医者という病

読んだ本

和田秀樹さんの『医者という病』を読みました。
和田先生の本は『「音楽する」は脳に効く 弾く・聴く・歌うで一生アタマは進化する』以来です。

「音楽する」は脳に効く 弾く・聴く・歌うで一生アタマは進化する
『「音楽する」は脳に効く 弾く・聴く・歌うで一生アタマは進化する』を読みました。この本は、医師4人と弁護士やピアニストなどの方々5人が書いた音楽に関する文章を1冊にまとめたものです。精神科医の和田秀樹先生(『80歳の壁』の著者)や弁護士の菊

お医者さんは頭が良くて人格者で…と幼い頃から思っていました。医学部は6年間もあるから、その中で『ヤバイ奴』は淘汰されるとも聞いたことがあります。
でもまぁ、お医者さんも人間ですから、いろんな人がいるわけで。特に親しいお医者さんはいないので、私の知る範囲は小説とか漫画とかドラマとかに限られますが、まー変な人もいるんだよなーと思うようになりました。

この本で和田先生は、『専門医』『大学病院』『薬』『検査』『医学部』などの問題点について語っています。
どれも門外漢である私にとってはおもしろく読めましたが、同時に恐ろしくもなりました。内部のゴタゴタについては外からはいかんともしがたいですし、病院に行く必要が出たときにどこに行けばいいんだ…と。
頭のいい人たちが集団で何かしはじめたら、私なんかはどうしようもないですからね…。

第1章の『専門医という病』は、医師が自分の専門に特化しすぎてしまうことの弊害についてです。
いわゆる『総合診療科』のように、全身を診られる医師が必要だ、という問題提議です。
私も数年前まではまったく知らなかったんですが、以前浜辺美波さん主演でやっていた『ドクターホワイト』は総合診療科の話ですね。ドラマがおもしろかったので小説も全部読みましたが、全身を診られる医師というのは大切なんだな…と思いました。あとは、漫画の『19番目のカルテ 徳重晃の問診』。これもおもしろいですね。そして、とても難しい仕事なんだなと思います。ちょっと毛色は違うかも知れないけど、『ラジエーションハウス』も全身を診るという点では似ているのかな。
自分の専門だけしか診られないと、複数の病気で病院にかかったときに治療の優先順位が付けられずに、膨大な量の薬を処方されることになってしまう。かといって、ただ複数の科を診られるようにするだけだと、診察料は1回分で済みますが、結局薬はたくさん処方されちゃう。なので、『総合的』に診られる医師を育てなくてはいけない、という和田先生からの提言です。
…難しいですね。AI が発達すれば少しは手助けになるでしょうか。『ドクターホワイト』では AI の診察と白夜ちゃんとの対決、みたいな話もありました。本書の後半に AI 診断についても書いてありますが、それによって医療ミスが減るだけでなく、医療のプラスアルファの部分がさらによくなるといいですねー。

びっくりしたのは『「医局」という大学病院のがん』という章に書いてあった話です。
大学病院は教授の権力が絶対で、その人の意にそぐわない研究や論文などは審査に受かることができないそうです。で、東北地方の精神科に絶大な権力を持つ教授がいらっしゃったようで、結果的に東北地方から精神療法専門の人がいなくなってしまうという自体が発生したそうなんです。
うちの母は仙台に住んでいるんですが、東日本大震災後に心の具合が悪くなってしまって様々な精神科に行ったんですが、そこの誰も母に『病名』を付けてくれなかったんです。大学の附属病院も、県の病院もいろいろ行ったんですが。で、結局血液検査かなにかを外国のどこかの病院に送って、ようやく診断がおりた、ということがありました。…母と同居している父が主体でやってくれたので、私は詳細を知らなかったのですが。母のこととこの本に書かれていることに関係があるかわかりませんが、もし関係があるとしたらなんだか納得できちゃうな、と思いました…。なんだかな…。

その他にも、読む分にはとてもおもしろい、でもいざ自分が病院に行くとなるとそら恐ろしいようなことがたくさん書いてありました。
頭のいい人しかいないはずの業界なのに、どうしてこうなってしまうのか。いや、頭がいい人ばかりだからこうなってしまうんでしょうか。なんだか悲しい気持ちになってしまいます。
しかし、自分の知らない業界の話はおもしろいですね。まぁ、『おもしろい』で済まされない業界ではありますけどね…。

本書の最後には『医者に騙されずに幸福な人生を送るために』という章があります。ここに書かれたことを覚えておいて、いざ自分が病院にいかなければいけなくなったときに役立てたいですね。
もちろん、病気にならないような生活をすることも大事ですけどね!

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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