横溝正史さんの『七つの仮面』を読みました。
先日の『三つ首塔』の続刊です。
以前読んだ『首』以来の短編集です。
相変わらず表紙が気持ち悪いですね…。
今回は7つの短編が入っていました。
多いですよね。
『七つの仮面』の『七』に合わせたのかな…?
1つ目は表題作『七つの仮面』。
今回も、前回の『三つ首塔』と同様に、金田一さんが脇役で別の語り手の視点で進む話でした。
…文体が『です・ます調』と『だ・である調』の混在になっているんですよ。
わざとなんだと思うんですけど、それがなんだかとても不安というか不安定な気持ちにさせるんでですよね…。
しかも、最後にこの語り手が実は『信頼できない語り手』だったということがわかります。
その彼女は最後に自殺してしまうんですけど、その直前の描写がアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』の『最後』の女性が自殺するところを彷彿とさせるんです。
なんだかゾッとしてしまいました。
確かに『こんなもの』を見たら「これも運命だったのかも」と絶望的な気持ちになってしまって、自殺してしまうのも仕方ないかもしれないですね…。
この話を読んで、「どこが違ったら違う結末になったかな」と考えたんですけど、「彼女が色情狂じゃなかったら違ったのかな」と。
…まー、それは難しいのかなー、うーん。
2つ目は『猫館』。
殺された2人の女性の、それぞれトップスとボトムスがなくなっているという事件でした。
それぞれ1個ずつ剥ぎ取って、返り血を浴びた服を捨ててそっちに着替えて逃亡した、という筋書きでした。
その部分で、以前読んだ佐藤青南さんの『お電話かわりました名探偵です』の『CASE2 誰かが大根を食べた』を思い出しました。
ちょっと違うような気もしますが、いろんなものを持ってきて合わせて…というので連想したんだと思います。
動機としては、昔のゆすりの材料を取り返す、とかそんな感じでした。
結局、いつもそういう上流階級の人はエロにまみれるんだな、と(笑)。
金があって暇だと、そういう方向に行っちゃうんでしょうかねー。
それがひどくなると、貴志祐介さんの『クリムゾンの迷宮』とか、米澤穂信さんの『インシテミル』みたいな方に行っちゃうんでしょうかね。
血をごまかすために猫の首を切ったというのは、『金田一少年の事件簿』の『秘宝島殺人事件』の鶏や『金田一フミの冒険』(鵜飼のやつ)を思い出しました。
3つ目は『雌蛭』。
不思議な導入部の話でした。
金田一さんのところに電話がかかってきて、「忘れ物を取りに行ってほしい」という依頼。
指定された場所へ取りに行ったら男女の死体があった、という話でした。
しかも、顔が潰されているんですよね。
やっぱり、『顔がない』ということで「入れ替わりなんだろうな」と思っていたんですけど、短編なので誰と入れ替わっているかまでは考えられませんでした。
しかし、こんな感じの依頼のされ方だと、働いたのに料金すっぽかされたりとか、よくありそうですね…。
『金田一パパの事件簿』で一番最初の事件『私立探偵殺人事件』(が、正式名称?)で、『暗イ暗人(クライアント)』からの依頼はメールでしたけど、オンラインバンキングに直接入金があって、それで動き始めたという感じでした。
この時代だとそんな仕組みはないですから、それこそ本当に『信頼』でやらなきゃいけないでしょうし、一方で『信頼』を『屁』とも思ってない人もいるでしょうから、大変でしょうねー。
しかし、金田一さんはその『別の方向』から事件にタッチしてしまっていたのでね…。
結局それがバレないで終われるのか、ずっと心配でした。
4つ目は『日時計の中の女』。
なんだかよくわからないまま終わってしまった話でした。
金田一さんもしばらく出てこないし。
主人公の女は、自分の旦那と愛人関係にあるっぽい女の話を聞きながら、互いにイライラしている感じです。
離れて暮らしている自分の妹を呼び寄せるとか呼び寄せないとか、そんな感じで人間関係説明されて、その後にずいぶん前に殺されたであろう死体が庭から発見されます。
女はその遺体を見てさらにノイローゼ気味になって、金田一さんに依頼する…という流れでした。
事件は一応の解決を見せるんですけど、最後は関係者と『話し合い』をする、という、なんだか不思議な結末だったんですよね…。
結局、最後の最後まで本当の動機は明かされないまま終わってしまいました。
なんだか本当に不思議な事件でしたね。
正直、よくわかんなかったし…。
『小説家とアイデア出しの関係』だと、以前読んだ有栖川有栖さんの『狩人の悪夢』を思い出しました。
5つ目は『猟奇の始末書』。
先輩の別荘に遊びに行ったら、殺人事件が起きてしまった話(こんなんばっかし…)。
トリックとしては、なんかちょっとバカされたような気もしないでもないですね…。
結局最後自殺して終わっちゃうんだもんなー。
いや、むしろ『無理心中』でしょうか?
