誰彼 新装版

読んだ本

法月綸太郎さんの『誰彼 新装版』を読みました。
法月さんの小説は『生首に聞いてみろ 』以来です。

いやぁ、なかなかおもしろかったです!
解説にも書いてあったんですが、法月綸太郎さんが何回も「推理して」「間違って」「推理して」「間違って」…という感じで、どんどんいろんな推理が出てくるので、こちら側も結構混乱してしまいます。
いろんなところから犯人候補が出てきますが、最後はそれか…と納得です。
『金田一少年の事件簿』でいうと、『首吊り学園殺人事件』みたいに、一旦完全に犯人の術中に入ってしまうんですが、そこからなんとか抜け出して真実にたどり着いた、みたいな感じでしょうか。

とりあえず私達読者は、最初の時点から『この人』が『3人いる』ということにを知っているので、残り『2人』が『消えた』ときに「あ、もうこの人しか残ってないんだ…」とすぐ飛びつけるわけなんですが。
でも、『登場人物たち』的には、まず「3人いる」ということになかなか気づけないですよね…。
そこまでたどり着けたこと自体が、まずものすごい奇跡だと思いました。
フィリピン人の女性は…結局はなんだかちょっとかわいそうな感じになってしまって、「日本人のせいでこんなことになってしまってごめんなさい」という感じではあります。
でも、そもそも『同じ顔』をしてるからと言って、2人の男性が1人の女性を共有するという発想自体が…まぁ普通考えて無理なような気がします。
いくら口裏を合わせることができるとは言え、他人には言わないいわゆる『性活』の癖みたいなものもあるでしょうし、いくらなんでもそんなところまで共有するとは思えないですよね…。
そういうところから、その女性であれば「いつもの人と違う」というのは容易に気づけるかと思いました。
そもそも論なんですが、ずっと離れて暮らしていた3人がまったく同じ顔…というのが奇跡に近いような気もしますけど。
「生活が顔に出る」ってよくいいますからね。
まぁ、この女性の存在が『3人(2人)の男性の入れ替わりの秘密』みたいなもののキーになったというのは、すごいなーと思いました。

しかし。
巨額の(献)金を使って塔を建設して、その塔の仕掛けで『二重生活』…っていうのが、なかなか…何と言うか…公私混同というか…。
とんでもないですねー。
もちろん、世の中にはちゃんとした宗教もあると分かっているわけですが、こういう話ばっかり読んでしまうと、いまいち信用ができなくなりますね。
「金だけ吸い取られて」と思ってしまうんですよね、やっぱり。

あと、『育児論』と『法月』というのは本当にすごいですね!
『金田一少年の事件簿』の『金田一少年の殺人』の中に出てくる『裏川辺奇々なる藻を』を思い出します。
アナグラムって、おもしろいですけど自分で考えるのは難しいですよね。
この『育児論』も、ずっと温めていたんでしょうか…?

この作品は、『法月綸太郎シリーズ』の第3作ということで、以前読んだ『雪密室』の次の作品だったようです。

この後に『法月綸太郎の冒険』などが出てきて、例の図書館司書・沢田穂波ちゃんが現れるんですね。

まー、残念ながら、今回は『ターゲット』としていた女性とは結ばれることはなかったですね。
まぁ、それがのちのち沢田さんにつながるわけで、それでよかったんじゃないかなと思いますけどね。

本当に様々な手を打たれて捜査が撹乱されていって、たくさんの山の中から唯一の正解を掻き分け掻き分け探し出した、という印象の本作でした。
怒涛の展開で圧倒されてしまいました。
あとがきには著者自ら「穴だらけ」と書いてありましたが、正直私にはその『穴』がまったく分からなかったわけですけど…。
とにかく圧巻でした。
おもしろかったです。

Kindle Unlimited で読みました。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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