怪しい店

読んだ本

有栖川有栖さんの『怪しい店』を読みました。
有栖川さんの小説は『高原のフーダニット』以来です。

高原のフーダニット
有栖川有栖さんの『高原のフーダニット』を読みました。有栖川さんの小説は『鍵の掛かった男』以来です。 本書は短編集で、3つの話が入っていました。いわゆる『火村英生シリーズ』『作家アリスシリーズ』と呼ばれるシリーズモノの短編です。なので、過去作...

昨日の『高原のフーダニット』と同様、こちらも火村先生のシリーズの短編集です。5つの短編が入っているので、昨日よりも短めの話ですね。…まぁ、昨日は『ミステリ夢十夜』を10個の短編とすれば、12個入っていたことになりますが。
『怪しい店』というタイトル通り、ちょっと怪しげな店が舞台の短編が選ばれて入っているようです。まー、推理小説に出てくる店で怪しくないのなんてあんまりないですけどね…。

1つ目は『古物の魔』。骨董店が舞台です。骨董品店『あわしま』の店主が殺害されました。彼は生前いろいろアコギな商売をしていたようですが、殺害される前日、一緒に働いている甥に「変なもんを掴んだわ」と話していました。『変なもん』とはなんなのか? 彼は誰に、何で殺されたのか?
骨董品店なんて行ったこともないし、今後もいく予定はないんですが、この話に出てくる魚津さんの話はなかなかおもしろかったです。『物』に対する敬意みたいなものが伝わってきました。こういう話を聞くと骨董品も見てみたくなってしまいます。まぁ、それこそ変なもん掴む確率のほうがタカそうなのでやめておきますけど。

2つ目は『燈火堂の奇禍』。古本屋が舞台です。偏屈で有名な古本屋の主人が何者かに襲われ、8,000円の古書もなくなっています。一体誰が犯人なのか?
これは短い間に起きた複数の出来事が事件に発展してしまった話でした。たしかに、旅行中にふらっと立ち寄った古書店で『十日後ルール』を言われたらイラッとしてしまうかもしれませんねー。

3つ目は『ショーウィンドウを砕く』。これはちょっと毛色が違って、芸能プロダクションの話です。しかも、犯人視点。『お店』という点では、被害者がよく通っていた高級ブランド店かな。ほぼ行ったことない世界ですが、やはり普通のお店とは感覚が違うので、そこがポイントになってしまった事件でした。まー、身勝手な殺人だよなぁ。

4つ目は『潮騒理髪店』。なんだかとてもノスタルジックな感じのする話でした。タイトル通り『理髪店』が舞台です。火村先生が旅先でたまたま入った理髪店。たまたま最終営業の日でした。店に入る前にたまたま見かけた女性が、なぜか崖の上から電車に向かってハンカチを振っていて、どうやらその女性もこの理髪店に立ち寄っていたようなのです。彼女は一体何をしていたのか?
まー、大抵の人は本当に無意味な行動なんてそんなにしないので、不思議な行動には何か意味があるということなんですよね。その女性から直接理由を聞いたわけではないので正解なのかはわかりませんが、なかなかおもしろい流れでした。

最後は表題作『怪しい店』。まさに怪しい店で『みみや』という名前でした。アリスさんと同様私も、以前一時期流行った耳掃除屋かと思ったんですが、どうやら『聴き屋』らしいです。路上店でもたまにありますよね。その『みみや』の店主の女性が殺害されていました。彼女は『聴き屋』として集めた情報を使って顧客を恐喝していたようでした。容疑者は複数上がりましたが、一体誰が殺害したんでしょうか?
客と2人きりの閉鎖的空間で秘密の話を聞く、ここに信頼関係がなければなんと恐ろしいシチュエーションでしょうか。せっかく『聴く才能』を活かせる場を作り出せたんだから、恐喝なんかしなきゃよかったのに…と思っちゃいますけど。それだけじゃやっぱり生活していけなかったのかな。もったいない話です。

『店』縛りというだけでもこんなにバラエティ豊かな話が集まるんですねー。おもしろかったです。

Kindle Unlimited で読みました。

[AD]怪しい店
[AD]Kindle Unlimited
さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

さちこをフォローする
読んだ本
さちこをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました