乱読のセレンディピティ

読んだ本

外山滋比古さんの『乱読のセレンディピティ』を読みました。

外山さんの本は、2年ほど前に『思考の生理学』を読んでいました。1986年発売とかなり古い本なので、もちろん情報として古いところもあるんですが、情報カードの使い方とかなかなかおもしろかったのを覚えています。
今回の本は、『乱読』で『セレンディピティ』なのに惹かれて読んでみました。その後で外山さんの著書だと気づきました。遅い(笑)。

乱読についてはいろいろ意見があると思います。
樺沢先生はよく「乱読・速読ではなく深読をしよう」とおっしゃっています。一方で、勝間さんは乱読を勧められている印象があります。人それぞれだし、どれが正解ってこともなくて、自分に合った方法を見つけるのがいいんだろうな、と解釈しています。

本書では、読書についての外山さんの考え方がたくさん書かれていました。それがなかなかおもしろかったです。
『本は見ゼニを切って買うべし』。人からもらった本はありがたくないのでためになることが少なく、タダより高いものはない。自己責任の度合いが少ない。身銭を切って買ったからこそ得られるものがある、と。私は Kindle Unlimited でよく借りるんですが(すみません、この本も借りました)、たしかに気軽に借りちゃいますね。自己責任の度合いは少ないかも知れません。身銭を切った方が得られるものが多いというのも、あるかもしれません。かといって、Kindle Unlimited やめないですけど。

『アルファー読みとベーター読み』というのが初めての概念だったので驚きました。
読む側があらかじめ知識を持っている場合は『アルファー読み』、内容・意味がわからない文章の読む場合は『ベーター読み』と言うそうです。もちろん、アルファー読みの方が簡単で、一般の人にとっての漢文なんかがベーター読みにあたるようです。
物語・文学作品はアルファー読みができる教材になるので、学校教育ではたくさん取り入れられてきて、そのため文学教育一辺倒になり日本人の知性を歪めることになった、と。小説なんかは、仮にかなりのフィクション作品だったとしても、自分たちの常識がまったく通じない世界が描かれているなんてことはほとんどないため、アルファー読みで読めてしまいます。
本当の意味での『乱読』はベーター読みができないとできない、と。悔しいですが、なるほどと思ってしまいました。本書にも、例として『哲学書』が挙げられていたんですが、私、哲学書読めないんですよね…。いわゆる入門編の哲学書でも挫折しています。『ベーター読み』ができないってことなんですよね、きっと…悲しい。確かに小説にかなり偏っているな、とは感じていましたが…。
『新聞は乱読の入門テキストとしてはうってつけである』と書いてあるんですが、とりあえず週一で来る『読売 KODOMO 新聞』でもいいのかな…? うーん、悩ましいです。

後半では散歩について書かれていました。外山さんは30歳ころに散歩をはじめたらしいのですが、「歩くと頭の働きが良くなるらしい」と感じたそうです。今ではすっかり定説になっていますが、1950・1960年ころにそれに気づいているなんて、素晴らしい慧眼だとしか…。外山さんは2020年に96歳でなくなっていますが、この『乱読のセレンディピティ』は90歳すぎの著書のようですし、本当にすごいなと思います。もちろん、外山さんの持ち前の身体の健康もあったんでしょうが、この『散歩』の効力もあったんでしょうね。「90歳になって、(毎月の血液検査の項目が)すべてOK、となった」とあるので、本当に素晴らしいお体だったんでしょうね。尊敬します。

読書に限らずいろんな知恵を授けてくれたように感じました。感謝。

Kindle Unlimited で読みました。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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