松下龍之介さんの『一次元の挿し木』を読みました。
松下さんの小説は初めてです。
タイトルに入っている『挿し木』という言葉。
この『挿し木』の英単語がコレだと知らなくて(一般的には『cutting』らしいですが)、すごくびっくりしました。
でもまぁ、確かにそうですよね…。
しかし、本当に導入から『葬式で棺桶にハンマーを振り下ろす』とか、なかなか絵面が派手でした。
そこから次々といろんなことが起きて行きます。
巻末の『解説』にも書かれていますが、出来事がたくさんあるにも関わらず、ちゃんと順を追って整理しつつ進んでいけるので、そんなに迷子にならずに済むのがすごいなと思いました。
『ループクンド湖』で発見されたはずの200年前の人骨の DNA が、数年前行方不明になった自分の『妹』の DNA と一致した…最初に聞くと「何を言っているのだ」という感じになるんですが、なるほど『検査ミス』でなければそういう結論になるよな…と。
そんなことが、『技術』の面でも『倫理』の面でも、この『日本』で可能だった、というのが…なんというかおもしろかったです。
そう言っていいのか、わからないですけど…。
途中で出てくるキーパーソンの牛尾。
彼が持つものから発せられる「ちゃぽん」という音。
ほんっっとーに怖かったです…!
『連続殺人鬼カエル男ふたたび』の『二 溶かす』を思い出しました…。
『液体』の種類は違うようですが…想像したくないですね…。
ラストまで読んで、すごくすごく悲しかったです。
でも、やっぱりこういう感じで終わるしかないのかな…と納得してしまう部分もありました。
やっぱり、現代の世の中で『戸籍』がないというのは生活にかなり支障が出るでしょうし、そんな状態で生きていくのは大変なことでしょう。
いろいろ思うところはありますけど、こういう風に『大きな存在』に守られながら生きていくしかないんだろうな、とは思いました。
なんというか…なんか大切にしてもらえそうでよかった、とは思います。
ぜひ、末永く大事にしてあげてほしいです。
ビジュアル的に想像が容易にできそうなシーンが多くて、読むのがすごくはかどりました。
ただ、日常的に『ウインク』する人にお目にかかったことがないので、そこはちょっと違和感…と言うか、ムズムズしましたけど(笑)。
まぁ、唯だけですけどね。
あと、教授が『娘』として車椅子の紫陽を紹介した時、いくら油断していたとはいえ、まったく、まったく気づかない…ってことはあり得るのかな…と思ってしまいました。
でもまぁ…あり得るんだろうなー…悲しいですけど。
一番最後に、一瞬とはいえ、顔を合わせることができて良かったです。
これから先、ずっと会えないかもしれないけど、3人ともお互いがお互いを思いやった結果なんですよね。
これは、「仕方ない」と諦めるしかないのかなと思いました。
悲しいですけどね…。
スピード感があって、本当におもしろかったです。
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