒して願掛けにしていましたが、それも虚しく解決できないままに時効を迎えてしまいました。
時は流れ、紗和とも疎遠になったある日、上海のツアーに参加していたある女子大生が覚せい剤の密輸容疑で逮捕されてしまいました。現地では最悪死刑もあり得るとのこと。その女子大生・鶴見みなみの父親は、かつて『スーパーフジトミ』の経営に関わっていて、現在は市議をしている鶴見隆之助。実はスーパーフジトミ事件では容疑者として浮上していた人物です。しかも、ツアーの企画をしていたのが柿沼紗和で、そのツアーには他の被害者の遺族も参加していました。
何か裏があると感じた財津刑事は、塩野刑事とともにツアーのこと、スーパーフジトミ事件などを捜査します。
今回の話を読んで、一番はじめに思い出したのが『ブロークダウン・パレス』という映画でした。私は見に行っていないんですが、妹が友人と見に行って帰宅後に話してくれました。外国に遊びに行った二人の女の子が、空港で目を離した隙に自分の荷物に麻薬を入れられてしまい、それで捕まってしまうという映画…だったはずです。最後はなんだか胸糞悪い結末だったと聞きました。私は当時大学生だったため、「そんな濡れ衣みたいなことで終わっていいの!?」と思ったものです。
今回の『県警出動 時効未遂』では、一応みなみは納得のいく結果になりましたが、本当に怖いですね…。見に覚えが全くないことでここまで大事にされてしまう可能性があるんですね。どうやって身を守ればいいんだろう…? 荷物はちゃんと施錠する、くらいしか思いつかない。
そして、隆之助市議。彼がこれから受けるであろう『制裁』は、きっとつらいものでしょうね。でも仕方ないです。この展開は、麻野さんの『三叉路ゲーム』の最後を思い出しました。
それにしても、前回の『県警出動』ではあまり存在感がなかった塩野くんが、着たきり刑事2世みたいになってきておもしろいです。東大法学部首席卒業は、ちょっとステータス万全すぎじゃないですか…? それでこんなに素直な感じで財津さんと一緒に捜査するんですね。かわいい人だなぁ。
Kindle Unlimited で読みました。
[AD]県警出動 時効未遂 [AD]Kindle Unlimited
コメント