麻野涼さんの『死の臓器2 闇移植』を読みました。
先日の『死の臓器』の続刊です。
テレビ制作会社のディレクターの沼田は、『渡辺誠君を救う会』の取材をするために仙台へと向かいました。その受付で、沼田に相談を持ちかけてきた永富理沙という女性から『電話番号』を受け取ったものの、いざ掛けてみようとしたときに番号の桁数が足りていないことに気づきました。沼田は気を取り直して彼女が所属しているオフィスに電話をしましたが、「昨晩永富さんがなくなった」と聞かされました。そのあと、理沙が救う会のサポートをしていた『NPO法人海外移植サポート協議会』の金を自分の口座に横流ししていたことが明らかになりました。結果的にそのお金はすぐに夫から返金されたためそこで不問となりましたが、依然として理沙の死には謎に包まれています。理沙は以前、生まれたばかりの子どもに移植医療を受けさせようと奔走していた途中で子どもに死なれてしまい、その思いから海外移植サポートのスタッフとして働き始めました。しかし、本当の思惑はもっと深いところにありました。
海外で臓器移植を行うためにかかる莫大な費用、その金額は一体どのように使われているのか。底に潜む闇が明らかにされようとしています。
今回は、前回と同じ『臓器移植』の問題でも、またちょっと毛色の違う話でした。
10年くらい前までは、そこそこ大きな駅の前に『◯◯ちゃんの△△移植を成功させたい!』みたいな看板を掲げて寄付を募っている人たちをよく見ましたが、そのあとそれがクラウドファンディングに移っていったような気がします。最近では、個人のものはクラファンのサイトではあまり見かけなくなったような気がするんですが…どうなんでしょうか。
これらに出会ったとき、どうしたらいいのか分からずに立ち尽くしてしまう自分が悲しいです。自分が親になってからは、ますますどうしたらいいか分からなくなってしまいました。もし我が子だったら、という思いから募金することもあるし、「かといって、すべての人に募金できるわけじゃないし…」とも思ってしまいます。難しいなと感じています。自分の届く範囲、自分が出会えた範囲でできることをしよう、と折り合いを付けていますが…。
なので、今回の小説のように、そういう善意を隠れ蓑にして私腹を肥やす人たちがいたら『悲しい』です。『怒り』とは違うかな、と思いました、少なくても私は。『悲しい』ですね、やっぱり。
最後の最後、悲しい結果に終わってしまったのは残念です。かといって、どうすればいいんですかね…。こういう問題は本当に難しいです。
『死の臓器』シリーズは、このあとは出ていないようです。2016年発売なので、ちょっと時間が経っていますが、続編に期待が持てなくなるほど長く空いているわけではないですね。取材などがとても大変そうなジャンルでしょうけど、ぜひまた沼田さんの活躍を見たいです。
Kindle Unlimited で読みました。
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