麻野涼さんの『暴走弁護士』を読みました。
麻野さんの小説は『死刑台の微笑』以来です。
『暴走弁護士』って、怖い…なんかすっごい暴走するのかな…なんて。そこまでとんでもないことをする人って感じではなかったですが。
元暴走族の弁護士が主人公の話です。彼の弁護士事務所の名前が『黎明法律事務所』。それはまぁ、かっこいいと思うんですが…。
彼の恋人が代表を務める探偵事務所の名前が『愛乃斗羅武琉興信所』。…「あいのとらぶるこうしんじょ」と読みます。うん、すごい。
代表は、裕福な家に育ったがゆえの親の干渉を嫌がり、「学校成績を落とさないかわりに自由にさせてもらう」と慶応大卒で元レディース総長という経歴の持ち主です。すごいわ。で、スタッフも女性ばかりで、シングルマザーとか元薬中なんかのちょっとワケアリだけど優秀な人たちで構成されています。すごいけど…一般人だったらお願いしづらい…。名前もとっても言いにくい…。今回も私は耳読したんですが、「あいのとらぶる」とは読んでくれなかったよ…。初め聞いたときは、一介音声止めて文字見ましたね。
真行寺悟は元暴走族の総長で、そのことが新聞記事に掲載されたことでちょっとした有名人になった弁護士です。
歌舞伎町でホストをしている大河内が中央高速道で事故に巻き込まれました。トラックと正面衝突の大事故で、そのトラックの運転手がかつて大河内が殺した男の父親・加瀬でした。
真行寺は加瀬の弁護を引き受けますが、加瀬が大河内を認識して故意に事故を起こしたのかどうか確証が掴めません。当時大河内と直前まで一緒の車に乗っていた麻由美の証言も、大河内とは食い違っています。
この事故は仕組まれたものなのかどうなのか? 過去の事件との関係は? 真行寺は様々な人脈を駆使してそれを探ります。
物語の冒頭で事故の場面が描かれているんですが、そのときの状況とその後の物語の展開が違うので、はじめは混乱していました。どっちが本当なの? と。
まぁ、普通に考えて、冒頭の文章で客観的に語られる展開が正しくて、そのあと関係者が語る証言が嘘だろうとは思うんですが、この大河内という男がまったく信用できない人種過ぎて…。
ただ、この話に出てくる人たちが、みんながみんな多少なりとも『すねに傷持つ』って感じの人ばっかりで。真行寺さんも含めてね。なかなか感情をどこに持っていけばいいか迷ってしまう話ではありました。
また、検事の飯島が『典型的』な感じがしていいですよねー。いかにもって感じ。真行寺さんとのコントラストを際立たせるためだとは思うんですが、本当にこういう人っているのかな…。ある意味彼が唯一の『普通の人』でした。
アウトローな感じの弁護士というと、一番初めに思い浮かべるのは中山七里さんの『御子柴弁護士シリーズ』ですかねー。
↑意外にも『御子柴弁護士シリーズ』の感想は、このブログには書いてなかったですねー。まだ最新の『殺戮の狂詩曲』読めてない…。
真実と判決が一致しない結果となっていますが、その方が『正義』だと真行寺さんは考えているようです。まぁ、この事件に限ってはそうかもしれません。ただ、こんな判決ばかりじゃなく、ちゃんと真実が明かされていると思いたいですけど。
『暴走弁護士』シリーズは3冊あるみたいなので、あと2冊楽しませていただきます!
Kindle Unlimited で読みました。
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