夜歩く

読んだ本

横溝正史さんの『夜歩く』を読みました。
先日の『人面瘡』の続刊です。

いやー、すごかったです!
この『夜歩く』なんていう、一見ちょっと牧歌的な感じすらするようなタイトルから、ここまで禍々しい物語が出てくるとは。
なんなら「短編集かな?」ぐらいに思っていたので、かなり重厚なストーリーで本当にびっくりしました。

古今東西『語り手』に騙されるということはたびたびありますね。
いわゆる、『信頼できない語り手』というやつです。
Wikipedia の『信頼できない語り手』のページにも、この『夜歩く』が挙げられていました。

信頼できない語り手 - Wikipedia

今回は、本当にまったく疑っていなかったので驚きました。
だって、『語り手』の現れたときも、何というかめちゃくちゃ『部外者』っぽい感じで、あくまで『登場人物の親友』という、結構どうでもいいようなポジで(失礼)。
「たまたま小説家だったから書き手として選ばれた」みたいな感じだと思っていたんです。
まぁもちろん、その辺は巧みに隠すような感じで書かれたんだと思うんですけどね。
見事にきれいに騙された、読者の鏡だったわけですね(笑)。

この間の『八つ墓村』のときもそうだったんですが、金田一さんが全然出てこないんですよ。

多分、物語が半分以上終わったあたりで、ようやく登場という感じでした。
それが「いつもと違うよ」という暗示だったかもしれないのに…まったく気づいていなかったです。

そして、『本陣殺人事件』でも出てきた『首なし死体』という題材。

今回はやたら首なしの死体がいっぱい出てきていて、「すごいなー…」と思いました(小並感)。
そして、最後の仕上げで入れ替わろうとしていたのに、そこを阻止されてしまって…。
まぁ何というか、今までの苦労が全部水の泡になってしまったな、と。
かわいそうだなとは思いますけど。
命をかけて愛した女性を、そんな風に廃人も同然にされてしまったというのは気の毒ですし、悲しいことではありますが、だからといって他の女性を同じようにしていいというわけではないですからねぇ…。
八千代さんも、ただ利用されただけだったわけですね。
身勝手だなとも思いますけど、まぁ大体殺人なんて身勝手ほぼほぼ身勝手ですもんね。
『金田一少年の事件簿』でいうと『悲恋湖伝説殺人事件』的な、ね。

一番最後、物語の締めのところに、「一体どちらが勝ったのだろうか?」なんて書いてしまうあたり、結局は勝ち負けにこだわった感じなんですかね。
やっぱり『男のメンツ』というか『プライド』というか、そういった感じなんでしょうかね。
直記は結局廃人のようになってしまい、本人もこれから何年もぶち込まれるわけですから、『勝ち負け』なんてないですね。
やっぱり、最後はこういう『虚しさ』しか残らないですね…。

この『夜歩く』という物語は、タイトルも含めてまったく知らない話だったので、こんなに入り組んでいてドラマチックだとは思ってもいなかったです。
本当におもしろかったです。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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