遠藤かたるさんの『推しの殺人』を読みました。
遠藤さんの小説は初めてです。
先日の『一次元の挿し木』もですが、こちらの『推しの殺人』も『このミステリーがすごい!』大賞の文庫グランプリを受賞した作品です。
いやぁ、『このミス』すごいですね、やっぱりおもしろいですね!
タイトルが正直、『【推しの子】』の2番煎じっぽくてなんだかな…と思っていました。
…ところがどっこい。
もう、終始ドキドキしっぱなしで、本当ーーにおもしろかったです!
アイドル3人組の社長が殺されてしまって…というところから話はスタートします。
そしてどうやら、メンバーのうちの1人がやったことだ、と判明。
普段はあまり仲良くない3人組なのに、めちゃくちゃ結束・協力して死体を山中に埋めることに。
運ぶ段階、穴を掘ってる最中など、今まで見せたことのなかったような団結力が見られ、皮肉なことにアイドル3人組の信頼感が増し、どんどん成長していきます。
その3人組アイドル『ベイビー★スターライト』の最年長のルイが主人公で、彼女の視点で物語が進行します。
彼女の生い立ちがかなりかわいそうで…。
ずっと「自分が家族を壊してしまった、父親と母親と妹を殺してしまった」と思い込みながら生きているんですよね。
たしかに、『ルイのせい』である部分も少しはあるかもしれませんが、でもルイは悪くないよ…。
『父親』に関しては、「よくやった」と言ってあげたいくらいです。
妹さんと母親に関しては…本当にかわいそうだなと思います。
ただまぁ、誰がなんと伝えようと、ルイはずっと罪悪感を抱えながら、今までも生きてきて、これからも生きていくんでしょうね。
そして、それは仕方ないのかもしれないな、と思いました。
さらに、今回の『殺人事件』起きたことで、ルイの中で彼女の『妹』と『メンバーの2人』が重なってしまい、「絶対守らなければいけない」存在になっていきました。
もう、読んでる最中に、何回も「お姉ちゃんだな」と「長女だな」と思いながら読んでいましたね…。
巻末の『解説』にも書いてありましたし、私もなんとなくそう思っていたんですが…、やっぱり桐野夏生さんの『OUT』を思い浮かべますよね…!
あの『OUT』は、風呂場で死体を切断するシーンがあまりにも生々しくて。
電車で立って読んでいて、気持ちが悪くなって席を譲っていただいたという経験があります…。
(20年くらい前に席を譲ってくれた方、本当にありがとうございました…)
今回、『解体』まではしなかったものの、『罪で結束が固くなる』みたいな感じは、やっぱりすごく似てるなと思いました。
途中で出てきた河都という男性。
『救世主』かと思いきや…なんとも『疫病神』というか『死神』というか『ラスボス』と言うか。
本当に驚きました。
「めっちゃサイコパスじゃん」と。
私も、メンバー2人と同様、ルイと過去に『ロマンティックな関係』だったんだろうな、と勝手に思っていたので…。
いやぁ、まったくそんなことなかったですね、本当にびっくりです。
ルイは、まぁ恋愛感情があったかもしれないし、それが叶わなくても構わないと思っていたかもしれないですが。
サイコパスに見返り的なものを求めてはいけないんですね…改めてよく分かります。
一番最後。
まさか、マネージャーの土井さんがこういう人だったとはー、と驚きです。
本当に…もっと早くにわかっていれば、何か違った展開になったかもしれない…と、ちょっと悲しい気持ちになりました。
それと、本当はずっとこうやって支えてくれていたんだな、というありがたさもしみじみ感じました。
チケットまで用意してくれて、すごい。
河都の始末をどうするのかな、というのが気になります。
ひょっとして、あの場所自体が気づかれにくそうだから、このまま気づかれないで行けるんでしょうか…?
さすがにそれは無理か…?
河都が頼んでいたという興信所は、要するにもう『アレ』を見つけちゃってるわけですよね。
それも、河都がこのままアクションを起こさなければ、このままうやむやになってくれるんでしょうか?
こういう『クライムサスペンス』系(でいいのかな?)で、最後がこういう感じで終わるのって、意外とあまり読んだことなかったかもしれないな、と。
『OUT』も捕まりはしなかったですが、最後は国外に行ったような…。
(ドラマと小説とごっちゃになっている可能性があります)
あとは、貴志祐介さんの『青の炎』だとねー…最後は泣いたなー、仕方ないとはいえ。
そういう感じで、少なくとも『今まで通り』は無理だろうな、という感じだったので。
もちろん、ここから本当にどうなるかわからないですけどね。
それに、隠すんだったら一生、何十年も隠していかなきゃいけないわけですね…。
でも、みんな腹は決まっているみたいですから、なんとかがんばってほしいな…と思ってしまいます。
「取り返しただけだよ」という言葉、私にもすごく響きました。
河都も言っていましたが、やっぱり『女性である』というだけで、なんでこんな風に扱われなきゃいけないんだろう、とは思います。
宮部みゆきさんの小説にもよく書いてありますね…模倣犯とか。
一応、地球上の約半分の人間は女なはずなんですけどね。
『若さ』とか『性』を売る業界みたいなものが、これだけ確立されてしまっているわけですから、もう今更変えようもないでしょうし。
「複雑だな」と「嫌だな」とは思いながらも、どうすることもできないですね。
私も女児の母なので、娘がそういう目に遭わないようでほしい、とは思いますけど…どうしたらいいもんでしょうかね…。
やっぱり『犯人』側の視点なので、ピンチになっているところがすごくたくさんあるんですよね。
で、その度に私の方の心拍数もめちゃくちゃ上がってしまって、息切れがして大変でした(笑)。
本当におもしろかったです。
Kindle Unlimited で読みました。
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