麻野涼さんの『三叉路ゲーム』を読みました。
麻野さんの小説は先日の『悪い女 暴走弁護士』以来です。
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暴走弁護士シリーズを読み終えてしまったので、同じ麻野さんの作品で探していたらこちらにめぐり逢いました。
三叉路ってって Y 字の道路のことだよね? なんか、子どもが道路で遊んじゃう話? …と思って読みましたが、違いました。そりゃそうだ。
表紙からしてちょっと不穏な感じがします。
小2の女児・山本美奈代ちゃんが誘拐されました。彼女の父親は国立署交通課所属の警部補です。美奈代ちゃんは、母親と兄と3人で鉄道公園に遊びに行ったとき、ほんのちょっと目を離した隙にいなくなってしまいました。自宅に脅迫状が届きましたが、『美奈代は預かっている』としか書かれていません。警察に対する怨恨、個人的な怨恨、様々な角度から捜査が行われました。脅迫状は他県様々な場所から投函され、複数の犯人ではないかという憶測が浮かび、かなり用意周到に準備していることなどが伺えます。
犯人の指示で父親の警部補が電車を乗り継いで移動させられますが、新横浜のホームに設置してあるコインロッカーで『三叉路ゲームスタート』というメッセージを受け取ります。
犯人の目的が身代金ではない可能性が出てきて、警部補が過去に関わったある事件が浮かび上がってきます。
美奈代ちゃんが誘拐されたのはなぜなのか? 警察は犯人の目的を明らかにしようと捜査を続けます。
読み終えて一番に思ったことは、「よかった」ということでした。もちろん、話が面白くて「よかった」もあるんですが、とにかく…よかった。
以前読んだ翔田寛さんの『人さらい』も女の子が誘拐される話だったんですが、あちらでは残念な結果になってしまったので…。
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『人さらい』の女の子は、まーちょっと嫌な感じの子だったんですが、それでも犠牲になってしまったのは悲しかった。まだ小さな女の子ですから。
今回の『三叉路ゲーム』は、事件の関係者で美奈代ちゃんとお兄ちゃん以外ほぼ全員が大なり小なり『悪い人』でした。特にダメな親子がいるんですけど。後半になるに連れてムカムカしてきていたんですが、一応2人にはそれなりの制裁がくだされたようなので、まぁ良かったというか。
途中で話がちょっとだけ『暴走弁護士』っぽくなってきてびっくりしました。
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また、一人の人間に煮え湯を飲まされた複数の人達が秘密裏に協力して何かを企てるというのは、これも同じ麻野さんの『死刑台の微笑』に通じるものがあるなと思いました。
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しかし、これだけのことを独自に調べ上げた人たちは、本当に血のにじむような思いで毎日頑張っていたんでしょうね…。最後のシーンで『表情は意外なほど明るかった』と書かれていましたが、本当にいろんな思いが心に浮かんでいたことでしょうね…。
読み応えのある話でした。おもしろかったです。
Kindle Unlimited で読みました。
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