空白の絆 暴走弁護士

読んだ本

麻野涼さんの『空白の絆 暴走弁護士』を読みました。
先日の『暴走弁護士』の続刊です。

暴走弁護士
麻野涼さんの『暴走弁護士』を読みました。麻野さんの小説は『死刑台の微笑』以来です。 『暴走弁護士』って、怖い…なんかすっごい暴走するのかな…なんて。そこまでとんでもないことをする人って感じではなかったですが。元暴走族の弁護士が主人公の話です...

今回の表紙は一面の瓦礫と原爆ドーム。実際の写真ですかね。立ちすくむ男性の姿が胸を打ちます。
その写真からもわかるように、今回のテーマには『戦争』が絡んできます。
弁護士さんが主人公の話だと大体が『法廷モノ』という感じがしますが、今回のような案件も弁護士酸の仕事に含まれるんですね。おもしろいです。

元暴走族で弁護士をしている真行寺は、かつての暴走族仲間から1本の電話をもらいます。峰岸工業の社長の次男で、本人も峰岸工業で課長をしている峰岸孝治からの電話でした。
現在、峰岸工業では内紛が起こっているとのこと。『創業者の長男である現社長の峰岸平と、専務取締役の次男の和(かずし)は異母兄弟であり、和が愛人の子である』という怪文書が出回っているようです。現社長は病床に伏していて長くないため、普通であれば和が社長に就任するはずですが、その怪文書が出てきてしまったため社内が混乱しているとのこと。しかも、孝治の兄の大介がこの混乱に乗じて次期社長になろうと画策していて、役員・重役の何人かがそれを支持し、外部ファンドの代表なども入り込んできて大変な騒ぎになっています。本人である平と和に聞いてみても、『異母兄弟』説など聞いたこともないと逆に驚いています。
しかし、平と和の DNA 鑑定で2人に血の繋がりがないことがわかったり、『不正給与』として現在働いていない大橋という人物に毎月給与が振り込まれていたりなど、なにやら怪しい事実も判明しています。
真行寺は恋人で興信所所長の野村とともに、峰岸一家のルーツである広島に向かい、創業者の峰岸聡太郎の過去を探ります。

物語は、1945年8月6日に『誕生』し、9日後の8月15日に出生届を出された赤ちゃんがいた、というところから始まります。広島市役所の戸籍課に提出されたその出生届は、死亡届ばかり受理してきた職員の方々に言葉にならない喜びを感じてもらえたことでしょうね…。もちろん、フィクションだとわかっていますが…。
終戦の前後は本当に混乱していて、こういう話はたくさんあったかもしれませんね。今は DNA 鑑定がだいぶ一般的になりましたが、その頃はそんな方法で血縁を調べられるようになるなんて考えられなかったでしょうね。

最後はなんとも劇的な感じで終わっています。自ら重大な役職を背負った人物、奇跡的に証言を引き出せた人物、第一線から退いた人物。それぞれが幸せに生きてほしいと思います。
にしても、自分の利益だけを考えてこの場をぐちゃぐちゃにした人たちは許せませんね。一応制裁は受けたみたいですが、ちゃんと償ってほしいものです。

Kindle Unlimited で読みました。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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