中山七里さんの『人面瘡探偵』を読みました。
中山さんの小説は『秋山善吉工務店』以来です。
タイトルの『人面瘡探偵』で
小説の特徴はほぼ説明し終わってるんですが、
その通り人面瘡を持つ男性が探偵のようなことをする小説です。
人面瘡と言うのは人の顔の形をした傷とかでき物とかですね。
主人公の三津木六兵の右肩には人面瘡があり、
『彼』には六兵とは別の人格がある。
「ジンさん」と呼ばれているその人面瘡は六兵とは正反対の性格の持ち主。
毒舌家で記憶力もよく六兵の体調や内面によく気がつく。
六兵は『相続鑑定士』。
今回は信州の山林王である本城蔵之助が亡くなったため、
その財産分与のサポートのために呼ばれた。
蔵之助氏には4人の子どもがいるが、
みんな一癖も二癖もある人ばかり。
そして、その相続人たちが一人、また一人殺されていく。
山奥の時代錯誤の土地、という感じから
金田一少年の事件簿の『飛騨からくり屋敷殺人事件』、
通称『首狩り武者』をイメージしながら読んでいました。
そうしたら、なかなかに符合するところがありおもしろかったです。
まず、古くからのしきたりのようなものが色濃く残っている。
大きなお屋敷での事件。
使用人もいる。
偉そうな態度の登場人物たち。
知的障害を持つ子どもがいる(隼人は演技だったけど)、など。
そして、この小説の最後の解説が片岡鶴太郎氏。
はじめは「なぜ?」と思っていたんですが、
「ドラマ版金田一耕助を演じたから」だとのこと。
思わず「なるほどー」と言ってしまいました。
「ジンさん」の能力は非常に高く、
宿主である六兵が読んだ本は忘れずに覚えているし、
情報からの推理も得意。
六兵もジンさんをかなり頼りにしています。
最後の方の『犯人』を説得する際のセリフも
すべてジンさんが囁いたことをしゃべっているだけでした。
ジンさんとの関係は幼い頃からとのことなので
これからもナイスなコンビネーションで事件を解決していくんでしょうね~。
…小説の一番最後、いつも通りの『中山七里節』で
真相の真相が語られるんですが、その後のさらなる『真相』が…。
薄々「ひょっとしてそうなんじゃないか」と思っていたんですが、
まさかそうだったとは!
実際に私もその場に遭遇してしまったら、
とても恐ろしく感じることでしょう(笑)。
今回の『人面瘡探偵』は、
すでに続編の『人面島』が出ています。
今月の Kindle Unlimited では両方とも対象になっているんですよね。
嬉しいなぁ。
…どちらも表紙が怖いんですけどね~。
Kindle Unlimited で読みました。
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