か「」く「」し「」ご「」と「

読んだ本

住野よるさんの『か「」く「」し「」ご「」と「』を読みました。

住野さんの小説は、以前『君の膵臓をたべたい』を読んだことがあります。
書店でこのタイトルを見て「なんというグロテスクなタイトル…」と唖然としてしまったんですが、グロテスクには似つかわしくないきれいな表紙が印象的でした。
その後、浜辺美波さん主演の映画が話題になり、小説を読むに至りました。
そして、泣きましたね…。

精神科医の樺沢紫苑先生が「映画を見た」と発信されていたのをきっかけに、今回小説を読みました。
いやぁ、樺沢先生、ありがとうございました。
読むことができてよかったです。
(映画好きの先生は映画を見てほしかったのかもしれませんが)

高校生の男女5人が登場します。
それぞれが、他の人の気持ちや心のうちを見ることができる能力を持っています。
そして、自分以外の人も同じような能力を持っていることには気づいていません。
これが、本書の中の5作の話に共通するルールです。

最初は、京の『か、く。し!ご?と』。
京くんはすごく気弱な感じの男の子で、おばさんとしては「こんな性格で大丈夫なの?」と不安になってしまうほどです。
彼にはヅカくんという頼もしいお友達がいるので、ヅカと友達になれたのは彼にとってとてもいいことだったんだろうなという感じですね。
京くんの手を引っ張って導いてくれる感じがします。
京くんは、ミッキーというあだ名の女の子が好きなんですが、ミッキーからは特に何とも思われていない感じ…ですかね…。
ミッキーとは別の、たまたま隣の席になった宮里さんという女の子と、世間話をする程度には仲良くなったんですが、ふとした時から宮里さんに嫌われてしまった(?)感じになってしまいました。
しかも、宮里さんがそのまま不登校になってしまったもんだから、ずーーーっと気にしてるんですよね…。
とても優しくて気遣いができる素敵な男の子だとは思うんですが、こんな性格で『ホモソーシャルな世界』を渡っていけるのか、ととても不安になってしまいます。
京くんの能力は、相手の頭の上にその瞬間のその人の気持ちが「!」 や「…」などで表示されるというもの。
気遣いの彼とってものすごく重宝する能力かもしれないですけど…そんな能力があるがゆえにこんな気遣いの性格になってしまったのかもしれないな、とは思います。
変に絡んでくるミッキーの謎もありましたが、結局は宮里ちゃんの不登校は彼女の勘違いだったみたいです。
ミッキーも、京くんに対して何とか気づかせようとしたわけのわからない暴走だった、ということだったみたい。
とりあえず一件落着、なんでしょうかね。
みんないい子だな、と思います。

2つ目は、ミッキーの『か/く\し=ご*と』。
どうやら、中学生の頃は陸上部だったとのこと。
私も中学・高校は陸上部でしたが、現役当時は「運動した方が頭がすっきりする」という感覚がわからなかったので、「休めるときには休みたい」という感じだったなーと思いました。
高校の文化祭、2年間は陸上の大会の日とかぶっていて参加できなかったですし、3年になって「ようやく参加できる!」と思ったら、ドンピシャで盲腸になって入院してしまったんですよね…。
3年間1回も参加できなかったのが悔しいです。
…話がズレました。
まぁ、うちの高校は、『クラスの出し物』的なものはなかったと思います。
部活も、運動部は文化祭にはほとんど参加せず、『文化部の発表機会』という位置づけだったので、参加していてもこんな風に劇をやるみたいなことはなかっただろうな、と。
ミッキーの能力は、その人の心が『プラス』になっているのか『マイナス』になっているのかが、シーソーのように見える、とのこと。
でも、京くんの気持ちは、ミッキーが話しかけるといつも『マイナス』に傾いてしまっている。
それは、どういうことなんでしょうねー。
『気持ち』の問題じゃなくて、『安らぎ』『心の安寧』の問題だったりするんじゃないんでしょうか?
あとは、友達のパラは『いつもくるくる回ってる』とのことですが、それもどういう状態なのかはよくわからなかったです。
部活でも受験でも他のことでも、「頭が真っ白になって何をすべきか忘れてしまう」という経験をしたことがないので、そんな場面に遭遇したらとても混乱しちゃうだろうな、とは思いました。
よく持ちこたえられたなーと。
あとは、パラの機転に感謝、ですね。
とりあえずうまくいってよかったなとホッとしました。
…ミッキーはヅカが好きなのかな、とは思うんですが…そうでもないのかな…?
『いい友達』とは思っている、くらいの状況でしょうか。

