大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち

読んだ本

藤井一至さんの『大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち』を読みました。
藤井さんの本は初めてです。

表紙はゴッホの『種をまく人』です。いいですねー。買うとき、本の内容はあまり理解していなかったんですが、表紙がこれだったので引き寄せられて買いました。内容もとてもおもしろかったです。

藤井さんは『土』の研究者でいらっしゃいます。『土』といえばラピュタ好きの私としては

土に根をおろし、風とともに生きよう。種とともに冬を越え、鳥とともに春を歌おう。
どんなに恐ろしい武器を持っても、たくさんの可哀想なロボットを操っても、土から離れては生きられないのよ。

映画 天空の城ラピュタ
子どもりょうり絵本 ジブリの食卓 天空の城ラピュタ
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をすぐに想起しますが、本文の中でも触れられていました。ちょっと嬉しかった。あとはまぁ、土といえば黒魔法のクエイクとかかなー?

土って毎日踏んでいる(と思う)のに、ほとんど意識したことなく、あまりにも何も知りませんでした。
地球の46億年の歴史の中で、41億年目までは土がなかったそうです。土がない地球、想像ができないです。もちろん、『地面』がない、という意味ではなく、生物が育つことができる『土』がない、という意味です。そういうことでいえば、先日読んだ『火星の人』でも土はなかったですね。なんとか頑張って、ようやくじゃがいもを育てることのできる土を作ったという感じでした。

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そして、さらに土が何性であるかなんて、ほとんど意識したことはなかったです。あじさいの花の色は土が何性であるかによって決まり、酸性だと青っぽく、アルカリ性だと紫っぽくなる。だからこの地面の下には死体が埋められているハズ! …というような本を読んだことがあります。それくらいしか知識がない。
でも、土が何性であるかがとても重要であることがわかりました。そして、黒く酸性である土をなんとかしようと奮闘したのが宮沢賢治だというのです。
宮沢賢治といえば、『銀河鉄道の夜』『注文の多い料理店』などで有名な、東北・岩手出身の童話作家です。まったくそんなことは知らなかったので、同姓同名…? と思って読みましたが、たしかに宮沢賢治は土の研究者として、セールスマンとして東北の土壌の改善に全力を尽くしていたようなんです。そして、過労がたたって倒れたときに病床で残したのが『雨ニモマケズ』だったというから、本当に驚きでした。
あと、本文の中では『赤毛のアン』についても触れられていました。赤毛のアンは5年くらい前に『炉辺荘のアン』まで読んでいたので、興味深くその部分を読みました。
赤毛のアンの冒頭のシーンでアンが迎えに来たマシューに「どうしてこんなに道の土が赤いのか?」と疑問を投げかけているシーンがある、と書かれていました。たしかにそんな記憶が…と思って『赤毛のアン』を調べてみると、

でも、ここの赤い道だけは、すごく変だわ。シャーロットタウンで汽車に乗ったら、窓の外を赤い道が後ろへ後ろへ飛んでいくので、どうして道が赤いのか、スペンサーのおばさんにきいたの。そしたら、そんなことは知らないし、お願いだから、そういう質問ばかりしないでくれっていわれちゃった。

赤毛のアン

というシーンがたしかにありました。実際、プリンスエドワード島の土は赤いそうで、それは『ヘマタイト』と呼ばれる鉄酸化物のせいなんだそうです。赤毛のアン読んでいたときは「へー赤いのか、あんの赤毛と一緒だねー」くらいにしか思っていなかったのですが、その理由も本文に書かれていました。すごい歴史がその土に秘められていて気づくと唸っていました(笑)。すごいです。

他にも様々な話が書かれていました。
焼畑農業の話は興味深かったです。社会科とかで習ったときは「なんでそんなことすんのよ、他に方法ないの?」なんて思っていましたが、…ないからやるんですね。しかも、環境に悪いみたいな教えられ方をしたような記憶があるんですが、いろいろ理にかなっていることもあると知りました。
土を意図的に食べるサルもいる、と書かれていました。ミネラルなどを補給するためだとのこと。『死役所』のシ村さんの娘さんも土を食べる異食症だったな…なんて思いました。
正直、私には難しい内容が多くて大変でしたが、写真はカラーで載っていたし、いろんな風景の写真があってそれを見ているだけでもおもしろかったです。
難しくてあまり興味を持つことがなかった『土』の話を、いろんなエピソードを交えて教えてもらえたな、と。こういう研究をされている方がいらっしゃるから、我々は豊かな大地のめぐみを享受して生きていけているんだなと思いました。感謝。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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