しかし、金田一さんの先輩も、何というか『いいご趣味』をお持ちなようで。
この手の趣味といえば、あだち充さんの『陽あたり良好!』の美樹本くんを思い出すんですが…。
せっかくの開放的な海、潮の香り漂うような雰囲気だったのに、やっぱり金田一さん来てるから殺人事件になってしまうんですよねー(笑)。
6つ目は『蝙蝠男』
久しぶりにすっきり終わった話だなと思いました(笑)。
しかし、受験前に『そんなもの』を見せられてしまって、まーーー気になって気になって仕方ないですよね。
かわいそうでした。
今みたいに、窓を閉めて冷房(や暖房)を効かせるという時代でもなかったんでしょうし。
まぁ、結果的に、目撃したものは『偽物』だったわけなので、すぐに忘れてすっきりとした気持ちで大学生活を楽しんでほしいですね。
しかし、途中で出てきた証人たちはまーー怪しい怪しい。
「そんな、自分からわざわざ言いに出てきたりするもんかねー」と思っていたんですよね。
しかも、やっぱり嘘つきの定石として、『本当に隠したいところ』だけ隠す、みたいなのがうまいです。
一番最後、金田一さんが腕時計を送ったんですけど(送り主は『K.K』のイニシャルのみ)、なかなか粋なプレゼントをするなと感心してしまいました。
最後は『薔薇の別荘』。
これもなかなかすっきりした話でした。
なぜかといえば、『金田一少年の事件簿』の『雪夜叉伝説殺人事件』、一番最後のニセ氷室画伯の殺人のときと同じトリックだったので、すぐにわかったからです(笑)。
『ダミー』を用意していたというのはちょっと分からなかったですけど…。
で、被害者が糖尿病の患者でインシュリンを定期的に打っていたようなんですけど、医者に予備のインシュリン注射をせがんでいて、「乱用しないように」と注意されていた、という下りがありました。
「インシュリンって、たくさん打つと何かいいこと(医学的には悪そうですけど)があるのか?」と思い、Gemini さんに聞いたところ、どうやら『低血糖による多幸感』や『現実逃避』、あと『失神』自体が気持ちがいいと感じる人もいる、と教えてくれました。
この当時は、今のように自分で打てるものではなく、人に打ってもらう用のガラスのアンプルだったみたいですね。
…まあ、『自分で注射する』というのが子供心にものすごく怖くて、「絶対に糖尿病にだけはならないようにしよう」と思いましたもんね…。
ま、怖い病気ですよね、いろんな病気の原因になり得る病気ですし。
話の内容もなんとなく想像ができました。
しかし、時代背景的に『勝手に配偶者を決める』みたいなことって、この時代でもまだ多かったんでしょうかねー。
戦前だと『出征前に初対面の人と結婚する』みたいな話はよく見ますが、まだそういう感じなんですかね。
しかし、殺人があともうちょっと遅かったら、「そもそも殺しても無意味」だとわかっただろうに…。
なんだかタイミングが悪かったですね。







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