長岡弘樹さんの『教場 X 刑事指導官・風間公親』を読みました。
先日の『風間教場』の続刊です。
今回は、前々回までと同じ短編集形式に戻っていました。
6つのお話が入っていました。
1つ目は『硝薬の裁き』。
正直、タイトルからどういう内容なのかの想像はできてしまいました。
それなりに大きい小学生の子の証言が採用されなかったというのは、どういう根拠からなんでしょうかね…?
もちろん、警察だって調べたとは思うんです。
でも、『確実にその時間帯に犯人がいた』という証拠をつかめなかったから、という感じなんでしょうかね。
今回殺されてしまった男性は、まぁちょっとふてぶてしい感じの人物だったので、シラを切って切って切りまくった、という感じなのかもしれないですね。
小学生の父親である男性は元警察官で、やはりその男を殺そうとして、いろんなことを調べていたみたいで。
よくもまぁそこまで調べたな、ということもありました。
『元警察官』で『銃』ということで、一瞬「この『教場シリーズ』に生徒として出ていた人なのでは…?」と思ったんですが、どうやら違うようでちょっとほっとしました。
『女の子の連れ子』と聞くとなんとなく『嫌なイメージ』が湧いてしまうことが多い昨今ですが、この男性はそんなこともなく、きちんと自分の子供として大切に育てていたようです。
それなのに、やっぱりこうしなければいけなかったのかな…と思ってしまいますね。
果たして娘はそれを望んでいたのか、と。
義理ではあるものの、お父さんと2人で細々とでいいから平和に暮らしたかったんじゃないかな、と思ってしまいます。
2つ目は『盲信の果て』
どうして大学の先生がそこまで気を回すのか、と思うんですけど…。
大学の研究室は、生徒がどこかに就職したときは研究室の名前も一緒に連れて行くことになるので、あんまり半端な人は入社させられない、という感じなんでしょうか?
プラス、この教授自身が報道被害にあったことがある、ということもあると思うんですけどね。
かと言って、いきなり『単位を出さない』というのは、なかなかに厳しいですね…。
だからこそ殺されてしまったんですけどね…。
学生が大学で学ぶことなんて、その会社に入ってから社会人として学ぶことの何十分の1、という感じなので、仮に卒業時点で『ちょっと危うい感じ』だったとしても、その会社で揉まれることによって、きちんと矯正されていく、ということもあるんじゃないかなーと思っちゃうんですけどね。
ひょっとして、1回目に会いに行ったときにきちんと誠心誠意詫びていたら、『撤回』してくれたってこともあったりしたんでしょうか?
まぁ、それは今となっては分からないですけどね…。
なんか、誰も幸せにならなかったですね…。
殺人事件なんて、そんなものでしょうけど。
3つ目は『橋上の残影』。
これはねー。
こういう『復讐の連鎖』みたいなものは、どうしたらいいんでしょうかね…。
「自分だってやられたんだから、相手にやり返してしまいたい」と思う気持ちもよく分かるんですけど、それをやってしまうとずーーーっと続いてしまいますしね。
難しいです。
そもそも、最初の人が始めなければいい、とは思うんですけどね。
今回は、新米刑事自身が最初に腹痛を訴えていて、そこでのお医者さんとの会話が事件の大きなヒントになっていました。
これはなかなかおもしろかったです。
あともう1点、初めて知ったのは、『容疑者自身がアリバイを証明しなくてもいい』ということ。今回容疑者としてあげられた女性が、刑事に「それを証明できますか?」と聞かれたとき「私が証明する必要はない」と堂々と言っていました。
驚きましたけど、それは正当な物言いらしいんです。
知らなかったのでびっくりですが、いいことを知りました(笑)。
しかし、こんな状況でそんなことが言えるなんて、相当肝が据わっていますよね(笑)…。
もちろん、自分の中の想定問答集にあった回答何だと思いますが。
まー、逆に「そんなことを知っているというのが怪しい」とも思われるかもしれないですけどね。
今回の場合、当初の計画通り『刺したらすぐ逃げる」とやっておけばバレずに済んだのかな、なんて考えてしまいます。
