逃亡刑事

読んだ本

中山七里さんの『逃亡刑事』を読みました。
中山さんの小説は『月光のスティグマ』以来です。

月光のスティグマ
中山七里さんの『月光のスティグマ』を読みました。中山さんの小説は先日の『死にゆく者の祈り』以来です。 『スティグマ』とは『差別』『偏見』などという意味だそうです。樺沢先生がよくおっしゃっていたので覚えていました。 淳平は神戸に住む小学生。彼...

この本、いつもはある表紙の画像がありませんでした…。そんなこともあるんですねー。なので、Kindle の1ページ目でパシャリ。

表紙は整備されていない河川敷のようなところに立っている女性を写した写真(絵?)です。それを見ていたのに、『逃亡刑事』というタイトルから勝手に「主人公は男性」と思っていたんですよね…。ほら、女性ってあんまり逃亡しなさそうだし…そんなことないか?
まー、『刑事』が『逃亡』っていうのだから、多分内部の不正に気づいちゃって味方に追われる…みたいな流れなのかな、と予想しました。実際には『不正』どころじゃないことに気づいちゃった感じですが…。

主人公の高頭冴子は『県警のアマゾネス』と呼ばれる千葉県警捜査一課の班長。県警でトップの検挙率を誇っています。
閉店したカーディーラーのショールーム内で、同じ県警の生田巡査部長の遺体が発見されました。生田巡査部長は薬物銃器対策課所属で、麻薬・覚醒剤の取締をする部署の所属でした。遺体の第一発見者こそ出勤途中のサラリーマンでしたが、なんとそれとは別に犯行現場を目撃した人物がいるとのこと。その目撃者は8歳の男児・御堂猛で、養護施設から脱走してカーディーラーに身を隠していたようです。
猛からは事件を目撃談だけではなく、彼が暮らしている養護施設で日常化している職員からの虐待についても話を聞けてしまいました。施設には戻りたくないと言っていた猛の希望で、冴子は彼を児童相談所に連れて行こうとしましたが、その道程で薬物銃器対策課課長の玄葉とすれ違います。彼は遺体となって発見された生田巡査部長の上司ですが、その玄葉を見た猛の顔が青ざめました。話を聞くと、「この人が殺したのを見た」と。
冴子は県警の中を捜査し、保管庫にあるはずの押収された薬物の量が記録と噛み合わないことを発見します。その他いろいろな情報を総合すると、どうやら玄葉がその薬物を市場に流して金を得ていたのではないか、という疑いが生じました。
そのことを念頭に捜査を行おうとしたとき、冴子は逆に警官殺しの濡れ衣を着せられてしまいます。このまま身柄を拘束されてしまえば、相手に有利なように捜査を進められて、自分は逮捕されてしまう。そう感じた冴子は逃亡し、真相を知っていて消される可能性のある猛も施設から連れ出し、以前捜査で知り合いになったヤクザの山崎のツテで大阪の労働者の町へと向かったのでした。

女性が警察組織の中で活躍するのは本当に大変そうですね…。『ミステリと言う勿れ』の風呂光さんも辞表を出そうとしていましたが、冴子さんも周りのオジサンから日常的にセクハラまがいの言葉を浴びせられているようです。あー、いやだいやだ。
冴子さん自身は結婚なんぞ諦めていると言っていましたが、そんな中で出会った猛に庇護欲を掻き立てられたというか、まぁ、母性なんですかね? また、この猛が意外とウマいというか。小憎いですね(笑)。後半で真犯人に拉致されるとき叫んだ言葉、それから物語の一番最後に言ったセリフ。こんなん、アマゾネス・冴子でも泣いてしまうでしょうが。とりあえず、私は泣きました。

物語には直接なんの関係もないんですが、この小説、文字を画像化した部分が結構多かったです。きれいに配置されているので、Kindle 本の画面をピンチアウト(親指と人差し指で広げる動作)で拡大してもきれいにその場所に収まっているんですが、Kindle の読み上げだと画像なので読み上げしてくれずスキップされます。
例えば、

  • 鯖 → 始めの方に出てくるヤクザの鯖江
  • 噓 → 『嘘』の印刷標準字体
  • 摑 → つかむ
  • 嚙 → かむ
  • 繫 → つながる

などです。『鯖江』はそれなりのキーパーソンで、何度も名前が呼ばれるので、「『江(え)』って名前なの? それともコウさん? 外国人?」と思っていました。画面見て、目を凝らして、納得。
『嘘』なんかは『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』でも例の印刷標準字体だったんですが、そっちはちゃんと読み上げされていたので画像ではなかったんですよね。

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 10 終わりの終わりは始まり
入間人間さんの『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 10 終わりの終わりは始まり』を読みました。先日の続刊です。 前回はまーちゃんがさらわれてしまって、『僕』の頭がおかしくなって、大江湯女さんに「喝!」を入れてもらったところで終わりました。…...

そんな感じなので、読み上げのときにちょっと歯抜けっぽい感じになっちゃうのは少し残念でしたが、内容的にはいつも通りおもしろかったです。
最後の恒例の『どんでん返し』は、なんかちょっと消化不良感はありますが、この先なんとかなるのではと期待。もしそれが事実ならこのままじゃ許されねーぜ。

あ、私はこの本、新年早々に Kindle Unlimited で借りたんですが、その後すぐに Kindle Unlimited じゃなくなっちゃったんですよ。設定ミスった一瞬だった…とか? なんかすみません。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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