かげはら史帆さん原作の映画『ベートーベン捏造』を見てきました。
脚本をバカリズムさんが担当、山田裕貴さん主演、古田新太さんがベートーヴェン役の映画です。
まず、良かったところから。
何と言っても、『映画館』という音響設備の良い環境で、ベートーヴェンの曲を、フルではないとしても聞けるということ。
耳がとても幸せでした。
『運命』や『月光』のような重厚感・悲壮感のある曲から、『田園』のような爽やかな風を感じる曲、さらにさらに『第九』圧倒的な存在感。
すごく、すごくよかったです…!
欲を言えば、私は『ロマンス』が好きなので、それも聞ければ嬉しかったなーと。
それから、キャストが(多分)オールジャパニーズに関わらず、ほとんど違和感がなかったところ。
主演の山田さんの目つき…コワイ…狂信者感が半端ない…。
すごい役者さんですね、『爆弾』も期待しています。
古田新太さんのベートーヴェンも、最初こそ「ベートーヴェン特有の鋭さがないな…」と思いましたが、さすがの大ベテラン、終盤にはベートーヴェンにしか見えなくなっていました。
「小汚い、というか汚い」というのがすごくおもしろかったし、本当に小汚かったです(失礼)。
先日見に行った『8番出口』の好演が評判の『歩く男』こと河内大和さん。
突然出てきていて本当にびっくり。
主人公シンドラーを小馬鹿にする役だったんですが、いい味出していました。
アメリカ人ジャーナリスト・セイヤーの染谷将太さんも、たくさん出てきたヨーロッパ人(全員日本人)とは一線を画すような雰囲気があって、不思議な気持ちで見ていました。
ホルツ役の神尾楓珠さん、相変わらず美しいご尊顔でした…。
気になったところ。
CM 等でも『バカリズム脚本』と大々的に宣伝していたと思いますが、バカリズムさんらしさがあまり感じられなかったです…。
大笑いするであろうことを想定していたんですが、もちろんところどころ声を出して笑いましたけど、「腹がよじれるくらい」ではなく。
ベートーヴェンたちがかなりフランクな言葉で話していたところ(「~じゃん」)は結構好きな感じだったし、ちょっとした感情の行き違いみたいなところでもクスリとしたんですが、もうちょっとバカリズムさんっぽさが欲しかったです。
それから、結構淡々と進行していくな、と思いました。
原作を読んでいかなかったんですが、原作もこんな感じなんでしょうかね?
内容としては、『Wikipedia』の『ベートーヴェン捏造』のページにも宮部みゆきさんの書評として書かれていたんですが、私もシンドラーの改ざんについてはまったく知らなかったので、「そんなことがあったのか」と驚きました。
ベートーヴェン、小学校などの音楽室にはかならずいる存在でしたよね。
他の人達が独特の髪型をしている中、ある意味彼は普通の髪型というか、ある意味独特の髪型というか、異様な存在感を醸し出していました。
彼の曲はよく耳にしますし、インパクトもあるため認知度も高いと思いますが、一方でバックグラウンドとかそういうものについてはあまり知らないな…と改めて思いました。
気難しそうな表情、『耳が聞こえなかった』という逸話、くらいでしょうか。
なので、シンドラーという人物の存在やその人が犯した大罪(ですよね?)についてもまったく知りませんでした。
クラシック好きにも関わらず、音楽史についてはかなり疎いんですよね…。
(私の場合、『クラシック好き』というよりも『インストロメンタル好き』なのかもしれませんが)
シンドラーという人物のやらかしたことについては、まぁベートーヴェン本人がどう望んでいたかがわからないですからとってもギルティではあるんですが、「自分のあこがれの人の恥部を世界に晒すことは許されない」という気持ち、わからないでもないです。
そのための(わけのわからない)すごい努力、現在の『推し活』にも勝るような情熱だったんでしょうね。
特に、当時は他に娯楽があまりなさそうなので、のめり込むのもたやすそう、というか。
ベートーヴェンにあれだけコケにされていたとしても、そこまで彼を想っていたというのは、なんだか物悲しい気持ちになります。
彼のせいで後世の研究家たちは苦労したでしょうし、彼自身の名声も地に落ちたと思いますが、いろいろかんがえるとなんだか少し同情してしまいます。
まぁそもそも、すべての伝記的なものに言えることではありますよね、「本当に、本当にそれは真実なの?」というのは。
客観的な証拠を残しやすい現代とは、事情がまったく違いますからね…おもしろく、難しいことだなと思いました。
ただ、1つ気になることが。
現代編(?)として生徒が音楽室に忘れ物を取りに行く、というシーンから始まっていましたが、今日日あんなに真面目にベートーヴェンに食いついてくれる男子生徒、いますかね…。
「先生に付き合ってくれるいい子だなぁ」と思いながら見ていましたけど…。
『映画』としては、正直ちょっと物足りない感もありましたが、内容としてはやっぱりおもしろかったです。
そして、とにかく曲が素晴らしかったです。



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