羆嵐

読んだ本

吉村昭さんの『羆嵐(くまあらし)』を読みました。
『三毛別羆事件』という、日本史上最悪の獣害を元に書かれた小説です。

三毛別羆事件 - Wikipedia

きっかけは『呪術廻戦』です。
最近アニメが始まったのがフックになって、
既刊のマンガを全部読み直しました。
(よくやるんです…)
で、10巻の『蝗GUY』のところで
作者の芥見下々さんが参考文献に『羆嵐』を挙げていました。

そういえば、吉村昭さんの本は
昨年『破獄』を読んだな…と思い出しまして。
こちらの『破獄』は、
私が小学生くらいのときにやっていたテレビ番組で
『昭和の脱獄王』として取り上げられていた
『白鳥由栄』という人をモデルにした小説です。
(『知ってるつもり?!』だと思っていたんですが、
Wikipedia で調べてもなかった…なんの番組だったんだろう?)
最近だと、『ゴールデンカムイ』の『白石』のモデルとして知られていますかね。
『破獄』、淡々としながらもすごく面白かったので、
『羆嵐』も読んでみることにした、という経緯です。

『呪術廻戦』で出てきた『蝗GUY』、
これは蝗害という災害から生まれた呪霊でした。
蝗害は『蝗(イナゴ)』という漢字が当てられていますが
バッタが農作物を食い尽くすという災害です。
本当に本当に凄まじいらしく、すべて食い尽くして去っていくので
住民は食糧難・飢饉になるらしいんですね。
しかも、卵を産んでいくので、次の年も繰り返されるという…。
で、ちなみに、『羆嵐』では蝗害は1・2ページ、
しかも物語の序章の序章でした。

北海道に移住した住民たちが、その地で蝗害に遭ってしまい、
別の場所に再度移住します。
で、その先が三毛別の六線沢でした。
そこで慎ましく生きてきたんですが、
ある日その村の1軒がヒグマに襲われます。
外にいた子どもは首元を切り裂かれ、
家の中にいた母親はヒグマに連れ去られました。
その後村人たちが協力して捜索したところ、
その母親はヒグマに食い殺され、無惨な姿になって発見されます。
その後、その家で2人の通夜をしていたところ、
外で火を焚いているにも関わらずにヒグマが襲来します。
通夜の家を後にしてその後2軒の家に襲いかかり、
その夜に5人もの人を襲い殺しています。
その中には妊娠中の女性もいたそうなんですが、
その女性が「腹、破らんでくれ」と懇願していたことが
描かれています。
結局は胎児もろとも食い殺されてしまっています…。
(ココは読んでいて辛かった…)
六線沢の住人たちは残った全員で避難し、
警察などに届け出ます。
警察は現場に来てくれはしたものの結局は役に立たず。
六線沢の住人たちは、ヒグマ猟師として名高い銀四郎に
ヒグマ退治を頼むことにします…という話。

クマというと、どうしても動物園にいる緩慢な動きの動物の印象ですが、
野生のクマというのはめちゃくちゃ敏捷な動きをするようです。
体重300kg 超、体長3m 近くのクマが敏捷に動くさまは
恐怖しかないですね…。
相手はたった1匹なのに絶望的になった村人たちの心情が伝わります。
読んでいる最中は『進撃の巨人』のウォール・マリア最終奪還のあたりのような
一瞬で人が死ぬ恐ろしさを感じていました…。
ヒグマ猟師の銀四郎さんは一番最後以外はずっとおとなしい感じで、
「顔が青白い」とか「死者のように血の気が失われている」とか
書かれているので、体調が芳しくないのを押してやってきたのかと思っていたんですが、
彼もまた本心ではヒグマに対して恐れを感じていたんですね。
すごい人だなと思いました。実在した人物のようです。

物語は『破獄』と同様、淡々と語られていきます。
それがかえって想像力を産み、恐ろしさが増す感じがしますね。
吉村昭さんの特徴なのかもしれないのですが、
「彼は」を「かれは」とひらがなで書いてあるので
TalkBack だと「枯れ葉」のようなイントネーションになってしまうのが
少し残念でした(笑)。

いやー、面白かったです。
そして、次回も吉村昭さんです~。

Kindle Unlimited で読みました。

さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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