永井紗耶子さんの『木挽町のあだ討ち』を読みました。
永井さんの小説は初めてです。
『木挽町のあだ討ち』、映画やってますね!
チケットを購入したので早く見に行きたいんですが、なかなか時間がとれず…。
早く行かないと終わっちゃう…と思うんですが、でもまぁ、評判がすごくいいみたいなのですぐには終わらないかな…とも思ってしまいます(笑)。
で。
映画見に行く前に小説を読んでしまうのか、と。
まぁ、いろんなご意見があると思うんですが、私は「先に原作を読みたい派」なんです。
前回は『8番出口』でも、先に小説を読んでから行きました。
(…まぁ、ホラーが苦手だから先に知っておきたかった、というのもありますが)
実は私『時代劇』はちょっと苦手なんです。
なので、今回の小説も最初はどうしようかと思っていたんですが、『江戸と歌舞伎とミステリー』とあったので、惹かれて読みました。
同じように『ミステリー』と書かれていた米澤穂信さんの『黒牢城』がすごく良かったからです。
読んでみて、本当に面白かったです!
1日であっという間に読んでしまいました。
巻末の解説(特別エッセイ)にも書いてあったんですが、最後の最後でタイトルの『意味』がわかって、私もつい本当に「なるほどな」と唸っていました。
これは、本当に読後がすっきりとする話で「よかった」と思いました。
事前情報がほぼない状態で読み始めました。
ただ、「ミステリー」だとは聞いていたので、それを頭の片隅に置いた状態で読みました。
全体で6章に分かれていて、最初の1章から5章までは『木挽町』(今の銀座のあたり)で実際に行われた『あだ討ち』を見ていたという人の証言です。
章ごとに語り部が違うのですが、それぞれ人がそれぞれの立場から、どんな風に『あだ討ち』を見ていたか、ということを語っていました。
今回の『あだ討ち』をやり遂げた菊之助という武士。
彼がお国から出てきて、木挽町の芝居茶屋に落ち着いて、自分の父の『仇』を探すところから始まります。
最初の方からもういきなり『結論』と言うか、エンディングの『首』をうち取るところまですんなり語ってしまっていて、「なるほど、こういう流れで仇討ちが行われたのか」となるんですが、その話が語る人を替えて5回続きます。
見る人の立場によって見方は多少異なれど、大筋は同じようなわけで。
「なぜこんなに繰り返されるのか」と、読者は疑問を持ち始めます。
私が疑問を持ち始めたきっかけは、第四章でした(…遅い?)。
舞台の小道具を作っている男性とその妻の章です。
彼らは幼い息子を病気で亡くしてしまって、菊之助を自分たちの息子のように思い、いろいろ手助けをしてあげるんです。
その話の中で、「小道具作成の男性が亡き自分の息子そっくりな首を作る」というシーンが出てくるんですが、そのあたりに至ってようやく「ひょっとして…」と思い始めたわけです。
そう思いながら読んでいると、なるほどいろいろ納得できるところも見えてくるんですよね。
ただ、小説を読む前に、想像できるようにキャストだけ見せてもらっていたんですが、『かたき役』である作兵衛が北村一輝さんでして。
その写真が、とっても『ヒール』なんですよ。
鋭い眼光に半顔だけの笑顔がすごくハマっていて、その顔通りの『悪役』に見えてしまい、なかなか自分の思考を修正できませんでした。
でも、少しずつ作兵衛が全然悪い人じゃなくて、むしろお国のため、菊之助の父上のために自分の命をかけてくれた素晴らしい人だったということがわかって、「なんて悲しい話なんだ」と思ってしまいました。
作兵衛を殺さずに『仇討ち』を終えるにはどうしたらいいのか、といろいろ考えながら読んでいましたが…。
なるほど、今まで話を聞いてきた人が全員『グル』だったとは!
「前に話を聞いた人からたまたま紹介されて聞きに行った」というていでしたが、実はそんなことは全然なかったわけですね。
実際には『共犯者』全員の話を聞いて回っていたんだな、と。
みんな共犯で、共犯になってくれて、菊之助と作兵衛に力を貸してくれて。
本当にいい人だな、としみじみ思いました。
いろんな人から助けられて今の自分がある、ということですね。
世の中には悪い人もたくさんいます。
現に、菊之助のお国では、悪い役人たちが自分たちばっかり私腹を肥やしているという状況でした。
でも、悪い人ばっかりじゃもちろんなくて、こうやって力を貸してくれる人もいて、世の中捨てたもんじゃないな、と思ってしまいます。
各章では、その語り部たちが自分たちの生い立ちなども話してくれるんですが、その話もなかなかドラマチックなものばかりでした。
『芝居小屋』というのは、この時代では「良くないもの」として位置付けられているようです。
でも、そこに流れてくる人たちにもそれぞれいろんなドラマがあって、好きで流れてきた人もいればそうでない人もいました。
みんなそれぞれにちゃんとドラマがあって、当たり前なんですけどすごいなと思いました。
特に心を揺さぶられたのは第三章のほたるさんの章でした。
子供の時点で「誰でもいずれ焼かれて骨になる」ってわかっているって、本当にすごい『悟り』です。
それぞれの今までの人生が菊之助の人生と重なって、こうやって手助けしてくれて、今回の『あだ討ち』が完了できました。
結局のところ、菊之助も作兵衛も『元』には戻れなかったかもしれないですが、とりあえずこの先も生きていけるんだな、と思うと、本当に良かったなと心から思いました。
読後がすっきりして良くて、読んでよかったなと思います。
以前、勝間和代さんがご自身の YouTube チャンネルで「勧善懲悪の話ばっかり読んでいると、実際の世の中はそんなことがなくて、それとのギャップで苦しくなってしまうこともある」みたいな話をしてらっしゃいました。
そうなんですよね…。
現代でも、自分だけ良ければそうれでいいという人もたくさんいるでしょうし、「どうしてこんなルール・仕組みなんだろう」と理不尽に思うこともたくさんあります。
なのでそれも分かります、分かるんですけど、やっぱりこういう勧善懲悪もの、スカッとするものは「読んでよかったな」って思うんですよね。
涙を流してスッキリしますしね。
また「読みたい」と思ってしまいます。
Kindle Unlimited で読めるので、ぜひ。
近い内に映画にも絶対に行きます!



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