悪い女 暴走弁護士

読んだ本

麻野涼さんの『悪い女 暴走弁護士』を読みました。
先日の『空白の絆 暴走弁護士』の続刊です。

空白の絆 暴走弁護士
麻野涼さんの『空白の絆 暴走弁護士』を読みました。先日の『暴走弁護士』の続刊です。 今回の表紙は一面の瓦礫と原爆ドーム。実際の写真ですかね。立ちすくむ男性の姿が胸を打ちます。その写真からもわかるように、今回のテーマには『戦争』が絡んできます...

表紙は埠頭で釣りをしている男性の写真。対岸に見える港の光がとてもきれいです。
読んでからわかったんですが、ここがまさに『事件』の現場でした。

真行寺の『黎明法律事務所』に依頼者が訪れました。大鷹明日香と名乗った彼女は「これから夫に対する保険金殺人の容疑がかかるかもしれないから、そのときはよろしく」と気軽な感じで言ってきます。
しばらくすると明日香は本当に逮捕されてしまいました。夫の死には不審な点がいくつもあり、その全てが『埠頭で水死したのではなく、自宅の風呂場で死んで運ばれた』ということを示しています。
しかも、明日香はこの事件の半年前に自損事故を起こしていました。その車には明日香の父も乗車していて、事故の際に死亡していました。明日香はその時の保険金を受け取っていて、警察ではそれに味をしめて今回の事件を企てたと見ているようです。
状況は次々と明日香に不利なものになっていきます。真行寺は裁判のことを考えて、少しでも陪審員の心象が良くなるように、女子少年院時代の彼女の知り合いから証言を集めようと行動します。そこで得た話を総合すると、明日香にはどうやら子供がいるのではないか、という疑問が浮かびました。しかし、彼女はそれを否定。2人を殺した事件に至る理由をまったく打ち明けないまま、時間だけがどんどん過ぎていきます。
明日香はなぜ父と夫を殺害したのか? 彼女の過去には何があったのか? 真行寺は法廷でそれを明らかにします。

『悪い女』は多分明日香のことだと思うんですが…。まぁ、2人も殺害しているし、女子少年院にも入ったことがあるし、覚醒剤も経験しているし…。
でも、ただの悪い女ではなく、自分が守らなきゃいけないもののために賢明に努力した結果だったわけですね。努力の方向はかなり間違っていましたが、誰にも相談できないような状況では、ある意味仕方なかったのかもしれません。もう少し早く真行寺さんに会えていれば、あるいは違った結末になったかもしれませんし…。
話は一審が終わった時点、真行寺さんが明日香に控訴の手続きを終えたことを報告して終わります。こういう話の流れだと、控訴の手続きのあたりって終わりの見えないトンネルって感じなんですが、今回の話ではまったく違いました。
しかし、こういう形の裁判では、前もって提示されずに公判中に出てきてしまった証拠というのは採用されないものなんですね。初めて知りました。なるほど。

前々回の『暴走弁護士』での裁判では、『真実』が有耶無耶になった感がありましたが、今回は真実がちゃんと明かされました。このあとの裁判でそれが酌量されて刑に反映されるといいな、と思います。話はここで終わりなので、そこまで読めないのはちょっと残念ではありますが、話の流れ的にここで切ったほうがスッキリまとまる感じなんですかね。

暴走弁護士シリーズはこの巻で終わりです。
というか、『暴走弁護士』『空白の絆』『悪い女』の3巻は全部書き下ろしだったようなんですが、3つとも同じ発売日(2021/5/12)みたいですね!
発売から3年近く経ちますが、このあとは続き出ますかねー。
同じアウトローな感じでも、中山七里さんの『御子柴弁護士』とは違って『普通』の依頼人が多いみたいですね。御子柴さんは、途中から『ヤクザなお客さん』の専門みたいな感じになっちゃいましたからね…。

ぜひとも、また続きを読んでみたいです。

Kindle Unlimited で読みました。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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