こうして誰もいなくなった

読んだ本

有栖川有栖さんの『こうして誰もいなくなった』を読みました。
有栖川さんの小説は『臨床犯罪学者・火村英生の推理 ダリの繭』以来です。

臨床犯罪学者・火村英生の推理 ダリの繭
有栖川有栖さんの『ダリの繭』を読みました。有栖川さんの小説は『狩人の悪夢』以来です。 今回読んだのは『角川ビーンズ文庫』という少女向けの小説・ラノベのレーベルから出ていたものです。なので、表紙にはシュッとした男性がいます。ラノベのレーベルと...

今回は火村英生シリーズではなく『ノンシリーズものの中短編』をまとめたものとのこと。本書の冒頭の『前口上』のページで、有栖川さんご自身が『有栖川小説の見本市みたいなもの』と書いてらっしゃるとおり、様々な内容の話が入っています。
全部で14篇もの話があり、短いと一瞬で読み終わるようなものもありました。同じく『前口上』には『ファンタジー色の強いものからホラータッチを経て本格ミステリへと』と書かれています。表題作の『こうして誰もいなくなった』は一番最後に収められているので、これが『本格ミステリ』色の一番強いものなんだろう、と。
14篇の中から、印象に残ったものをいくつか。

  • 館の一夜
    一番最初の短編です。なるほど、こういう商売があったらおもしろいですね。これをされて、喜ぶ女性とそうでない女性に分かれてしまいそうですが。ただこの男性は、ちゃんとそのことを隠し通しているようなので、それはそれでいいんじゃないかなと思いました。たしかに、今では難しいかも知れませんが…。
  • 路線の国のアリス
    有栖川さんがアリスを書くのもおもしろいですが、内容が更におもしろかったです。
    Wikipedia を見ると『鉄道ファンでもあり、鉄道を題材とした作品やエッセイを度々執筆している』とあったので、なるほどなと。不思議の国のアリスの内容そのままに、背景が鉄道に置き換わった物語で、読んでいて思わず唸ってしまうところもありました。さすがですねー!
  • 名探偵 Q 氏のオフ
    これはこれは、なかなか巧みな言葉遊びで。最後の方なんかもう何が何やら、様々な『Q』が襲いかかってきます。やっぱり作家の方はすごいですね! 一生分の『Q』が付く言葉を見たような気がします(笑)。
  • 盗まれた恋文
    前半を読みながら、「名探偵によくあるやつだ!」と思いました。そしたらなんとまぁ…。やはり、不誠実なのはいけませんね…。
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  • 本と謎の日々
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ビブリア古書堂の事件手帖 IV ~扉子たちと継がれる道~
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  • こうして誰もいなくなった
    『そして誰もいなくなった』という小説が存在する世界で、その小説になぞらえたような事件が起きます。最後の数人はオリジナルとは異なる展開で、更に『解決編』として手紙を読む代わりに名探偵が出てきて真相を導き出す、というストーリーでした。
    『あとがき』で、有栖川さん自身が高校生の時に『そして誰もいなくなった』を読み、『名探偵が謎を解明するシーンの不在を淋しく感じたのである』と思ったそうで、今回はそれを叶えるべくこういうストーリーにしたそうです。
    私も比較的最近原作を読んだばかりだったので、オリジナルのストーリーをなぞりながら楽しめました。
そして誰もいなくなった
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オリジナルがあるものもないものも、どれも楽しめました。さすがご自身で『見本市』とおっしゃっているだけあって、いろんなジャンルのお話が詰め合わされた本でした。どれもおもしろかったですねー。
火村英生シリーズシリーズのような長編も好きですが、こういう短編集もいいですよね。急にガラッと話が変わるのも、気分転換になっていいです。

Kindle Unlimited で読みました。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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