笑うマトリョーシカ

早見和真さんの『笑うマトリョーシカ』を読みました。
早見さんの小説は初めてです。

いやー、おもしろかったです!
最後まで読み終えて、ゾワッとしましたね…。
本当に「うわぁ…」と思いました(いい意味で)。
こちらの小説、数年前にドラマ化されていますよね。
でも、そのときは見ていなかったので、まったく情報がない状態で読み始めました。

最初のシーンは、主人公の一人・政治家の清家が官房長官に任命されるかどうか、という場面です。
その後、清家ともう一人の主人公・鈴木の高校時代の回想が始まり、生徒会長選、大学のゼミ、政治家としての新人時代…とどんどん進んでいきます。
清家本人の『人格』というか『性格』というか、何度も言われている『中身がない』という状態。
その一方で、他から力を与えてやれば完璧に演じることができるという『素質』。
清家の中で絶妙なバランスでそれらが混ざり合っていて、確かに「放っておけない」という状態を作り出していました。
鈴木それを見抜いて、清家を傀儡化すべくいろいろと尽力していきました。

その一方で、清家の母・浩子にもただならぬ不気味さと、それを上回る惹きつける力がある様子ですね。
『父』がいない状態での『母と子』の、ちょっと異様な関係も徐々に明らかになってきました。
更に、清家にとっての祖母、浩子にとっての母の持つ暗い部分もわかってきて、それがまた「ひょっとして、『国』に対する復讐なの…?」と不安にさせてきます。
『清家の父』である人と清家本人の類似点と相違点、そこから何十年にも続く物語が少しずつ進んできたんだと思うと、ゾワゾワする感覚が止まりませんでした。

清家の『中身の無さ』『外面の良さ』が『マトリョーシカ』に例えられていました。
最初、それに違和感があったんですよね。
「マトリョーシカは中身あるじゃん」と。
でも、最後まで読んで、なぜ『マトリョーシカ』なのかがわかったとき、それに本当にゾワッさせられましたね…。
一番の『マニピュレーター』は清家であって、浩子でも鈴木でも、元恋人の亜里沙でもなく、清家自身が『傀儡師』だったんですね…。
これは本当に驚きました。
最後、第3の主人公とも言える記者・道上との対峙のシーンまでそれがわからず、「もう該当する登場人物がいないよ? ひょっとして佐々木なの? もしくは、ここに至ってようやく初登場するとか?」などと思っていたんですが…、まさかの展開でした。
確かに、『こんな人』に国の舵取りを任せられるのか…という気持ちはありますね。
でも、一般ピープルである私からすれば、「国のために仕事をしてくれて、国に貢献してくれているのであれば、別にいいのかな…」と思ったりもしちゃいます。
少なくとも、揚げ足ばっかりとったり、寝てばっかりいるような人達に比べたら、ねぇ…。
清家本人に接する人たちにとっては、「いつ自分が切り捨てられるか」と怖かったり、「変わった人・変な人だな」と思うようなことかも知れませんけど、下々のものにとっては『やってきたこと』だけが重要ですからね…。
まー、難しい選択ではありますけどね…。

最終段階では、これまでのすべてをカットしてきてしまった清家ですが、これからはどうするんでしょうか。
ここに来て、ようやく『自分』が出せる…とか?
それとも、舞台には出ていなかったけど、他に彼を操っている新しい人がいるとか…?
ほんと、絶妙なところで終わりますよねー。

ラスト直前で『切られて』しまった鈴木ですが、まー生命があって本当に良かったんだと思います。
清家にとっては、鈴木が母・浩子と通じていた、というのが『裏切り』のポイントだったんでしょうか。
あとは、亜里沙と別れさせようとしたこと?
すごいですね、十年以上もずっと恨みに思っていたってことですもんね…。
そして、その亜里沙も、結局他の『裏切り』を知り『切って』しまいました。
これから、一人で大丈夫なのかな…。
やっぱり、他にいるのかな…。

小説では、清家と鈴木、それから途中からカットインしてくる道上記者、この3人をキーパーソンとして物語を進めていく感じでした。
『誰が清家を操っているのか』という謎を追いかけていく展開でした。
一方、ドラマのサイトを見たところ、道上記者が主人公っぽい感じでした。
それもおもしろそうな切り口だなと思いました。
そして、キャスト。
清家が櫻井翔さん、これはものすごく絶妙な配役ですね…!
鈴木が玉山鉄二さん、道上が水上あさみさん。
そして、清家の母・浩子が高岡早紀さん。
すごい、これもはまり役っぽい感じだと思いました。
高岡早紀さんは、以前読んだ百田尚樹さんの『モンスター』でも主人公を演じていたはずです。

いやー、ドラマや映画の配役を考える人って、本当に凄いですね。

本当に一気に読んでしまいました。
おもしろかったです。
早見さんといえば、『ザ・ロイヤルファミリー』や『アルプス席の母』などもですよね。
他の作品も読んでみたいと思います。

Kindle Unlimited で読みました。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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