まぁ大体どこの推理小説でも、一生懸命練りに練った計画だったのに、本番になって何かしらのハプニングが起きる、ということばっかりではありますね。
「やることが多い…!」的な感じもありそうですし。
私は今まで幸いなことに、人を殺した経験はないですけど(これからもそうでありたい)、きっと「そういうモノ」なんだろうな、と思ってしまいます。
4つ目は『孤独の胞衣』。
物語の途中で今回の生徒である隼田さんがが「この事件からおろしてください」と直談判するシーンがありました。
でも、まさに彼女こそが適任だった、と言えるのではないでしょうか。
逆に、彼女以外だったら気づけないところもあったでしょうし。
…風間さんは気づいてたと思いますけど。
そして最後に隼田さんが言ったセリフこそが、本当に真実だなと思います。
知識がないだけで、犯罪に手を染めざるを得なくなってしまう人というのは、きっといるんだろうな、と。
この犯人が、仮に自分の母親に相談したりしていたら、殺さずに何とかなったかもしれないですよね。
なんせ母親は助産師なんですから、『いろんな』妊婦さんを見てきているでしょうし、様々なケースを経験してきたでしょうから、適切なアドバイスをくれたかもしれないです。
彼女がもうちょっと他の人に相談してさえいれば起きなかったかもしれない、と思うと…まぁ残念ですね。
赤ちゃんのためにも、こんなこと起こさないに越したことはなかったわけですから。
にしても…なんだか羨ましいですね…男性は。
やるだけやって、逃げられるんですもんねー。
大学のときに生物の授業を受けて、魚類にはオスが子育てをする種類が存在と知りました。
最後に卵にタッチするのが男性だから、だそうです。
人間の女性にはできない芸当ですよね。
しかも、男性の方から近づいてきたにも関わらず、子供ができた途端に捨てて。
本当に『ヤりたいだけ』なんだなって…。
まーこの男性は、今回『こういうこと』が起きなくても、いつかはそういう男女間のトラブルで命を落としそうな人だな、とは思いました。
やっぱり、誰に対しても誠実に対応するというのは最低ラインですね。
5つ目は『闇中の白霧』。
これはある意味怖かったです!
私自身、数年前まで点鼻薬をまったく手放せない生活をしていました。
ベッドサイドに1つ、カバンに1つ必ず忍ばせないと、「窒息してしまう」と思って生活していました。
なので、この話は人ごとじゃない…。
そして、まさかの『刺し違えた』状態。
怖いですねー!
これは、今回の紙谷くんの金星、いや甥っ子の大金星ですね。
このまま決定的な証拠が揃わなかったら、犯人が『なんとか』なってしまっていた可能性がものすごく高かったのではないでしょうか。
被疑者死亡で不起訴処分的な感じ。
彼が生きていたおかげで、彼女から彼へも『攻撃がなされていた』という証拠ができました。
…彼は助かったん…でしょうか…?
6つ目は『仏罰の報い』
なるほど、小説の刊行順が時系列じゃないということ、改めてよくわかりました。
今回も解説があったので、それをようやくわかりました。
やっぱり解説がある本は本当に助かりますね…。
この『教場 X』は『2作目』の物語となっていて、1作目がやっぱり目を刺された『教場0 刑事指導官・風間公親』だったわけですね。
結局、犯人の十崎がまだ捕まっていないので風間さんは警察学校勤務になった、ということらしいです。
今回、十崎の『置き土産』を発見したのが、あの現場に居合わせていた平優羽子さんでした。
『前回』の『目を刺されたところ』が意外とあっさりさらっと終わってしまったので、「あれ?」と思っていたんですが、なるほどそういうことか、と。
これだけ重大な事件なのに、それでさらっと終わらせるはずがないよな、と思ったので良かったです。
しかし、今回の犯人はすごいことをするなと思いました。
自分で自分の…というのは、なかなか常人では考えつかないですし、仮に思ったとしても実行には移せないですよね…。
しかし、悔やむべきは娘さんの『男の趣味の悪さ』…ってことでしょうか。
『犯罪者』がみんな、こんなにちゃんと考えてやる人ばっかりだったら救われるのに、と思ってしまいました。





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