中山七里さんの『夜がどれほど暗くても』を読みました。
中山さんの小説は『能面検事の死闘』以来です。
この本、ずっと読んだことあると思っていたんです。
でも、ちょっと曖昧だったもので、いざ開いてみたら読んだことないものでした。
なんだかラッキーだなと思いながら読み進めました。
内容はけっこうヘビーでした…。
序盤の展開は、以前読んだ伊坂幸太郎さんの『死神の浮力』にちょっと似た感じです。
急に自分の息子が死んだという話を聞かされ、しかもそれが、息子が通っていた大学のゼミの先生と、その旦那さんとの3人での無理心中のような形だった、と。
で、どうやら息子が他の2人を殺害して自殺したんじゃないか、という話でした。
…そんな話を急に聞かされて、まぁびっくりしない親はいないですよね…。
しかも、お父さんと息子はちょっと仲がよろしくない時期だったみたいで、最近の息子のことを何も知らないと愕然としてしまいます。
このお父さんは、大手出版社の週刊誌の部門で働いています。
いつもは取材対象に対して執拗なまでにマイクを向ける側だったにも関わらず、今回は逆になってしまったということで、かなり大きな負担がかかってしまっています。
奥さんは、息子が死んだときからもう漠然としてしまって、何も手につかないという感じです。
加えて、殺された夫婦の一人娘がちょっと凶暴な女の子で、カッターナイフで襲いかかってきたりとか。
…もう、いろんなことが次々と起きすぎていて、どうしていいかわからないですね…。
結局、勤め先からは干されてしまう形で別の部署に異動になりますが、そこでも「使えねぇな」みたいなレッテルを貼られてしまって、自分の存在意義がわからなくなってしまっています。
これは、本当に気の毒だなと思いました。
別に好き好んで週刊誌の部門に行ったわけでもないのに、そういう自分でも『下世話』だと思っていることをせざるを得なくて、いままでそもそもぐらついていた感じだったのに。
さらに追い打ちをかけられたような感じで…もうね。
どうしたらいいんでしょうね。
以前『働きマン』を読んだときにの週刊誌の記者に同行する話を思い出します。
出版社といえば『入りたい企業ランキング』なんかでも上位なはずなのに、一生懸命勉強していい大学卒業して、それでやる仕事がこれかよ…って正直愕然としましたけど…。
まぁ、それに似たような気持ちになりました。
いろんなところからいろいろ責められて、家に落書きはされるわ、変な手紙は送られてくるわ。
世間の嫌がらせを一心に受けるような感じになってしまって。
しかも自分がやったことじゃなくて、自分の息子がやったこと、さらにさらにその息子はもう死んでしまっているし、なんでこんな事件を起こしたのかもわからないんです。
本当につらかったことでしょう…。
でも、もっとかわいそうだったのが、ちょっと乱暴な感じの1人娘でした。
学校でかなりいじめられていたんですが、また奇妙な縁ではあるんですけど、主人公である加害者・息子の父親が助けたりするんですよね。
まぁ、『いかにもドラマっぽい・小説っぽい設定』ではありますが。
でも、実際にそんな目に合ってる人を見てしまったら、助けないわけにもいかないな、という感じは分かります。
しかも、相手は中学生にも関わらず、結構暴力がひどくてボッコボコにされているんです。
しまいには家に放火されちゃったりとかして、危うく死にそうになってしまっていました。
でも、なんとか娘ともども助かって、本当に、本当に良かったなと思いました…。
そして。
まぁ、中山七里さんの小説なので、『どんでん返し』があるだろうと警戒(期待)して読んでいたんですけど、やっぱり息子は犯人じゃなくて。
真犯人が別にいました…!
それがね…何というか恐ろしかったんですよ…。
その人物に話を聞きに行くシーンがあったんですけど、その人物は普通に息子との思い出話とかをしてくれるんです。
にもかかわらず、本当はその人が殺してるわけです。
一体どんな心持ちでそんな話できるんだろう…っていう、薄ら寒い気持ちになりました。
『死神の浮力』でいうところの『25人に1人のサイコパス』ってことですかね…。
今回も葛城刑事が出てきていました。
最近なんだか出現率が高いですね。
『TAS 特別師弟捜査員』以来でしょうか。
たまたまなんでしょうけど、ちょっと驚いています。
さらに、一緒にいる宮藤刑事は、多分以前読んだ『スタート!』という小説に出てきた人でしょうね。
彼も『TAS 特別師弟捜査員』に出ていました。
中山さんはいろんな登場人物を織り交ぜてくるんですけど、どのように決めているのか、書き分けはどうしてるのか、一度聞いてみたいなと思ってしまいます。
今回の小説の中に、犯罪被害者が集う会みたいなのがありました。
加害者家族もそこで一緒に集える、みたいな集まりだったんですけど、今回はたまたま訪れたそこに被害者夫妻の娘がいたので、主人公は入会できませんでした。
加害者家族も集える場所があるのはいいなと思ったんですが、同じ犯罪の被害者と加害者家族が同じ会になる可能性があるというのは、なかなか複雑ですね…。
だからまさに小説ではそういう状況になってしまったわけですが。
もちろん別々の会があればいいんでしょうけど、人材も多くないでしょうし、大変そうだなと思いました。
犯罪を犯すも犯さないも紙一重だな、と常々思っている身としては、そういう活動をされている方々には本当に尊敬の念しかないです。
小説は、なんだか希望が持てるような形で幕を閉じました。
少しずつ癒し癒されて、心穏やかに過ごしていけることを願っています。
今回で、私的『#中山七里KU祭り』は終了です。
中山さんの作品の未読のものの中で、Kindle Unlimited で読めるものはすべて読みました。
いやー、ありがたかったです。






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