死にゆく者の祈り

読んだ本

中山七里さんの『死にゆく者の祈り』を読みました。
中山さんの小説は『騒がしい楽園』以来です。…おー、ちょっとご無沙汰でしたね。

騒がしい楽園
中山七里さんの『騒がしい楽園』を読みました。先日の『闘う君の唄を』の続編です。 今回の主人公は、前回の凛ではなく、凛の同僚で年少組の隣の担任だった神尾舞子。…私また読む順番を間違えてしまったみたいで…、神尾舞子は中山七里さんの『おやすみラフ...

今回の主人公は『教誨師』をしている僧侶の男性です。
『教誨師』はたまーに聞く職業(?)ですね。小説とかにたまに出てきます。映画もありましたね。
ですが、ミステリー小説に『僧侶』って…。なんだかすごい人選ですね。

高輪顕真は教誨師をしている僧侶です。東京拘置所で受刑者に対して宗教を教え諭しています。
ある日集合教誨を依頼されて拘置所に赴くと、受刑者の中に見知った顔がありました。彼の名前は関根要一、数年前に顔のあざを笑ってきたカップルを殺害して死刑判決を受けたとのことでした。関根がその判決を受けた頃に顕真は出家していたので、事件の概要をまったく知らなかったようです。
関根は顕真にとって命の恩人とも言うべき人物でした。顕真と関根、亜佐美という1つ先輩の女性の3人は、大学時代に北アルプスの剱岳に一緒に登り、そこで顕真と亜佐美は関根に命を助けられていました。大学卒業後にしばらくして音信不通となってしまったため、本当に久しぶりの再開でした。顕真は関根との学生時代を思い出して「彼がそんな動機で2人もの人を殺害するはずがない」と考えます。
関根は顕真との再会を喜び、個人教誨を依頼してきました。顕真はそれを快諾します。
「関根は冤罪なのではないか」と考えはじめた顕真は、裁判記録を取り寄せたり関根の担当弁護士に話を聞いたりするものの、僧侶としての仕事もあるため捜査は遅々として進みません。元々僧侶ですから、確立された捜査手法も持っていません。
関根を逮捕した刑事の一人文屋と会うことができた顕真は逮捕時の状況を聞いてますます疑念を深め、それを文屋にぶつけます。はじめは訝しんでいた文屋でしたが、「自首だったためそこまで詳細な捜査はしていない」という負い目もあり、顕真の捜査に協力してくれました。文屋の捜査に同行した顕真は、刑事の仕事がいかに地道で大変なものなのかを思い知らされます。
顕真は自らの立場を利用して、拘置所で関根に面会を申し込んできた人物のリストを手に入れることができました。そこにあった『黒島』という名前、殺害された女性の元彼だった男性が浮上しました。顕真と文屋は黒島に会いに行くと、驚いたことに彼は若い頃の関根に瓜二つでした。
黒島は一体何者なのか、関根は果たして本当に犯人なのか。顕真と文屋はそれぞれの所属から何故か圧力を掛けられ、少しずつ身動きが取りにくくなってきていました。彼らの捜査は実を結ぶのでしょうか? 関根は死刑を回避することができるのでしょうか?

僧侶の方がどうやって殺人事件を捜査するのかな…と心配(笑)していたんですが、もちろん私の心配など全くの必要ありませんでした。とても自然な流れでプロフェッショナルである刑事さんとの結びつきができ、外部からの圧力を感じつつも捜査を進めることができました。刑事が当たり前にやる操作手法も、僧侶である顕真からは新鮮に感じられて驚きの連続です。そのやり取りもなかなかおもしろかったです。自分がうまく捜査をすることができないことに落ち込む顕真に対し、文屋が「僧侶が捜査をうまくなる必要はない」と諭すシーンはなかなか面白かったです。そりゃそうだよな、と。

クライマックスのシーン、絶体絶命のところでいわゆる『真犯人』の名が告げられるんですが、その直前がまさかの出来事が目白押しで、どうなることやらヒヤヒヤが止まりませんでした。
そして、ラスト。顕真の上司である良然門主の言葉、厳しいながらも愛のある言葉でした。すごいなぁ。

Kindle Unlimited で読みました。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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