中山七里さんの『護られなかった者たちへ』を読みました。
先日の『彷徨う者たち』と同じ『宮城県警シリーズ』です。
この『護られなかった者たちへ』は、2021年に読んでいました。
今回は再読です。
確か、映画『護られなかった者たちへ』の公開に合わせて読んだような気がします。
話ほとんど覚えていました。
まぁ正直、この利根くんがもう少し思慮が深かったら…というのが悔やまれてならないです。
利根くんが放火さえしなければ、殴ったところでやめておけば、ここまで重大な罪にならなかったでしょうに…。
そうしたら、長く刑務所に入ることもなかったでしょうに、そうしたら『カンちゃん』のそばにいられたのに…。
彼が情に厚い真面目な人だということはよくわかったんですが、放火なんて本当に重大な犯罪ですし、それがなければこうなることもなかったかもしれないのに…と、本当に悔やまれます。
『宮城県警シリーズ』の第1弾なんですが、この時点ですでに東日本大震災の後なわけです。
みんな震災で傷ついていて、なんだか犯人も警察も血を流しながら闘っているようで、本当に辛い話だなと思いました。
最初に読んだ5年前は、犯行の方法である『餓死』が本当に残酷に思えて、結構怖かったのを覚えています。
しかも、相手さえ完全に拘束できれば、あとは『放って置くだけ』という、ある意味すごくお手軽な方法なわけです。
あとは自分に良心の呵責さえ生まれなければ、その現場に立ち入らないで忘れることさえできれば、そのうちに成し遂げられるわけですからね。
やられた方は、ものすごい恐怖だったでしょうけどね。
しかも、何日も何日も…。
私は常々「何かが無くなって死ぬのは嫌だな…」と考えているんですが(みんなそうだとは思うけど)。
例えば空気とか食料とかです。
これがまさにそれだったので、本当に怖いと思いました。
けいさんが「貰い物で香りのついているティッシュは噛むと甘みが出るんだ」と言うシーンがありました。
自分が高校生のときに、友達から「保湿ティッシュは舐めると甘い」と聞いて、部室でみんなで舐めた記憶があります。
私の中では『お馬鹿な思い出』となっていたんですけど、けいさんのことを考えると本当に辛いですね。
私は幸い、その日暮らすのに困るくらい困窮したことはなかったんですが、大学を卒業して就職して一人暮らしを始めて最初のお給料が出るまで、いや、半年くらいは、「ちゃんと暮らしていけるだろうか」と、本当に本当に不安で眠れなかったのを覚えています。
もちろん、けいさんたちの苦しみに比べたら全然大した事ないとわかっていますが、それでも「お金がない」ということがどんなに不安なのか、というのは少しだけ分かります。
そんな状況でも、けいさんはカンちゃんと利根くんを迎え入れて、それで毎日暮らしていました。
生活保護の不正受給は本当に嫌な問題ですし、それが反社会的勢力の資金源になっているという話も聞いたことがあります。
でも、本当に必要としている人にはちゃんと届いてほしい、と思うんですけどね…。
本作にも書かれていたけど、真面目な人や昔気質の人ほど「人に迷惑をかけちゃいけない」として自分だけでがんばろうとしてしまいますからね。
一方で、福祉事務所の人が水際作戦で食い止めるというのも、仕方ないとは思います。
予算が無尽蔵にあるわけではないですし、それこそ反社会的勢力の問題もあります。
今回ターゲットになった3人の人物は、まぁ態度などには問題があったかもしれないですが、一応上から言われたことをこなしていただけ、ではあるんですよね。
3人がターゲットになってしまったのは不幸だったわけで、本当であれば国に対して怒りをぶつけるのが妥当なのかもしれないですね。
今回、この3人がたまたまときどき『嫌な奴』だったから、読者側の同情が薄らいでしまっていますが、これ完全にとばっちりな可能性もあるわけですからね…。
本当に、いつどんなことで他人から恨まれるかわかったもんじゃないな、と本当に思いますね。
以前読んだ『鍵の掛かった男』のときも、そう思いましたけど…。
映画はタイミングを逃して見に行けなかったんですよねー。
でも、『カンちゃん』が『女の子』になっていたのは、なかなか唸ってしまいました。
確かに、あの漢字でも「カン」と読めますし、そっちの方が正体がわかりにくいですもんね。
まさに、『監禁さえできれば女性でもできる犯罪』ですしね。
利根くんは、後半に仙台空港で女装することになっているんですけど、映画でもしたんでしょうか…?
佐藤健さんの女装…気になります…。



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