山田宗樹さんの『百年法 下』を読みました。
先日の『百年法 上』の続刊です。
いやー…すごい話でした。
すごく濃密な物語でした。
上巻を読んでいて、なんとなく「蘭子は何で出てきたのかな?」と思っていました。
何というか『一般庶民代表』みたいな感じなのかな、と。
でも、もちろんそれもあったかもしれませんが、それだけではなくて、ケンという一粒種が次の世代で必要だったことの布石だったんだな、と。
下巻でケンが出てきて、まさか最後にあんなふうになってしまうとは、という驚きが強烈でした。
彼が HAVI を受けなかったのは、少なからず由基美の母の影響があったんでしょうけど、それがこんなところにまで作用してくるとは、という驚きもありました。
後書きにも書いてあったんですが、『2つの演説』が省略することで、一番最後の『文章』を際立たせたというのは、すごく納得しましたねー…。
ケンが、あのケンが、こんなにまで大きくなったのか…という気持ちが、文章の最後の彼の『肩書き』を見てじわっと広がりました。
首相と大統領の絆についても、なんか考えさせられたなーという気持ちです。
上巻の最後の方では憤りしか感じていなかったんですけどねー。
確かに、一国の指導者という立場、日々ものすごい重圧を感じている中、周りの人のいろんな横槍なんかで疑心暗鬼になったりもするでしょうね。
でも、大統領が考えていたことが明らかになったときに、彼も立ち上がった当時の『志』を今でも持っていたということが分かって、とても胸が熱くなりました。
彼の最後の演説も、いろいろ込みで本当に素晴らしかったです。
物語としてはクロージングに向かわなければいけないということもあり、SMOC という恐ろしい病を出さざるを得ない流れも頷けました。
しかし…まさか16年とは…。
ものすごく短い期間しかないっていうのは本当に怖いですし、それが却ってものすごいリアリティを感じさせます。
しかも、きっとその『予測』は当たるんだろうな、と。
「あと16年か」と思うと、しかも自分は明日かもしれないわけですから、どうしたらいいのかわからないですよね…。
でも、最後の国民投票のときに、国民がちゃんと未来のことも考えて選択してくれたというのには、希望があるなと思いました。
今、リアルのこの世界でそんなことが起きてしまったら…果たしてどうなるかな、と考えますね…。
この小説のように良い選択ができるかな…と。
本当に難しいですね。
途中で出てきた C 4の壊滅や紫山の爆破テロ、それらの裏のことまで知ると、なんだか「あるあるの嫌な展開だな」と思ってしまいますけど、本当にこういうことがありそうで困ります。
練り上げられたプロットで、しっかり固められた人物たちが動き回ってくれて、本当に素晴らしいお話だったな、と思いました。
偶然の出会いでしたが、本当に読んで良かったと思います。
著者山田さんの他の作品を見たところ、『嫌われ松子の一生』がありました
「あー、昔ドラマ版を見たなー」と、記憶が蘇ってきました。
映画はテレビ CM の予告しか見ていないんですけど、なんだかコミカルな印象でした。
打って変わってドラマ版の方はすごく湿っぽいというか、暗い感じで描かれていたのが印象的な作品でした…。
それも、またいつか読んでみたいなと思います。



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