読んだ本

横溝正史さんの『首』を読みました。
先日の『幽霊男』の続刊です。

…表紙があまりにも気持ち悪いです。
おどろおどろしい感じ、『昭和』っぽい雰囲気の出ている金田一耕助シリーズの表紙ですが、今回のは気持ち悪すぎる…。
合本版じゃなかったら、手に取れないレベルです。
(そもそも Kindle なので『手』には取らないですけど)

今回は短編集でした。
4つの短編が入っていました。

最初は『生ける死仮面』。
私も、等々力警部じゃないですけど、変質者の猟奇的な犯罪だと思って読んでいました。
終わってみればなるほど、こんなからくりだったとは、と。
なかなか手の込んだ、実は綿密な計画でした。
ちょっと東野圭吾さんの『容疑者 X の献身』思わせる感じでした。

先に死体を堂々と(でもないけど)発見させておいて、それは事件性のないものだということが明らかになってから、実は先の死体は偽物で、本物の殺害された死体を出した、という流れです。
もうすでに当人の死体は牽制なしで処理されてしまっているので、「これは誰だ」となるわけですね。
すごいです。
結局は、遺産とかそういう動機に集約されていってしまう話、結局そうなんだよなー。人間って、何十年経っても変わらないんですね。

2つ目は『花園の悪魔』。
これはなかなかおもしろいトリックだなと思いました!
男女のカップルが宿に泊まっていて、女の方が殺されて男が行方不明なので、男が手配されるんですけど、一向に見つかりません。
現場からは女の衣服もなくなっていることから、「女装して逃げたんじゃないか」と考えられていました。
が、実はそうではなく、最初に宿に来たのは男装した女、そこで落ち合ったもう1人の女を殺して、そ死んだ女が着ていた服を着て逃げた、というのが種明かしでした。
いやー、これはなかなか、何回もひねった感じでおもしろかったです。
野草園みたいなところの横穴で、人の死体がずっと見つからないというのは、正直違和感がありましたが、まー昔だったらそういうこともあったのかもしれないな、と。
そして今回もまた、真犯人を隠すために別の男が来て、殺された女に死姦していった…と。
うへーーー。
やっぱりそういうシーンを読むと、どうしても東野圭吾さんの『白夜行』を思い出してしまいます。

実際、それで亮ちゃんは性的にダメになっちゃったわけですし…。
すごいですね…。
結局最後は、犯人だった女の方も殺されてしまいましたが、殺したその男はこの後やっぱり自殺するんでしょうか。
なんだかねぇ…。

3つ目は『蠟美人』。
なるほど、頭蓋骨から生前の人の顔を復元するというのは、なかなかにロマンのある話ですね。
でも、今現在の科学力を持ってしてもいまだなし得ていないわけですから、この時代じゃまぁ無理ですよね…。
復顔師(エンバーマー)という職業もありますけど、それはそれこそ写真とかを参考行うものでしょうし。
しかし、復顔を利用して死人をでっち上げるというのはなかなか大胆ですね。
『金田一少年の事件簿』でも、自分を死んだことにするのは『悲恋湖伝説殺人事件』や小説『鬼火島殺人事件』でもありましたが、「その後どうやって生きていくんだろう」と思っていました。

まー、事件の内容からして、この2つの事件の犯人は、多分「その後のことなんてどうでもいい」というくらい復讐を遂げることにフォーカスしていたんだと思いますけど。
金田一さんの時代だと、死亡届け(あるよね?)が出されちゃっていても普通に生きていけたりします?
それとも彼女の場合、「適当にかくまってくれる男を転々としてればいい」っていうう考えだったんでしょうか?

最後は表題作『首』。
これもおもしろかったですねー。
(表紙は気持ち悪いけど…)
数年前と同じような事件が今回また起きてしまって、数年前の主要人物と今回の主要人物にほとんど共通点が見られないことから、2つは関連せず独立した事件だと思われていました。
「だったら、なぜこんなにも似通っているのか?」という疑問が出ます。
実は、たまたま前の事件の後に自殺した女性の遺書が出てきて、そこにその以前の事件の顛末が書かれていたようで。
それを今回の人たちが見たことによって、模倣して起こした事件だった、という流れでした。
金田一さんの『職業的良心』と『人道的良心』、まぁ難しい話ですよね。
警察官からしてみれば、一応死体損壊の罪にはなるわけですから、逮捕したいと思うんでしょうけど。
でも、そうしてしまうと、1人生きていくのが非常に困難になってしまう人が出てしまいますね…。
以前の事件の真犯人はもう亡くなってしまっているわけですし。
些末な罪で離れ離れにさせないようにという配慮、難しいですけど良かったんだと思いました。
以前の事件では、そもそも殺された人物は『返り討ち』にあっただけだったわけですしね。
正当防衛だったかも知れないわけですよねー。
導入部は『迷路荘の惨劇』っぽい感じでした。

しかし、磯川警部さんも「休暇で来た」って言っている金田一さんをこき使うなんて、なかなか人が悪いですねー。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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