伊坂幸太郎さんの『ペッパーズ・ゴースト』を読みました。
伊坂さんの小説は『777 トリプルセブン』以来です。
今回もまた、不思議な物語でした。
今回の主人公である檀先生と、この小説の登場人物である『ロシアンブル』『アメショー』、『サークル』のメンバーである女性・成海彪子の、3人の視点が入れ替わって進行していく物語でした。
まず、ロシアンブルとアメショーは、檀先生の生徒が書いた小説の登場人物…かと思いきや、実際にいる人物だった、というのが意表を突かれる点でした。
ロシアンブル視点で出てくる彼とアメショーという男性2人組が、これまたコミカルな感じで、とても『小説の登場人物』っぽい感じだったので、まさかリアルに目の前に現れると思っていなくて。
しかも、アメショーは「自分は小説の登場人物かもしれない」みたいなことをずっと言っているので、それもあって『小説の中の小説』なのか『小説の中の現実』なのか、ちょっと混乱してくるんですよね。
もちろん、全部小説ですけど。
檀先生の『先行上映』、確かに結構『厳しめ』な能力だな…と思いながら読みました。
未来を知れたからといって、必ずしもそれが回避できるとも限らない。
そもそも、誰の未来なのかもわからないこともある。
「自分だったら防げたんじゃないか」みたいなことを考え始めると、どんどん沼に落ちていくような感じになってしまいますね…。
そういう点が、なんか昔宮部みゆきさんがよく書いていた『龍は眠る』とか『クロスファイア』とか、その辺りの主人公と重なりました。
宮部みゆきさんの小説に出てくる超能力者たちも、あまり幸せな人生を送れていない人たちが多くて、むしろ『能力』があるせいで生きづらかったりする人たちばかりでした。
前回の『777 トリプルセブン』の紙野ちゃんは『超能力』ではないですが(すごい能力ですけど、実際に存在するという意味で)、彼女もまた生きづらさを感じている人でしたね。
『フーガはユーガ』の双子、あれも超能力者と言って差し支えないですよね。
伊坂さんの小説って、今更ながら『超能力者』っぽくて、かつちょっと大変な人が多いんですね。
私は幼い頃から超能力者に憧れていたので(『マインドシーカー』もクリアしてます、超能力者になれなかったけど)、興味深く読んでしまいます。
レストランのテロ事件で亡くなってしまった人たちの遺族、「『マイク育馬』のせいで」とは限らないかもしれないですけど、でもそこに恨みを集中させてしまう気持ちもよくわかります。
別に『誰』とは言わないですけど、テレビに出ているというだけですごく偉そうにしている人の話も見ますし、自分の言動に責任を持たなかったり、人のことを笑い者にして何とも思っていなかったりという人もいますからね…。
今回、そういう人に天罰が下ったのは、正直ちょっと溜飲が下がる思いではありました。
ただ、クリニックで狂言テロ事件的なものを起こして、結局亡くなってしまった人たち。
最後に檀先生が言っていたような結末になったのであればそれはそれでいいんですけど…。
まぁ、私もそれは絵空事かな、と思ってしまいます。
警察や政府がそんな交渉するはずないしなーって。
もちろん、どこかで生きていてくれたらいいな、とは思いますが…。
ニーチェについては、正直読んだことがないからわからないです。
これからも、読むかどうかわからないですね…。
正直、今回の小説を読んで、ニーチェを読みたいとは思えなくなってしまったのも事実です。
でも、本書に出てきた「それではもう一度」というフレーズは、ちょっと好きかなと思いました。
まぁ、とりあえず新幹線の事故から生徒を救うこともできましたし、球場での大惨事も(多分)防げた(んだと思う)し、檀先生は大活躍だったんじゃないかな、と。
今まで、結構この能力のせいでかなりつらい思いをしてきたかもしれないですが、それらは全部今回のことでチャラにできたんじゃないかな、と思いました。
私はスピリチュアル系のことは正直全然信じないんですが、でもこういう不思議な能力を持ってる人はいるといいな、なんて思います。
自分にはそういう能力はまったくないですけどねー。
最後、檀先生は里見くんのお父さんに、例の昔の生徒の居場所を尋ねているようでした。
もし再会できたとしたら、今からでも『後悔しない結末』にしていってほしいなと思いました。
うまくいくかはわからないですけど、やってみてほしいです。
Audible で読みました。
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