3つ目は、パラの『か1く2し3ご4と』。
…このへんで、ようやくタイトルの意味を理解しました(笑)。
パラは、「なんだかごちゃごちゃしていて一番厄介なやつだな」と思いつつ、ひょっとしたら一番自分に近いかな、とも思いながら読んでいました。
「みんなを騙している」と言っていましたが、このぐらいの年頃の子は「表面と内面が全然違う」みたいなところは普通にあると思うので、「そんなこと気にしなくてもいいのにな」と思います。
自分が『道化』になることによって場の雰囲気を保つ、みたいなことは…まぁやっちゃういますよね。
パラの能力は、その人の拍動が可視化される、心拍数のリズムがわかる、という感じでいいんでしょうか?
それで、今緊張しているのか・していないのか、がわかるということ、かな。
修学旅行で、ヅカがよくある(?)「異性からもらえると幸せになる」と言われている『鈴』を、朝からすでに持っていたということで、一体誰が彼に渡したのかを探り始めます。
パラとしては、京くんとミッキーにくっついてほしいと思っているようですが。
でも、多分、パラも京くん好きですよね?
何と言うか…この複雑な感情はツラいですね。
でも、ミッキーからヅカを遠ざけるために、わざとヅカに絡む、というのは…まぁ正直悪手だなーと思ってしまいます。
今回は、ヅカに好意を持っている別の女の子から思いっきり睨まれる結果になってしまいましたが、まぁこうなるのは予想ついたでしょう、という感じですね。
あと、修学旅行とかそういうときに、なんか急に具合悪くなる女の子いるなーと思っていたんですが…「こういう感じか!」と改めてわかったような気がします。

4つ目は、ヅカの『か♠く◇し♣ご♡と』。(文字化けしてたらすみません)
仲良し5人組で、食べ物を持ち寄ってお花見に。
京くんのミッキーに対する思いは、もう隠しようがないところまで来ています。
知らぬは本人ばかりなり、という感じですね。
周りは一生懸命盛り立てようとするんですが、無理やりくっつけるというのもアレだしな…と手をこまねています。
外から見ると微笑ましいんでしょうけど、渦中にいると結構しんどい状況なのかもしれないな、とは思いました。
ヅカの能力は、その人の今の感情がトランプの4つのマークで見えるというもの。
だから、楽しんでいる中でもちょっとムカッとすることがあったり、という細かい感情の機微がわかるようです。
ヅカはどうやら『とても優しい』ので女の子にモテるみたいなんですが、きっとこの能力のおかげなんでしょうね。
話の中で出てきたんですが、多分ヅカが一番最初に付き合っていた女の子はミッキーなんでしょうねー。
結局、お互いに「違うかも」という感じですぐ別れてしまったようですが。
まぁ、自分の『元カノ』を自分の今の親友が好きというのは、なかなかどうしていいかわからない状況ではあるな、と。
そして。
ヅカ本人は、ひょっとしたらエルのことが好きだったりする…?
まだ「好き」というよりも「気になっている」という段階かもしれないですが…。
でもなー。
エル自身は、きっと京くんのことが好きなんだろうなー。
なんかすごくぐるぐる回っていて…『ハチミツとクローバー』みたいな展開に鳴ってきてしまいました。
エルは花見の途中でどっかに行っちゃうところとかも、なんだか女子あるあるですね。
彼女も京に似て『気にしぃな性格』なんだなと思いました。
ヅカ本人は、きっとその能力があるがゆえに一歩引いて見ちゃう、みたいな感じもあって、自分からのめり込めないタイプでしょうか。
なんか、それはちょっと不幸なような気もします。
みんないい子なんですよね。
みんながみんな、幸せになれればいいなと思うんですけどね。

最後は、エルの『か↓く←し↑ご→と』。
受験生なので、みんなでなんとなく図書館で集まって勉強するみたいな毎日が続いています。
そんな中で、10年後の自分に向けた手紙を書いてタイムカプセルに入れよう、という話になりました。
エルは自分に対しての手紙は書けなかったんですが、途中で「自分以外の4人に書こう」という話になり、そこからはすらすら書けるようになりました。
エルの能力は、人の好意が誰から誰に向いているのか、その矢印が見えるというもの。
「自分の対して向いている矢印を見たことがない」と言っていましたが、それってよくある「自分に対する好意は見ることができない」的な縛りのようなものなんじゃないんでしょうか?
現に、「ヅカは矢印がない」と言っていましたが、ひょっとしてエルに向いてるんじゃないのかな…なんて思ってしまいます。
だから、自分では見えない、と。
まぁ、正直そうだったらいいなという希望ですけど。
そしてまた、ミッキーがすごく暴走して、トンデモ勘違いをしていて、危うく全部崩壊しかけました。
なんとか収まってよかったですけど…。
京くんとミッキーにとってはいい思い出になるんでしょうけどねー。
にしても、共学だとこういう感じでクラスに男子がいて、恋愛の話とかにもなったりして、勉強大変だろうな…とつくづく思います。
私は女子高出身なので、周りはみんな休み時間も勉強していましたし、騒いでると睨まれましたし、恋愛の話なんてほとんどしませんでした。
…まぁとっても羨ましいです、青春っぽくて。

ネットで他の人の感想を見ていたら「『私のその一言で、平和記念公園を穏やかな顔で歩いていた京の心臓が、爆弾でも落とされたみたいにフルスロットルで動き出す』という表現が嫌だった」と書いてあるブログがありました。
Kindle を検索してもそういう言葉は出てこなかったので、多分文庫化にあたって書き換えられたんじゃないかなと思いました。
確かに『平和記念公園』のくだりはいらないかなー、と思いますね。
変更されていたんだったらよかったなと思いました。

なんだか嫌な子が一人も出てこなくて、すごく平和で優しい世界の話でした。
人の気持ちが見える的な設定って、よくあるといえばそれまでなんですが、羨ましく思いつつもいらないかな、と思ってしまいます。
知らないほうが幸せなこともありますしね。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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