大沢在昌さんの『風化水脈 新宿鮫8』を読みました。
Audible です。
今回の新宿鮫、私結構好きです。
今までの派手さはないけど、地域の警察官って感じがよく出ていました。
そんなにドンパチしないし。最後ちょっとありましたけど。
今回のもう1人の主人公は、真壁というヤクザです。
彼は『新宿鮫1(便宜上)』に初登場していました。
中国人のヤクザを射殺し、それにて服役。
逮捕されるときは新宿署に血まみれで現れ、
鮫島さんを指名して気絶しました。
そんな真壁と鮫島さんが、偶然新宿で出会います。
その時真壁には連れの女性がいました。
彼女は真壁の出所まで彼を待っていたホステスの雪絵です。
鮫島さんは今回、自動車窃盗団を追っていました。
N システムが普及し始めた時代で、
それを避けて盗難車両の塗装やナンバー交換ができる
ガレージを突き止めるため、新宿中を探し回っていました。
そんななときに一人の老人・大江と出会います。
鮫島さんは大江老人の過去にただならぬものを感じつつも、
彼に捜査の協力を求めます。
そして、大江老人の務める駐車場の隣家にある井戸の中から
男性の死蝋化した遺体が見つかりました。
この大江老人がすごくいい味出していました。
過去に犯してしまった残念な事件のために職を追われ、
それでも自分の『罪』を監視するためにその人生を捧げる。
ラストでの思わぬ邂逅に胸を打たれました…。
真壁と雪絵の行く末も描かれています。
戦前・戦中・戦後の新宿がどんな街だったかが描かれ、
そこで行われてしまう犯罪なんかも描かれました。
考えさせられてしまいますね…。
本文中に
「警察官というのは、
ほとんどの市民にとっては交通違反の時くらいしか接触しない。
彼らと日常的に接触するのは犯罪者が多い」
「警察官ほど犯罪に詳しい職業もなかなかなく、
何らかの原因で警察官が職を辞さなければいけなくなった場合、
潰しが効かないがために犯罪に手を染めやすくなってしまう」
のような記述がありました。
たしかに、なるほどなぁと言う感じです。
余談ですが、昔現役の警察官の方と
プライベートで話したことがあったんですが、
立ち話のときに直立不動で手を後ろに組んでいたのが印象的でした。
「警察官立ちですね」と言ったら「つい…」と。
なるほど、職業病だ。
今回、ロベルト岡田もいい味を出していました。
彼は『炎蛹』が初出なんですが、
今のところはまだそこまで絡んできていないですね。
ロベルト岡田のアドバイスのお陰で救われた人命もありました。
今後の対決に期待です。
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