そして誰もいなくなった

読んだ本

アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』を読みました。
…カラマゾフの兄弟のときも思ったんですけど、もはや教科書に載るレベルの故人である偉人なんですが、アガサ・クリスティー『さん』とすべきなのか…。

Wikipedia では『クリスティ』となっていますが、この本には『クリスティー』となっていましたので、そちらを採用しました。

急に読もうと思ったきっかけは『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』の大江湯女嬢です。

最近全巻読んだんですが、登場人物の『大江湯女』さんは『U.N.オーエン』から来ていると知り、急に読みたくなりました。
…『大江湯女』は偽名です、念のため。さすがに子供の名前に『湯女』の漢字は、ねぇ。

中学生くらいだったとき、なんかシャーロック・ホームズとかそういう名作を読み漁った時期が私にもありました。
推理小説読む私カッケー的な思い込みがあったことは否めません。
で、そのときに『そして誰もいなくなった』は読んだことがあったので、話の流れは知っていました。
日本人のキャストでドラマ化もされましたよね。調べたら2017年でした。
ただ、詳細まで細かく覚えていたわけではなかったので、とてもとても楽しく読むことができました。

Wikipedia を見れば犯人まで書かれている状態なのですが、敢えてのあらすじ。
8人の年齢も職業も違う男女が兵隊島への招待状を受け取りました。
差出人は『オーエン夫妻』、それぞれの人ごとに招待の理由なども違います。
島に着くと、オーエン夫妻に雇われた召使いの夫婦が迎えてくれました。
オーエン夫妻は島にはまだ到着しておらず、合わせて10人の男女は夕食を食べていました。
そんなさなか、部屋に謎の音声が響きます。
そこにいる10人全員の『過去の罪』を読み上げた音声です。
それぞれは罪に問われたりしたものではなく、限りなく黒に近いグレーなものばかり。
そして各人が戸惑っている中、招待客の若い男性が死んでしまいました。
次の朝、召使い夫婦の妻の方も死んでしまいます。
各人の宿泊している部屋の壁には、『十人の小さな兵隊さん』という詩が額に入れて飾ってありました。
そして、陶器の10体の兵隊人形が飾られていた…のですが、今それは8体になっています。
どうやら彼らは、『十人の小さな兵隊さん』の詩に沿った状態で死んでいき、その度に陶器の人形が1体ずつ減っていくようです。
それに気づいたあと、皆で協力して島内を探ったり島の外と連絡を取ろうとしてみたりしましたが、どれも不発に終わります。
そして、また一人また一人と死んでいきます。
犯人は誰なのか? 部外者なのか、この中にいるのか?
生存者が最後の一人になったとき、その人物の部屋には首吊り用のロープが用意されていました。
最後の生存者はそのロープに吸い寄せられるようにして首を預け、そして誰もいなくなりました。

いやー、本当に本当に、美しいですね…。
読みながらうっとりしてしまいます。
もちろん殺人事件なのでそういう感想は気持ち悪いんですが、でも読み終えた後は少し恍惚としてしまいました。
流れるように次々と発生していく事件、無駄のない文章。
クローズドサークル、見立て殺人など、推理小説の教科書のようだなと思いました。
個人的には、本当に個人的に、犯人の動機がもうちょっと属人的な感じだったらいいなとは思うんですが、まーこの状況だとそれも難しいか。
私なんぞがケチつけたらバチが当たりますね。
あと、ラストの犯人の手紙での『くん製のにしん』と『カインの刻印』については、実を言うとあんまり理解していないです。
『にしん』と言われるとどうしても「あたしこのパイ嫌いなのよね」だし、『カイン』と言われると『ガリ』しか思い浮かばない…。
英語圏の人とかだったら「なーるーほーどー」って感じになるんでしょうか…?

久しぶりに読んで、本当におもしろかったです。
いやー、他のものも読みたくなっちゃいますね。
次の候補に入れなければ。

さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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