松本清張の小説帝銀事件を読みました。
昨年末に日本の死刑囚の本を読んでいたので、
知識として帝銀事件は知っていたんですが、
1つの事件に数ページしか割いていない記事とは違い、
かなり濃密に描かれていました。
ただ、『小説』なので、どの程度ノンフィクションなのかはわかりません。
この事件で死刑の判決を受けた画家の人は
以前に病気を患ってから人格がちょっとおかしくなったらしく、
致死量ギリギリの毒を飲ませたり、毒の飲み方をレクチャーしたりなどという
緻密な犯行ができるような人物ではないと描かれています。
実際、この人物は死刑が執行されず、40年近くを独房で過ごし
95歳で亡くなっています。
仮に彼が犯人ではなかったのであれば、
12人もの人間を殺害した犯人が捕まらずにのさばっていることがとても腹立たしいし、
彼の家族、もちろん彼自身に対しても耐え難い苦痛だったことでしょう…。
1990年代に起きた足利事件でさえ大冤罪だと言われていたので、
この当時の科学捜査なんて今に比べれば全然大したことなかったんだろうなと。
毒物の鑑定、筆跡鑑定はそこまでの精度ではなかったでしょうし、
人の記憶は今も昔も曖昧ですしね。
今は街のあらゆるところに監視カメラがあるし、
スマホに GPS も入っているので、
特別隠す必要もない自分の居場所はずっとログを取っていこうと
改めて思ったのでした。
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